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5戦目
手紙と気持ち
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前略、お父さんお母さんお元気ですか。私は今日も元気です。ただし最近はちょっと違う場所にいます。
いつもは先パイと一緒に研究所で楽しく魔力の研究をしているのですが、先日の手紙でもお伝えした新人のセキヤ君とあちこち旅をして資料を集める仕事が追加されて、きっとこの手紙が届く頃には北部入りしている頃だと思います。
憧れの先パイとの仕事ができなくなってしまって少し寂しいとかそんな事だけではないんです! 一杯愚痴りたい事があり過ぎるんです!
セキヤ君と旅をしていると事件に巻き込まれて巻き込まれて大変なんです! そして何が問題かって別にセキヤ君が問題を起こしているわけじゃないんですよ! 単純に運が悪いというか引き寄せる運が何かおかしいというか、とにかく悪い出来事に巻き込まれるんです!
旅を始めて初っ端からロープウェイが定期点検で使えなかったのを皮切りに、キャラバンと一緒に旅をすれば馬は逃げ出すし、新種の変異種の魔物に出会うし、季節外れのゲリラ豪雨に見舞われるしでネタが尽きません。
本人はもう昔っからこうですよって済ました顔で特に気にせず全部冷静に対処していて、そのスマートさが先パイとはちょっと違ったカッコよさになってるなとか思っても別に好みではないので特にそういう話をするつもりはないですけど、向こうから迫られたら断れないかもと色々と危険性が高い旅になってしまって私はもうどうしましょう!?
手紙を書いて現状を冷静に分析すれば少しは落ち着くかと思ったけど逆に意識しそうで怖いです! 先パイ助けて! 私は先パイ一筋だったはずなのに! なんでこんな試練を……!
なるほど、これはあれですね。俺に付いてくる覚悟があるならこんな誘惑には負けないよなっていう先パイからの試練だったんですね! 危ないところでした。まさか先パイがそんな試練をさらっと私に課してきてるとは思いませんでした。そんな素振り一切なかったのに、さすが私の憧れの先パイ! 私の予想を簡単に超えてくれますね!
ならば私も先パイの期待に応えましょう! こんな爽やかクールイケメンのセキヤ君との旅も何の問題もなく完璧にこなしてみせます! そして先パイが求める大好きな魔力の資料をお届けして、私の気持ちを全力でお伝えします!
――しまった、これはお父さんお母さんへの手紙だった!
北部と中央部の境目に位置するアスラの街。私とセキヤ君は様々な事件に見舞われつつも、ここまで二日でやってきてます。本来なら一日でこれる行程だったはずですけど、むしろあれだけ色々あっても二日で来れたのはセキヤ君の対処能力が高かったおかげだったと言えます。私一人だったらむしろ途中で引き返しててもおかしくない出来事だらけでした。
まあそもそもセキヤ君がいなければこれだけ問題が起こらなかったと言い切れる自信がありますが。
現在はセキヤ君が今後の旅で必要になる防寒具やらアイテムやらを買いに行ってくれてるタイミングで、私は待ち時間を使って両親に手紙を書いている所です。
途中暴走してしまった部分を消して改めて手紙に近況と今後の展開を書いて配達屋に届ける事にしました。しかし配達屋に行く際も、さっきの予想があながち間違っていないのではと思い、今後の旅はより気を引き締めて行う必要があるなと考えた。
――先パイ、絶対に私は誘惑に負けませんよ!
グッと握り拳を作って、決意を新たにしたタイミングで、セキヤ君も買い物を済ませてやってきていた。
「お待たせしました。……何かありました?」
「ううん、何でそう思ったのー?」
「いや、さっきよりも何か表情が晴れやかというかスッキリした感じになっているので。これからより寒い場所に行くのにテンション高そうですね」
「別に寒さとかは大丈夫だよー。魔法使いなら当たり前でしょー」
普通にやり取りしているけど、内心は結構グラッときていた。
――さらっと私の表情の変化に気付くとか、この子本当にヤバいわ。
何とかその鼓動の高鳴りに気付かれないように、通常運転を務める。しかしセキヤ君は私のしゃべり方とかにあんまり抵抗感とか嫌悪感を表に出さないよな。自分でも思っている感じと喋ってる感じに差があって若干コンプレックスになってるのに。
「さすがですね。それじゃあこれがエリアスさんの分です。防寒具一式を入れておきました」
動きやすい系の服としっかりと暖を取れる服の二種類をいくつか用意してくれたようだった。しかしその荷物を持って違和感を感じる。それは私の荷物より明らかにセキヤ君の荷物の方が多かったからだ。
「そっちは随分と大荷物になってるけど?」
「一応時間があったら雪山竜の山にも行ってみようと思ってたので、それ用の装備も入ってるからです」
登山用品とかですねとセキヤ君が中身を見せる。イマイチ用途が分からないけど確かに登山で使ってそうなアイテムがいくつか見えたので、へぇと納得する。
「鍛冶屋杯もあるのに、雪山も登ろうっていうのは中々大変だねぇー」
「それが剣闘大会の醍醐味ですし」
大変な事だと思うけど全くそういう風に感じていないセキヤ君の笑顔を見て割とドキッとしたのは内緒です。
――おかしいなぁ……、こういうストレートなイケメンは私のタイプじゃなかったんだけどなぁ……。
自分の心の動きに疑問を持ちつつ、とりあえず用意ができた以上アスラの街にいる理由も無くなったので、とりあえず次の街に行こうとする。
「今日中にミーレーまで行けるかなー」
「多分大丈夫でしょう。天候は今日は安定している方なんで、よっぽどの事が起きても大丈夫ですよ」
「よっぽどの事……」
多分セキヤ君の中ではここまでの事件はよっぽどの事の内に入ってないんだろうなと思いつつ、せめて今日だけは何も起こらない事を祈りつつ、アスラの街を出発した。
いつもは先パイと一緒に研究所で楽しく魔力の研究をしているのですが、先日の手紙でもお伝えした新人のセキヤ君とあちこち旅をして資料を集める仕事が追加されて、きっとこの手紙が届く頃には北部入りしている頃だと思います。
憧れの先パイとの仕事ができなくなってしまって少し寂しいとかそんな事だけではないんです! 一杯愚痴りたい事があり過ぎるんです!
セキヤ君と旅をしていると事件に巻き込まれて巻き込まれて大変なんです! そして何が問題かって別にセキヤ君が問題を起こしているわけじゃないんですよ! 単純に運が悪いというか引き寄せる運が何かおかしいというか、とにかく悪い出来事に巻き込まれるんです!
旅を始めて初っ端からロープウェイが定期点検で使えなかったのを皮切りに、キャラバンと一緒に旅をすれば馬は逃げ出すし、新種の変異種の魔物に出会うし、季節外れのゲリラ豪雨に見舞われるしでネタが尽きません。
本人はもう昔っからこうですよって済ました顔で特に気にせず全部冷静に対処していて、そのスマートさが先パイとはちょっと違ったカッコよさになってるなとか思っても別に好みではないので特にそういう話をするつもりはないですけど、向こうから迫られたら断れないかもと色々と危険性が高い旅になってしまって私はもうどうしましょう!?
手紙を書いて現状を冷静に分析すれば少しは落ち着くかと思ったけど逆に意識しそうで怖いです! 先パイ助けて! 私は先パイ一筋だったはずなのに! なんでこんな試練を……!
なるほど、これはあれですね。俺に付いてくる覚悟があるならこんな誘惑には負けないよなっていう先パイからの試練だったんですね! 危ないところでした。まさか先パイがそんな試練をさらっと私に課してきてるとは思いませんでした。そんな素振り一切なかったのに、さすが私の憧れの先パイ! 私の予想を簡単に超えてくれますね!
ならば私も先パイの期待に応えましょう! こんな爽やかクールイケメンのセキヤ君との旅も何の問題もなく完璧にこなしてみせます! そして先パイが求める大好きな魔力の資料をお届けして、私の気持ちを全力でお伝えします!
――しまった、これはお父さんお母さんへの手紙だった!
北部と中央部の境目に位置するアスラの街。私とセキヤ君は様々な事件に見舞われつつも、ここまで二日でやってきてます。本来なら一日でこれる行程だったはずですけど、むしろあれだけ色々あっても二日で来れたのはセキヤ君の対処能力が高かったおかげだったと言えます。私一人だったらむしろ途中で引き返しててもおかしくない出来事だらけでした。
まあそもそもセキヤ君がいなければこれだけ問題が起こらなかったと言い切れる自信がありますが。
現在はセキヤ君が今後の旅で必要になる防寒具やらアイテムやらを買いに行ってくれてるタイミングで、私は待ち時間を使って両親に手紙を書いている所です。
途中暴走してしまった部分を消して改めて手紙に近況と今後の展開を書いて配達屋に届ける事にしました。しかし配達屋に行く際も、さっきの予想があながち間違っていないのではと思い、今後の旅はより気を引き締めて行う必要があるなと考えた。
――先パイ、絶対に私は誘惑に負けませんよ!
グッと握り拳を作って、決意を新たにしたタイミングで、セキヤ君も買い物を済ませてやってきていた。
「お待たせしました。……何かありました?」
「ううん、何でそう思ったのー?」
「いや、さっきよりも何か表情が晴れやかというかスッキリした感じになっているので。これからより寒い場所に行くのにテンション高そうですね」
「別に寒さとかは大丈夫だよー。魔法使いなら当たり前でしょー」
普通にやり取りしているけど、内心は結構グラッときていた。
――さらっと私の表情の変化に気付くとか、この子本当にヤバいわ。
何とかその鼓動の高鳴りに気付かれないように、通常運転を務める。しかしセキヤ君は私のしゃべり方とかにあんまり抵抗感とか嫌悪感を表に出さないよな。自分でも思っている感じと喋ってる感じに差があって若干コンプレックスになってるのに。
「さすがですね。それじゃあこれがエリアスさんの分です。防寒具一式を入れておきました」
動きやすい系の服としっかりと暖を取れる服の二種類をいくつか用意してくれたようだった。しかしその荷物を持って違和感を感じる。それは私の荷物より明らかにセキヤ君の荷物の方が多かったからだ。
「そっちは随分と大荷物になってるけど?」
「一応時間があったら雪山竜の山にも行ってみようと思ってたので、それ用の装備も入ってるからです」
登山用品とかですねとセキヤ君が中身を見せる。イマイチ用途が分からないけど確かに登山で使ってそうなアイテムがいくつか見えたので、へぇと納得する。
「鍛冶屋杯もあるのに、雪山も登ろうっていうのは中々大変だねぇー」
「それが剣闘大会の醍醐味ですし」
大変な事だと思うけど全くそういう風に感じていないセキヤ君の笑顔を見て割とドキッとしたのは内緒です。
――おかしいなぁ……、こういうストレートなイケメンは私のタイプじゃなかったんだけどなぁ……。
自分の心の動きに疑問を持ちつつ、とりあえず用意ができた以上アスラの街にいる理由も無くなったので、とりあえず次の街に行こうとする。
「今日中にミーレーまで行けるかなー」
「多分大丈夫でしょう。天候は今日は安定している方なんで、よっぽどの事が起きても大丈夫ですよ」
「よっぽどの事……」
多分セキヤ君の中ではここまでの事件はよっぽどの事の内に入ってないんだろうなと思いつつ、せめて今日だけは何も起こらない事を祈りつつ、アスラの街を出発した。
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