剣闘大会

tabuchimidori

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3戦目

カナイ鍛冶屋杯を終えて

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「そんじゃ今日もお疲れってことで、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
 カナイでの鍛冶屋杯も終わってすでに日が沈み切った夜。ホクト研究所に併設されている居酒屋にてセキヤたち四人は晩餐を楽しんでいた。
「しかし本当に焦ったよ。危うくやられる可能性すらあった」
 セキヤは今日の戦いを振り返って苦笑いをしていた。結果的にはリリィの最後の攻撃をギリギリで剣で防げたおかげで『反射』が発動し、逆にリリィがリングアウトする展開だったのだが、セキヤにとっては偶然の勝利という手放しでは喜べない結果となってしまった。
「いえいえ! あれが当たったとしても適当に振り回しただけでしたし、そんな威力になってなかったと思いますよ!」
 リリィはどうせ負ける結果は変わらなかったと主張する。実戦経験はまるでないし、ここに来るまでの訓練もほぼ魔力の扱いに関するものだけだったので、自分が勝てる要素はなかったとセキヤの意見を否定する。
「そんな卑下する事ないよ。初戦であれだけ動けたらむしろこれからが楽しみだ」
 セキヤは言いながら改めてリリィの戦いぶりに感心した。自分もまだまだ若い方だと思っていたが、それよりもさらに年下の、しかも女の子があれだけ戦えていたのには純粋に驚きの方が強かった。
「ヒゲ?」
「『自分をあえて低い位置に下げてへりくだること』だよ。リリィは才能があるって褒めてるんだよ。実際今日の戦いは満点だったし」
 リリィはセキヤに褒められるとは思ってなかったどころか、エレアにも色々と注意されるのではと内心ドキドキしていたので、二人から褒められたのが素直に嬉しくて笑顔になる。
「そんな才能なんて……、エヘヘ」
 謙虚になりたくても褒められた喜びの方が大きくてついつい頬が緩んでしまうリリィの姿を見つつ、エレアも嬉しくなっていた。
 ――セキヤにも褒められたし、やっぱり私の見る目は間違ってなかったわ。
 リリィを剣闘大会に半ば強制的に参加させて、もしかしたら剣士として働くモチベーションに悪影響が出るのではと思っていたが、この分なら大丈夫そうかなとこれからの事も色々と考えなきゃと決意を新たにしていた。
「何はともあれ、これでセキヤもスロ三の剣が手に入ったわけだな」
 セキヤが今回の鍛冶屋杯で手に入れた剣をクガが改めてじっくりと観察していた。
 鍛冶屋杯の中には最初から魔力が封じ込められている剣も有り、ここカナイが魔力研究所の総本山という事もあって、かなり特殊な魔力が封じ込められている事が特徴の一つになっている。
 今回は『空』の魔力が最初から入っていて、利用すれば自身を空に浮かせたり、真空の刃で敵を遠距離から攻撃したりもできる。
「もっと特殊なのを期待してましたけど、やはりまだ大会が始まったばかりという事もあってそこまで変な魔力じゃなかったですね」
「そりゃ秘蔵の魔力ならいくらでもあるのがこのカナイという都市の魅力だからな。そう簡単には見せないさ」
 このまま剣闘大会を進めていけばその内嫌でも目にする事になるとクガはアドバイスする。
「『空』かぁ……、この魔力を持っている相手にはどう戦えば良いんですかね?」
「うーん……、遠距離攻撃がないと厳しいけど、ずっと……」
「ストーップ!」
 リリィが素朴な疑問をエレアに投げかけるが、それをクガが遮った。
「今日の鍛冶屋杯もつつがなく終了、見事セキヤが勝利を手にした。反省すべき点も特になし。なら後は食って騒いで楽しもうぜ! そんな堅苦しい話は明日だ明日!」
 すでにエールを三杯ほど飲み切っているクガは顔を赤くして酔っぱらっていた。完全に絡み酒のテンションに移行しているのである。
「せっかく料理も来てるんだし、確かに食べる方が大事だな」
「そうね、戦いの事は一旦置いときましょ」
「えっ、良いんですか?」
「クガさんのおごりだし、好きな物じゃんじゃん食べましょ!」
「はい!」
「店員さーん、追加で注文お願いしまーす!」
 その後は夜がどっぷりと深くなるまで食べて騒いで、その居酒屋の客たちと大いに盛り上がった一行だった。
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