【完結】討伐される魔王に転生したので世界平和を目指したら、勇者に溺愛されました

じゅん

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二章 発情トラブル

発情トラブル 8

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 それから数日後。
「うわっ、もう学校ができてる」
 一緒に城の周辺を歩いていたヴィンセントがのけぞった。
「この僕が陣頭指揮を執っているのですから、当然です」
 後ろから声がして、ぼくたちは振り返った。そこには予想どおり、笑みを浮かべた白衣のレザードがいた。
「魔族って、建物を造るのもこんなに早いのか?」
「まさか。僕が有能だからなせるわざ。一部ですが、既に授業も始まっていますよ。カリキュラムの作成や講師の選定など、本当に大変でした。せいぜい感謝なさってください」
 ヴィンセントの問いに、鼻を高くしたレザードが答えた。
 絵に描いたようなドヤ顔だな。
「よく授業を受ける者がいたな」
 ぼくは感心する。
 自分で学校を作ろうと発案しておいてなんだけど、自由奔放な魔族に授業を受けさせるには、もっと時間がかかると思っていた。
「そこはエルネストさんが殊のほか頑張っておいででして。よほどあなたの血を飲みたいらしい」
 あの読めない柔和な笑顔を思い出して、背筋がゾクッとした。
 血を吸われたら、やっぱり痛いのかな。レバーとかホウレンソウとか、血を増やす食事を心がけたほうがいいかもしれない。
「そうだ、ちょうど良かった魔王さま。土壌環境を改善する魔法陣を開発しました。魔力が高い者ほど効果が高い。あなたが畑に施すなら、一夜にして、種が収穫できるほどに育つ土壌となるでしょう。伝授してさしあげるので、お手透きの際に僕の研究室に来てください」
 そう言って、レザードは去って行った。
「偉そうだけど、言うだけのことをするんだな」
 ヴィンセントは白衣の背中を見送りながら称賛する。
「彼は努力型の秀才だ。口にする何倍も試行錯誤をしているはずだ」
 さすがレザード、と思いながら、ぼくは言い添えた。
 思っていたよりも早く魔族たちの意識改革が進みそうだ。こうして魔族が人に危害を加えなくなったら、人の国王に交渉ごとを持ちかけることができるだろう。
「おい、そこの人間」
 声のした方向に顔を向けると、リザード族たちがいた。
 先頭にいるリザード族は二メートル以上あり、簡易的な鎧を身に着けているものの、背面は岩のような鱗、正面は鋼のような肉体で、鎧が必要ないほどのパワータイプの魔族だ。
「なんで俺たちが魔力もねえひ弱な人間と暮らすために労働する羽目になるんだよ。ふざけんな。魔王を後ろ盾にしやがって、腰抜けのしそうなことだ」
 周囲のリザード族も、そうだそうだと囃し立てる。
 その後ろ盾であるぼくが傍にいるのに、いい度胸をしているじゃないか。
 ぼくが注意しようと足を踏み出すと、ヴィンセントに腕を引かれた。
「……ヴィンセント?」
「弱いとか、腰抜けだとか、こっちに来て何度言われたことか。アーシェンの顔を立てて黙っていたが、我慢を美徳とするのは人間だけなんだろうな」
 ヴィンセントは腰にある聖剣を鞘から抜いた。剣から放たれる聖気に嫌悪感を抱き、ぼくは数歩離れる。
「ここは一丁、魔族の流儀に則るとしようか。力が正義なんだろ。聖剣カレトヴルッフの試し斬りもしたかったんだ」
「ほほう、人間のくせに、わかってるじゃねえか。先に剣を抜いたんだ、死んじまっても文句を言うなよ。まあ、死んだら言えねえか」
 リザード族たちが大笑いをする。特に聖剣に対する反応はないので、カレトヴルッフはあくまでも魔王に対して特殊な効果があるのかもしれない。
「いくぞ」
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