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3戦目
セキヤVSリリィ
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「それでは第十二組、レディ……、ファイト!」
開始の合図を一回目と全く変わらないテンションで出す実況者の声を皮切りに、フィールド上の剣士たちが動き出す。
魔法使いを連想させるロープ姿のセキヤは開幕から複数人の剣士と対峙していた。第一回鍛冶屋杯でゴウの一撃目を防いで残っていた事がやはり脅威に映っていたのである。
「囲んでしまえばこっちのもんだ!」
セキヤの周りを囲む剣士たちが一斉に攻撃を仕掛ける。
――何をもって囲めば勝てると思ってるんだか。
一人の剣士の発言に対して冷ややかな視線を送りつつ、一人一人の攻撃を丁寧に『反射』させていく。力の強い者はその自分の力の反動でそのままリングアウトし、何とかフィールドに留まった者はセキヤからの通常の攻撃であっさりリングアウトする事になっていた。結局セキヤを集団で倒そうとしていた剣士は軒並みリングアウトしていた。
その間にリリィはリリィで観客を沸かせる活躍を見せていた。まだ年端もいかない少女が自分の身体よりも大きな剣を振り下ろし、並みいる剣士たちを寄せ付けない戦いをしていた。
リリィのスロ二の大剣には『力』と『水』の魔力が込められていて、基本は大剣の大振りで一撃必殺を狙う戦い方である。もちろん動きの速い剣士にはそれでは通用しないので、もう一つエレアがリリィに教えていた戦い方があった。
「そんな大振りじゃ俺には当たらブァ!」
それこそが『水』の魔力である。単体ではただ水を出現させるだけで大した強さも攻撃力も持たない魔力だが、リリィは大剣を振り下ろして地面にヒビを作っていたのである。『水』の魔力で出現させる水の位置は訓練次第で調整できるので、この地面のヒビの部分に本来なら入りきらない量の水を出現させているのである。当然入りきらない水は隙間から勢いよく噴出する、これを相手にぶつける事で動きを制限しているのである。
――上手く当たった!
顔面に大量の水をぶちまけられて仰け反っている剣士にすかさず追い討ちの大振りを叩きこんでリングアウトさせる。
もちろん水の吹き出す方向を上手く調整するのは難しいが、それでも地面から水が噴き出してくれば多少意識をそっちに向ける必要も出てくる。つまりヒビの入った場所には近づかないようにと相手の動きが制限できるので、動きの速い剣士相手でも戦えるようになるとエレアが教えていたのである。
――もしかして、勝てる!?
エレアから教わっていた戦い方がこんなにも綺麗に通用するとは思わず、五人ほど倒した時にはこのまま勝てるのではと思い始めていた。
しかし残りが自分ともう一人の剣士になったと気づいた時にその興奮が一気に冷める。言うまでもなく相手はセキヤだったからだ。
「懐かしいな、その戦い方。僕がエレアに勝とうとしてやった戦法だ」
セキヤはリリィの周りのひび割れた地面を見て笑う。まさか自分の戦い方を他人が同じようにやっているのを見る事になるとは思っていなかったからだ。セキヤの発言にリリィは少し困惑する。
「えっ、これってセキヤさんの戦法なんですか?」
「うん、昔はとにかくエレアの動きに対応できなくてね。どうにかできないかと色々模索して作った戦い方の一つだよ」
そこまで聞いてリリィは確信した。この戦い方じゃ絶対にセキヤさんに勝てない。発案者ならこの戦い方の攻略法も知っているはずだと思ったからである。
しかしこの戦法以外には魔力の使い方しか習っていないリリィにはそこから新しい攻め方を考える余裕などなかった。
「それじゃあ悪いけど今回は僕が勝たせてもらうよ」
セキヤは全く躊躇う事なく一直線に素早くリリィへと向かう。リリィの戦い方の弱点は、『水』の魔力を使う際に剣が地面に接している必要がある点である。特に大剣の場合はそこから攻撃に転じようとしたら一度持ち上げて構える必要がある。本来ならその時間は水を食らった衝撃でよろめいている時間で補えるが、水が噴き出してくる事を分かった上で攻撃すればむしろ隙を作る事になる。
だからセキヤは水を食らっても無視して突っ込む勢いでリリィに攻め込む。リリィはその勢いに慌てて、何とかしようとする。ここで剣士としての経験の少なさが出てきてしまう。戦い慣れていないリリィはセキヤの攻勢にどうすればいいか分からなくなってしまって、本能的に反射的に大剣をとにかく振り回すという行動に出たのである。
それはセキヤにとっては誤算だった。何が弱点かまで教わっていないとさっきの会話で察していたため、とにかく何とかしようと水を噴出させてくると思っていたからである。急な大振りの攻撃は完全にセキヤの意表を突いた攻撃になっていた。
剣と剣がぶつかり合う甲高い金属音。
リリィの最後の攻撃は、自らをリングアウトさせる攻撃になっていた。
開始の合図を一回目と全く変わらないテンションで出す実況者の声を皮切りに、フィールド上の剣士たちが動き出す。
魔法使いを連想させるロープ姿のセキヤは開幕から複数人の剣士と対峙していた。第一回鍛冶屋杯でゴウの一撃目を防いで残っていた事がやはり脅威に映っていたのである。
「囲んでしまえばこっちのもんだ!」
セキヤの周りを囲む剣士たちが一斉に攻撃を仕掛ける。
――何をもって囲めば勝てると思ってるんだか。
一人の剣士の発言に対して冷ややかな視線を送りつつ、一人一人の攻撃を丁寧に『反射』させていく。力の強い者はその自分の力の反動でそのままリングアウトし、何とかフィールドに留まった者はセキヤからの通常の攻撃であっさりリングアウトする事になっていた。結局セキヤを集団で倒そうとしていた剣士は軒並みリングアウトしていた。
その間にリリィはリリィで観客を沸かせる活躍を見せていた。まだ年端もいかない少女が自分の身体よりも大きな剣を振り下ろし、並みいる剣士たちを寄せ付けない戦いをしていた。
リリィのスロ二の大剣には『力』と『水』の魔力が込められていて、基本は大剣の大振りで一撃必殺を狙う戦い方である。もちろん動きの速い剣士にはそれでは通用しないので、もう一つエレアがリリィに教えていた戦い方があった。
「そんな大振りじゃ俺には当たらブァ!」
それこそが『水』の魔力である。単体ではただ水を出現させるだけで大した強さも攻撃力も持たない魔力だが、リリィは大剣を振り下ろして地面にヒビを作っていたのである。『水』の魔力で出現させる水の位置は訓練次第で調整できるので、この地面のヒビの部分に本来なら入りきらない量の水を出現させているのである。当然入りきらない水は隙間から勢いよく噴出する、これを相手にぶつける事で動きを制限しているのである。
――上手く当たった!
顔面に大量の水をぶちまけられて仰け反っている剣士にすかさず追い討ちの大振りを叩きこんでリングアウトさせる。
もちろん水の吹き出す方向を上手く調整するのは難しいが、それでも地面から水が噴き出してくれば多少意識をそっちに向ける必要も出てくる。つまりヒビの入った場所には近づかないようにと相手の動きが制限できるので、動きの速い剣士相手でも戦えるようになるとエレアが教えていたのである。
――もしかして、勝てる!?
エレアから教わっていた戦い方がこんなにも綺麗に通用するとは思わず、五人ほど倒した時にはこのまま勝てるのではと思い始めていた。
しかし残りが自分ともう一人の剣士になったと気づいた時にその興奮が一気に冷める。言うまでもなく相手はセキヤだったからだ。
「懐かしいな、その戦い方。僕がエレアに勝とうとしてやった戦法だ」
セキヤはリリィの周りのひび割れた地面を見て笑う。まさか自分の戦い方を他人が同じようにやっているのを見る事になるとは思っていなかったからだ。セキヤの発言にリリィは少し困惑する。
「えっ、これってセキヤさんの戦法なんですか?」
「うん、昔はとにかくエレアの動きに対応できなくてね。どうにかできないかと色々模索して作った戦い方の一つだよ」
そこまで聞いてリリィは確信した。この戦い方じゃ絶対にセキヤさんに勝てない。発案者ならこの戦い方の攻略法も知っているはずだと思ったからである。
しかしこの戦法以外には魔力の使い方しか習っていないリリィにはそこから新しい攻め方を考える余裕などなかった。
「それじゃあ悪いけど今回は僕が勝たせてもらうよ」
セキヤは全く躊躇う事なく一直線に素早くリリィへと向かう。リリィの戦い方の弱点は、『水』の魔力を使う際に剣が地面に接している必要がある点である。特に大剣の場合はそこから攻撃に転じようとしたら一度持ち上げて構える必要がある。本来ならその時間は水を食らった衝撃でよろめいている時間で補えるが、水が噴き出してくる事を分かった上で攻撃すればむしろ隙を作る事になる。
だからセキヤは水を食らっても無視して突っ込む勢いでリリィに攻め込む。リリィはその勢いに慌てて、何とかしようとする。ここで剣士としての経験の少なさが出てきてしまう。戦い慣れていないリリィはセキヤの攻勢にどうすればいいか分からなくなってしまって、本能的に反射的に大剣をとにかく振り回すという行動に出たのである。
それはセキヤにとっては誤算だった。何が弱点かまで教わっていないとさっきの会話で察していたため、とにかく何とかしようと水を噴出させてくると思っていたからである。急な大振りの攻撃は完全にセキヤの意表を突いた攻撃になっていた。
剣と剣がぶつかり合う甲高い金属音。
リリィの最後の攻撃は、自らをリングアウトさせる攻撃になっていた。
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