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6戦目
スギヤとミスト1
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「うー、まだまだ課題は多いってことか…‥」
「そりゃ三対一で負けるわけにはいかないからな!」
「はっはっは。とにかく昼飯にしようや。もう腹が減っちまったぜ!」
リリィは訓練に付き合ってくれた剣闘士たちと村の食堂に行くようで、私も後から付いていく事にした。少し話がしたいのでとスギヤさんとミストも一緒にやってきた。
「第三回鍛冶屋杯はどうする予定なのか確認しておこうとおきまして」
注文を終えた後でセキヤさんが質問してくる。テーブルには私とスギヤさんとミストの三人で、リリィたちは別のテーブルにいる。
「リリィが四対一で勝てるようになったら行こうかと思ってたから、今回は見送りね」
すっかり『ワンアタック』のメンバーとも打ち解けたリリィを置いて自分だけ行くというのも有りだとは思ったが、鍛冶屋杯よりもここのメンバーと訓練する方が良い経験になるなと思ってきたところなので、今後はここにお世話になりまくるつもりでいた。
「そうですか、では私もお留守番します。メンバーの引率はミスト、任せましたよ」
「えっ!?」
スギヤさんの発言にミストが驚いていた。スギヤさんもお留守番するという提案にはさすがに気が引ける部分があった。しかし私が何か言う前にミストが反論する。
「何でスギヤさんがここに残るんですか。前回こいつのせいで取れなかった分、第三回で挽回すべきじゃないですか!?」
「ミスト、客人をこいつ呼ばわりするのは頂けません。それに前回はゴウもいたのです。エレアさんがいなかったとしても勝てたとは思えません」
「そんなの分からないじゃないですか!? 私もモリもいて三人で戦えた、もしかしたら最後のチャンスだったかもしれないのに!」
鍛冶屋杯の組み合わせは完全にランダム。『ワンアタック』の中でも上位の強さであるスギヤさん、ミスト、モリさんの三人でゴウさんに戦えるチャンスは確かに今後もあるかどうかは分からない。もしろない確率の方が高いとさえ思える。
しかしスギヤさんはその考え方が駄目だとミストを逆に叱りつけた。
「ミスト、確かに私たちは大勢でゴウのような強敵に勝つべく集まりました。しかし最終的には一対一で彼に勝たなくてはなりません。多人数で勝つ事と同じように、一人でも勝つ事を今後は考えていく必要があるんです。前回エレアさんにそれを教わったじゃないですか」
そこで私の名前が出てきたので、私はミストの方を見ないようにした。
スギヤさんが私たち、というか私を『ワンアタック』に誘ったのは、今までとは違う考え方を持つ私からその考えや戦い方を学びたいからと言っていた。前回の鍛冶屋杯で私の言った事に感銘を受けたらしく、尊敬の目で見られるようになった。
それだけなら私もむしろ誇らしい気分でいられたから良かったのだが、ミストはそれに不満があるようで、ここに来るまでも、ここに来てからも、常に私を敵視していた。
今みたいにスギヤさんが私の名前を出せば、ミストは私を親の敵のように睨み付けてくる。面と向かって見てしまうとあれこれ暴言が飛んでくるし、私としても一々相手にするのにいい加減疲れてきたので見ないようにしている。もちろん見なくても今ミストがどんな表情なのか分かる。その表情を見たら、きっとリリィは怯えて私の後ろに隠れてしまうだろう。そんなリリィの可愛い姿を想像してその怒りの雰囲気を受け流していた。
「私はエレアさんに剣術面でも精神面でもまだまだ教わりたいので、エレアさんと一緒にここに残ります。分かってくれますね?」
少し口調が荒いミストと対称的に、大人の落ち着きのある話し方でスギヤさんは説得する。少しの沈黙を置いてから、場の雰囲気が少し緩まるのを感じた。
「……、わかりました。今回は私が皆を連れていきます」
渋々といった感じではあったが、スギヤさんはそれに満足して大層な笑顔を見せる。そしてちょうど話が一区切り着いたタイミングで料理が運ばれてきた。
「さ、今日も午後から頑張るためにも、しっかり食べましょう」
「はい、いただきます!」
「……いただきます」
スギヤさんに説得させられて気落ちしているミストを尻目に、私は村の特産品であるタケノコ料理をたっぷり食べた。
「そりゃ三対一で負けるわけにはいかないからな!」
「はっはっは。とにかく昼飯にしようや。もう腹が減っちまったぜ!」
リリィは訓練に付き合ってくれた剣闘士たちと村の食堂に行くようで、私も後から付いていく事にした。少し話がしたいのでとスギヤさんとミストも一緒にやってきた。
「第三回鍛冶屋杯はどうする予定なのか確認しておこうとおきまして」
注文を終えた後でセキヤさんが質問してくる。テーブルには私とスギヤさんとミストの三人で、リリィたちは別のテーブルにいる。
「リリィが四対一で勝てるようになったら行こうかと思ってたから、今回は見送りね」
すっかり『ワンアタック』のメンバーとも打ち解けたリリィを置いて自分だけ行くというのも有りだとは思ったが、鍛冶屋杯よりもここのメンバーと訓練する方が良い経験になるなと思ってきたところなので、今後はここにお世話になりまくるつもりでいた。
「そうですか、では私もお留守番します。メンバーの引率はミスト、任せましたよ」
「えっ!?」
スギヤさんの発言にミストが驚いていた。スギヤさんもお留守番するという提案にはさすがに気が引ける部分があった。しかし私が何か言う前にミストが反論する。
「何でスギヤさんがここに残るんですか。前回こいつのせいで取れなかった分、第三回で挽回すべきじゃないですか!?」
「ミスト、客人をこいつ呼ばわりするのは頂けません。それに前回はゴウもいたのです。エレアさんがいなかったとしても勝てたとは思えません」
「そんなの分からないじゃないですか!? 私もモリもいて三人で戦えた、もしかしたら最後のチャンスだったかもしれないのに!」
鍛冶屋杯の組み合わせは完全にランダム。『ワンアタック』の中でも上位の強さであるスギヤさん、ミスト、モリさんの三人でゴウさんに戦えるチャンスは確かに今後もあるかどうかは分からない。もしろない確率の方が高いとさえ思える。
しかしスギヤさんはその考え方が駄目だとミストを逆に叱りつけた。
「ミスト、確かに私たちは大勢でゴウのような強敵に勝つべく集まりました。しかし最終的には一対一で彼に勝たなくてはなりません。多人数で勝つ事と同じように、一人でも勝つ事を今後は考えていく必要があるんです。前回エレアさんにそれを教わったじゃないですか」
そこで私の名前が出てきたので、私はミストの方を見ないようにした。
スギヤさんが私たち、というか私を『ワンアタック』に誘ったのは、今までとは違う考え方を持つ私からその考えや戦い方を学びたいからと言っていた。前回の鍛冶屋杯で私の言った事に感銘を受けたらしく、尊敬の目で見られるようになった。
それだけなら私もむしろ誇らしい気分でいられたから良かったのだが、ミストはそれに不満があるようで、ここに来るまでも、ここに来てからも、常に私を敵視していた。
今みたいにスギヤさんが私の名前を出せば、ミストは私を親の敵のように睨み付けてくる。面と向かって見てしまうとあれこれ暴言が飛んでくるし、私としても一々相手にするのにいい加減疲れてきたので見ないようにしている。もちろん見なくても今ミストがどんな表情なのか分かる。その表情を見たら、きっとリリィは怯えて私の後ろに隠れてしまうだろう。そんなリリィの可愛い姿を想像してその怒りの雰囲気を受け流していた。
「私はエレアさんに剣術面でも精神面でもまだまだ教わりたいので、エレアさんと一緒にここに残ります。分かってくれますね?」
少し口調が荒いミストと対称的に、大人の落ち着きのある話し方でスギヤさんは説得する。少しの沈黙を置いてから、場の雰囲気が少し緩まるのを感じた。
「……、わかりました。今回は私が皆を連れていきます」
渋々といった感じではあったが、スギヤさんはそれに満足して大層な笑顔を見せる。そしてちょうど話が一区切り着いたタイミングで料理が運ばれてきた。
「さ、今日も午後から頑張るためにも、しっかり食べましょう」
「はい、いただきます!」
「……いただきます」
スギヤさんに説得させられて気落ちしているミストを尻目に、私は村の特産品であるタケノコ料理をたっぷり食べた。
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