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3戦目
第二回鍛冶屋杯:後編
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いつの間にかすぐ後ろに来ていたエレアにリリィとセキヤは驚いて振り返る。エレアもまたスギヤのように微笑んでいた。
「おや、あなたにとってもプラスになると思ったのですが?」
「そうだよ、ゴウさんに勝てるチャンスかもしれないのに……」
「申し訳ないですけど、今回は私はゴウさんと一騎打ちしたいので、皆さんは邪魔にならない様に外で待っててもらえませんか?」
その言葉にスギヤではなくその後ろに控えていたミストが静かに怒りを露わにする。
「スギヤさんの事を邪魔と言ったか?」
突き刺すような視線と言葉にリリィは少し怯む。直接自分に言われたわけではないリリィですらおびえるレベルの怒りの空気だったが、エレアは決して微笑みを絶やさずに言葉を返す。
「ええ、邪魔です」
そのきっぱりとした物言いについにミストはスギヤの前に出てエレアに掴みかかろうとするが、それをスギヤが背中で抑え込む。何故止めるのですかというミストの声も、スギヤが先だって抑え込む。
「私が邪魔になる、その理由をお聞かせ願えますか?」
ミストとは対照的にスギヤの声は至って平静、そして笑顔もまるで変わり映えしなかった。だからこそ内心が読み取れず、ミストとは別の意味での怖さがあった。
「私は剣闘大会で優勝するつもりなんです。もちろん本選であのゴウさんにも勝つつもりでいます」
「だったら協力してしかるべきでは……!」
ミストが気持ちを抑えきれずにエレアの言葉を遮ってしまう。そんなミストをなだめる様にスギヤが口を抑える。
「ゴウさんとは最終的に一対一で勝つ必要があります。そのためにもゴウさんと一騎打ちで戦えるチャンスは出来る限り多く欲しいんですよ」
エレアはしっかりとスギヤの目を見て言い放つ。
「チームでゴウさんに挑むやり方を続けていては、本選でまともに戦えません。それはスギヤさんが一番わかっていると思いますけど?」
「!」
スギヤはそのエレアの言葉に衝撃を受けて、表情が少しだけ曇る。その表情の変化は対面していたエレアにしか気付けないほどのわずかな違いだった。だから後ろにいたミストは何も言い返さないスギヤに困惑するばかりだった。
「それでは次は第七組目です! はっきり言って今日の大一番でしょう、ゴウ選手が登場します!」
「あ、私の弟子も登場しますよ」
沈黙が訪れたことにより、外からの歓声がよりはっきりと聞こえてくる。その声によってその場の空気が少しだけ緩む。
「もう順番の様です。とりあえず皆さんはゴウさんに向かっても私に向かってきても構いません。私も負けるつもりはないですから」
スギヤたちにそう言い放った後に、セキヤとリリィには軽くじゃあ行ってくるねと言ってからステージに向かう。スギヤがそれを見送るだけで足を動かそうとしなかったのでミストがその背中を押してステージに上げようとする。
「何ボサッとしてるんですか、私たちも行きましょう」
「あ、ああそうだね」
「もちろんあの女から倒しますよ、良いですね!?」
「う、うん、わかった」
もはやどっちが上なのか分からなくなるくらいミストの勢いに押されるだけのスギヤだった。二人がステージに向かうのを追いかける前にもう一人の男のモリはセキヤとリリィに軽く会釈をしていった。
四人を見送ってからリリィが感慨深げにため息を漏らす。セキヤが一体どうしたのかと質問をする。
「いやー、やっぱりエレアさんはかっこいいですよねぇ。しっかりと最終的な目標を見据えて譲らない姿勢、はぁぁ……」
うっとりとして表情でエレアを見送るリリィに、セキヤは少し共感を得ていた。
――いつの間にかあんなにしっかりと剣闘大会に向き合っていたんだな。
それがリリィと共に旅をすることに起因するのかと考えようとして、すぐにその悪い癖を取り除こうと頭を切り替える。
「ならそのかっこいいエレアの戦う所をちゃんと見ないとね」
リリィにそう言って二人でステージの近くに向かう事にした。
「それでは第七組、レディ……、ファイト!」
開始のゴングと共にまたゴウの振るいにかけられた剣士たちが宙を舞う。ステージ上にはもう二人しか残っていなかった。ゴウとエレアの二人だけである。その事実に実況者であるマインがクガの弟子の強さはやはり格が違うのかと盛り立てる。それをステージの外で聞いている、ステージの上に立つ二人を外から見ているミストは衝撃を受けていた。
「な、何で……?」
そのすぐ近くにはスギヤとモリの二人もいたが、二人も同じように驚きを隠せなかった。
「まさか一撃ではじき出されるとは……」
これが優勝を本気で目指す者との違いなのかとスギヤは戦いの前のエレアの言葉を思い返しながら、ステージの上の二人を見ている事しかできなかった。
「おや、あなたにとってもプラスになると思ったのですが?」
「そうだよ、ゴウさんに勝てるチャンスかもしれないのに……」
「申し訳ないですけど、今回は私はゴウさんと一騎打ちしたいので、皆さんは邪魔にならない様に外で待っててもらえませんか?」
その言葉にスギヤではなくその後ろに控えていたミストが静かに怒りを露わにする。
「スギヤさんの事を邪魔と言ったか?」
突き刺すような視線と言葉にリリィは少し怯む。直接自分に言われたわけではないリリィですらおびえるレベルの怒りの空気だったが、エレアは決して微笑みを絶やさずに言葉を返す。
「ええ、邪魔です」
そのきっぱりとした物言いについにミストはスギヤの前に出てエレアに掴みかかろうとするが、それをスギヤが背中で抑え込む。何故止めるのですかというミストの声も、スギヤが先だって抑え込む。
「私が邪魔になる、その理由をお聞かせ願えますか?」
ミストとは対照的にスギヤの声は至って平静、そして笑顔もまるで変わり映えしなかった。だからこそ内心が読み取れず、ミストとは別の意味での怖さがあった。
「私は剣闘大会で優勝するつもりなんです。もちろん本選であのゴウさんにも勝つつもりでいます」
「だったら協力してしかるべきでは……!」
ミストが気持ちを抑えきれずにエレアの言葉を遮ってしまう。そんなミストをなだめる様にスギヤが口を抑える。
「ゴウさんとは最終的に一対一で勝つ必要があります。そのためにもゴウさんと一騎打ちで戦えるチャンスは出来る限り多く欲しいんですよ」
エレアはしっかりとスギヤの目を見て言い放つ。
「チームでゴウさんに挑むやり方を続けていては、本選でまともに戦えません。それはスギヤさんが一番わかっていると思いますけど?」
「!」
スギヤはそのエレアの言葉に衝撃を受けて、表情が少しだけ曇る。その表情の変化は対面していたエレアにしか気付けないほどのわずかな違いだった。だから後ろにいたミストは何も言い返さないスギヤに困惑するばかりだった。
「それでは次は第七組目です! はっきり言って今日の大一番でしょう、ゴウ選手が登場します!」
「あ、私の弟子も登場しますよ」
沈黙が訪れたことにより、外からの歓声がよりはっきりと聞こえてくる。その声によってその場の空気が少しだけ緩む。
「もう順番の様です。とりあえず皆さんはゴウさんに向かっても私に向かってきても構いません。私も負けるつもりはないですから」
スギヤたちにそう言い放った後に、セキヤとリリィには軽くじゃあ行ってくるねと言ってからステージに向かう。スギヤがそれを見送るだけで足を動かそうとしなかったのでミストがその背中を押してステージに上げようとする。
「何ボサッとしてるんですか、私たちも行きましょう」
「あ、ああそうだね」
「もちろんあの女から倒しますよ、良いですね!?」
「う、うん、わかった」
もはやどっちが上なのか分からなくなるくらいミストの勢いに押されるだけのスギヤだった。二人がステージに向かうのを追いかける前にもう一人の男のモリはセキヤとリリィに軽く会釈をしていった。
四人を見送ってからリリィが感慨深げにため息を漏らす。セキヤが一体どうしたのかと質問をする。
「いやー、やっぱりエレアさんはかっこいいですよねぇ。しっかりと最終的な目標を見据えて譲らない姿勢、はぁぁ……」
うっとりとして表情でエレアを見送るリリィに、セキヤは少し共感を得ていた。
――いつの間にかあんなにしっかりと剣闘大会に向き合っていたんだな。
それがリリィと共に旅をすることに起因するのかと考えようとして、すぐにその悪い癖を取り除こうと頭を切り替える。
「ならそのかっこいいエレアの戦う所をちゃんと見ないとね」
リリィにそう言って二人でステージの近くに向かう事にした。
「それでは第七組、レディ……、ファイト!」
開始のゴングと共にまたゴウの振るいにかけられた剣士たちが宙を舞う。ステージ上にはもう二人しか残っていなかった。ゴウとエレアの二人だけである。その事実に実況者であるマインがクガの弟子の強さはやはり格が違うのかと盛り立てる。それをステージの外で聞いている、ステージの上に立つ二人を外から見ているミストは衝撃を受けていた。
「な、何で……?」
そのすぐ近くにはスギヤとモリの二人もいたが、二人も同じように驚きを隠せなかった。
「まさか一撃ではじき出されるとは……」
これが優勝を本気で目指す者との違いなのかとスギヤは戦いの前のエレアの言葉を思い返しながら、ステージの上の二人を見ている事しかできなかった。
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