断罪されたが骸の嫁になりました

にい

先程から痛みがないのだがっと男の方を見ると男は倒れており
私は何故か宙に浮いていた

「…とうとう、死んだのか」

霊になると宙に浮けると聞いていたが、思っていたよりも動きにくいものだ

「…死んでないぞ、小娘」

聞いたことのある声が上から聞こえた
私は上を見ると暗めの色のフードを深く被った骸があった
骸は私を抱き締めるかのように腕を回していた

「…骸が動いてる」
「骸と言われたのは久しぶりだな」

聞き間違え出なければなのだが骸が喋ったようだ
というか、この声は…

「牢屋の時の声？」
「ふむ、ちゃんと覚えているようだな」

良い声で気に入っていたというのに
まさか骸だったとは、ちょっと残念だ

「ひぃっ、！、」
「リッ、リッチだ！！」
「あのフードは上位種だ！…しかも特殊だと！？」

何処かからか集まってきていた人たちはこちらを見て驚き
皆、恐れていることが見てわかった

「な、なぜ…、」
「………」

王子達も驚いている
武装している男達は王子達を守るかのように囲む
どうやら、この出来事は予想の範囲外だったようだ

「この娘を我の妻にすることとした」
「え？」
「「「は？」」」

聞き間違えだろうか
今、骸に告白された？
いや、それを通りすぎて妻だと？

「異論は無いな？」

私はこのままでは死ぬ予定だったし別に構わない
もしかしたら、死ぬよりも辛いことが今後待っているかもだけど
何となくだが、そんなことは無さそうな気がする
あの時のように質問をすれば答えをくれるであろう

「小娘、名前は」
「え、あぁ  名前…」

私の記憶には名前がない
どうやら、忘れてしまったらしい
なら、この体の名前とも考えたがなんか違う気がする

「名前はないわ。」

というか、名前も知らないような小娘を妻にする骸の考えがわからない

「シャルト・キャメリアと呼ばれていたようだが？」
「…私にはしっくりとはこないの」

きっとこの体を産んで育ててくれた人たちがつけてくれたのだろう
何か意味がある言葉なのかもしれない
まあ、私は私であって身体わたしは心わたしではない
だから、その名前はいらない

「それに、私は貴方の所に嫁ぐのでしょう？ 好きに呼んでください」
「…」
「シャルト・キャメリアは先程、罪人として罰せられたのですから その名前は合わないと伝えた方が良いかしら？」

そういうと骸は笑い出す
表情というものはないのだが声や体の揺れで笑っていることを感じた

人たちがその笑いに青ざめ、逃げるものもいた
そんななか、迎え撃とうと睨むものもいる
それに気づいたのか笑うことを止めた

「そうか、では小娘 行くぞ」

宙に高く上がっていく
まるで、演出の一つだと人間に見せつけるかのように

誰かが私身体の名前を呼んだ気がしたが
それに答えることなく私と骸はその場から消えた