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1戦目
祝勝会と残念会:前編
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「それじゃあエレアとヒリューの健闘を称えて、乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
第一回鍛冶屋杯が終わったその日の夜、クガとエレアとヒリューとセキヤの四人は街の中で人気の居酒屋に集まっていた。
「それにしても三人ともまた強くなってたな」
ビールを一気に飲み干して追加を頼んだ後でクガが三人に話し始める。
「別に気を遣わなくていいですよ、クガさん」
セキヤは大会後に回収しておいたカメラの整備をしながらクガに答える。
「勝つつもりで臨みましたけど、負けるのは想定済みでしたから」
セキヤは自身の運の無さを自覚している。だからこの大会でもゴウと当たるのは必然と思って準備をしていたのである。今整備しているカメラにはゴウとの戦いの一部始終が記録されている。フィールドの外からのカメラが二点、ロープの中に入れておいたのが一点と、様々な角度からゴウの動きを研究するのが本来の目的だったのである。
「あ、一応二人にもデータは渡しとくよ。まあヒリューはこれの価値が分からないだろうけどね」
エレアとヒリューの二人にデータの保存されているメモリースティックを渡す。魔法機械を使えば映像を見ることが出来る優れものである。セキヤが言ったようにエレアはそのデータをもらった感謝の意を示すが、ヒリューはどうでもいいという風な反応だった。
「一応言っておくけど、売るところを選べば移動費とか宿泊費に変わるくらいのデータだからな」
「ふーん、こんな小さな物がねぇ。まあ一応もらっといてやるよ」
「……そんな態度なら無理してもらわなくても良いんだよ?」
いつも通り険悪なムードになる二人だが、山盛りの肉料理がテーブルに届いたことでヒリューは目を輝かせて飛びついた。
「いっただっきまーす!」
他の客の話し声すらもかき消す大音量ボイスで食べ始める。周りの客が何事かと四人に視線を一瞬だけ向けたために静かになったが、ほんの一瞬だけですぐに店の中は賑やかさを取り戻す。
「……頂きます」
「それじゃあクガさん、ゴチになります」
「おう、食え食え。久しぶりの再会なんだから盛大に食べようじゃねぇか」
酒が入って少し横柄な態度になったクガは、数か月ぶりの少年少女たちの姿に安堵を覚えつつ食事を楽しんだ。
前回大会の剣闘大会で優勝したクガは、大会終了後に故郷の村、パンガーへと凱旋していた。その村の唯一の道場で小さい頃から指導してもらった師匠に挨拶するためである。パンガーではクガを盛大に歓迎して出迎えて、数日に渡って宴会が行われるお祭り騒ぎとなった。
そのお祭りムードも少し落ち着き始めたころ、クガは師匠と共に道場へと顔を出した。今はこの道場には三人の生徒がいるとのことでぜひ指導してほしいからだった。クガとしては恩師のお願い事を断る理由もないので、道場で三人と出会う。もちろんエレアたちのことである。
素早い動きで相手を翻弄するエレア、純粋なパワーで相手をねじ伏せるヒリュー、知恵を巡らし魔力を駆使して闘うセキヤ。三者三様の闘い方にクガはどう指導したものかと少しだけ困ったが、それぞれに適切なアドバイスをしつつその日の指導は特に何事もなく終わった。
全ての始まりは翌日。クガが再び三人に指導しようと道場に訪れた時の事である。
「だから力だって!」
「いーや、魔力だ」
「いやいや、速さでしょ」
クガが道場に入ろうとすると、中から三人の話し声が聞こえてきた。話し声というにはかなり大きな声だったが。
「何の話だ?」
力だ速さだという単語が聞こえたから、戦いにおける重要度の話だとクガは推測していた。それぞれがそれぞれの闘い方の基盤を主張していたからだ。
そしてその予想はほとんど当たっていた。三人は誰の闘い方が一番強いのかを決めていたらしい。
――まあ、何が最強か決めたくなるお年頃だよなぁ。若いなぁ。
自分が年老いた感覚に嬉しい様な悲しい様な感情を抱いていると、三人が詰め寄ってくる。
「「「クガさんはどれが最強だと思いますか!」」」
「うるせぇ!」
ただでさえ一人規格外の声量を持つというのに、三人同時で話しかけてきたので堪らずクガも大声で応戦する。
しかし三人は全くひかず、答えを知るまではクガから離れようとしない雰囲気だったので、クガは提案する。
「それなら実際に戦ってみればいいじゃねぇか!」
クガはこの場で戦って勝者を決めればいいというつもりで答えた。しかしクガはある一点だけを失念していたのだ。三人が最強の戦い方として意見をぶつけていたのは剣闘大会においてという前提があったのだ。
だからクガの意見を聞いた三人はすぐに剣闘大会へと出場することを決めたのだった。誰の闘い方が一番強いのかを決めるために。
「「「かんぱーい!」」」
第一回鍛冶屋杯が終わったその日の夜、クガとエレアとヒリューとセキヤの四人は街の中で人気の居酒屋に集まっていた。
「それにしても三人ともまた強くなってたな」
ビールを一気に飲み干して追加を頼んだ後でクガが三人に話し始める。
「別に気を遣わなくていいですよ、クガさん」
セキヤは大会後に回収しておいたカメラの整備をしながらクガに答える。
「勝つつもりで臨みましたけど、負けるのは想定済みでしたから」
セキヤは自身の運の無さを自覚している。だからこの大会でもゴウと当たるのは必然と思って準備をしていたのである。今整備しているカメラにはゴウとの戦いの一部始終が記録されている。フィールドの外からのカメラが二点、ロープの中に入れておいたのが一点と、様々な角度からゴウの動きを研究するのが本来の目的だったのである。
「あ、一応二人にもデータは渡しとくよ。まあヒリューはこれの価値が分からないだろうけどね」
エレアとヒリューの二人にデータの保存されているメモリースティックを渡す。魔法機械を使えば映像を見ることが出来る優れものである。セキヤが言ったようにエレアはそのデータをもらった感謝の意を示すが、ヒリューはどうでもいいという風な反応だった。
「一応言っておくけど、売るところを選べば移動費とか宿泊費に変わるくらいのデータだからな」
「ふーん、こんな小さな物がねぇ。まあ一応もらっといてやるよ」
「……そんな態度なら無理してもらわなくても良いんだよ?」
いつも通り険悪なムードになる二人だが、山盛りの肉料理がテーブルに届いたことでヒリューは目を輝かせて飛びついた。
「いっただっきまーす!」
他の客の話し声すらもかき消す大音量ボイスで食べ始める。周りの客が何事かと四人に視線を一瞬だけ向けたために静かになったが、ほんの一瞬だけですぐに店の中は賑やかさを取り戻す。
「……頂きます」
「それじゃあクガさん、ゴチになります」
「おう、食え食え。久しぶりの再会なんだから盛大に食べようじゃねぇか」
酒が入って少し横柄な態度になったクガは、数か月ぶりの少年少女たちの姿に安堵を覚えつつ食事を楽しんだ。
前回大会の剣闘大会で優勝したクガは、大会終了後に故郷の村、パンガーへと凱旋していた。その村の唯一の道場で小さい頃から指導してもらった師匠に挨拶するためである。パンガーではクガを盛大に歓迎して出迎えて、数日に渡って宴会が行われるお祭り騒ぎとなった。
そのお祭りムードも少し落ち着き始めたころ、クガは師匠と共に道場へと顔を出した。今はこの道場には三人の生徒がいるとのことでぜひ指導してほしいからだった。クガとしては恩師のお願い事を断る理由もないので、道場で三人と出会う。もちろんエレアたちのことである。
素早い動きで相手を翻弄するエレア、純粋なパワーで相手をねじ伏せるヒリュー、知恵を巡らし魔力を駆使して闘うセキヤ。三者三様の闘い方にクガはどう指導したものかと少しだけ困ったが、それぞれに適切なアドバイスをしつつその日の指導は特に何事もなく終わった。
全ての始まりは翌日。クガが再び三人に指導しようと道場に訪れた時の事である。
「だから力だって!」
「いーや、魔力だ」
「いやいや、速さでしょ」
クガが道場に入ろうとすると、中から三人の話し声が聞こえてきた。話し声というにはかなり大きな声だったが。
「何の話だ?」
力だ速さだという単語が聞こえたから、戦いにおける重要度の話だとクガは推測していた。それぞれがそれぞれの闘い方の基盤を主張していたからだ。
そしてその予想はほとんど当たっていた。三人は誰の闘い方が一番強いのかを決めていたらしい。
――まあ、何が最強か決めたくなるお年頃だよなぁ。若いなぁ。
自分が年老いた感覚に嬉しい様な悲しい様な感情を抱いていると、三人が詰め寄ってくる。
「「「クガさんはどれが最強だと思いますか!」」」
「うるせぇ!」
ただでさえ一人規格外の声量を持つというのに、三人同時で話しかけてきたので堪らずクガも大声で応戦する。
しかし三人は全くひかず、答えを知るまではクガから離れようとしない雰囲気だったので、クガは提案する。
「それなら実際に戦ってみればいいじゃねぇか!」
クガはこの場で戦って勝者を決めればいいというつもりで答えた。しかしクガはある一点だけを失念していたのだ。三人が最強の戦い方として意見をぶつけていたのは剣闘大会においてという前提があったのだ。
だからクガの意見を聞いた三人はすぐに剣闘大会へと出場することを決めたのだった。誰の闘い方が一番強いのかを決めるために。
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