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5 ニセモノの写真を見抜け!
ニセモノの写真を見抜け! 1
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わたしはまず、一枚目の写真を手に取った。
家族三人が、食事をしているところみたい。
写っているのは肩まである金髪の男の子と、その両親かな。
この金髪の人が、きっと不良の一人だね。
名前がわからないから、金髪センパイと呼ぼうっと。
よく見ると、テーブルに大きなホールケーキがのっていて、ろうそくが十四本立っている。
金髪センパイの誕生日なんだ!
テーブルの上にはケーキのほかに、お寿司やチキンが置いてある。ごちそうだね。
金髪センパイの服装は、パーカーにGパンというラフな格好。お父さんもお母さんも、休日らしくゆるいカッコウをしている。
「注目するポイントは、時間だな」
大地センパイが、テーブルに置いてあるデジタル時計を指さした。
「三時五十分ですね」
わたしは時間を読み上げる。
「ここは彼の自宅だ。家まで見に行ったから、間違いない」
生徒会長、そこまでしていたんだ。
「彼の家から学校まで、一時間はかかる」
「……ということは、この写真を撮ってすぐに家を出たとしたら、学校に到着するのは四時五十分。警備員さんが五時に戻ってくるんだから、ギリギリ鍵を取れる……かな?」
「どうかな。警備員の巡回時間はパターン化していたから、調べようと思えば事前にわかるはずだ。そんなギリギリになるようなスケジュールは、オレだったら組まないよ」
大地センパイが低い声でそう言った。
「だとしたら、この時計の時間が違うのかな? たとえば、時間を修正しているとか」
パソコンとか使えば、画像をいじることができる気がする。わたしはできないけど。
「それは難しそうだ。このデジタル時計、表面のガラスが光を反射しているだろ? この光が邪魔で、不自然にならないよう数字を変えるのは、難しい気がするな」
「じゃあ、時間はそのままだけど、日付が違うってどうですか?」
時間が三時五十分だったら、前日に映していても、同じ写真になるもんね!
「ぼくもそれを考えた。だから、ご両親に話を聞きたくて、彼の家に行ってみたんだよ。そうしたら、彼の誕生日はこの日曜日で間違いがないと言っていた」
「時計の時間を早めるか遅らせているということは?」
そう尋ねたのは、大地センパイ。
「それも確認した。この時間で合っているそうだ」
「わたし、こんな中半端な時間に食事しているのが気になります!」
「そうだね。ぼくも一応確認した。この日は朝食を食べるの遅かったことと、ご両親が夜仕事があることから、早めのディナーとして、中途半端な時間の誕生会になったらしい」
ウーン、そう聞いても納得できないな。
ちょっと不自然な気がする。
「紫苑は、彼の両親に会っているんだよな? ウソをついている感じはしたか? 親なら、息子をかばうことはあり得るだろう」
「いや、そんな印象は受けなかった。息子が急に金髪にしても気にしないような、おおらかな感じのご両親だったよ」
「じゃあ裏口を合わせて、捏造写真を作成したって可能性はないのか?」
「わからない。初めて会ったから、息子をかばうための演技をしていたとしても、ぼくには見抜ける自信がない」
いくつかの可能性は消せたと思うけど、グレーな感じはぬぐえなかった。
金髪センパイが犯人かどうか、まだなんとも言えないね。
とりあえず、わたしたちは次の写真を確認することにした。
「わっ、すごい! これがリーゼント!」
さっき生徒会長が、「前髪がフランスパンのように伸びている」って言ってたけど、本当にそのとおりでびっくりした。ペリカンのくちばしみたいに、額からニョキッと、十五センチくらい髪が突き出している。
この人のことは、リーゼントセンンパイって呼ぼう。
髪型だけでインパクトがあるのに、服装も派手だよ!
右前合わせの黒いシャツに、真っ赤で迫力のある竜のイラスト! ウロコまで立体的だよ。
リーゼント先輩は自撮りをしたみたいで、上半身しか映っていない。
「この背景、見たことがある気がします」
そうわたしが言うと、
「ここはとなりの県にある美術館だ」
と、生徒会長が答えてくれた。
そうだ、わたしも行ったことがある! 有名な美術館なんだよ。
あれ、でもここって、けっこう遠かったような……。
家族三人が、食事をしているところみたい。
写っているのは肩まである金髪の男の子と、その両親かな。
この金髪の人が、きっと不良の一人だね。
名前がわからないから、金髪センパイと呼ぼうっと。
よく見ると、テーブルに大きなホールケーキがのっていて、ろうそくが十四本立っている。
金髪センパイの誕生日なんだ!
テーブルの上にはケーキのほかに、お寿司やチキンが置いてある。ごちそうだね。
金髪センパイの服装は、パーカーにGパンというラフな格好。お父さんもお母さんも、休日らしくゆるいカッコウをしている。
「注目するポイントは、時間だな」
大地センパイが、テーブルに置いてあるデジタル時計を指さした。
「三時五十分ですね」
わたしは時間を読み上げる。
「ここは彼の自宅だ。家まで見に行ったから、間違いない」
生徒会長、そこまでしていたんだ。
「彼の家から学校まで、一時間はかかる」
「……ということは、この写真を撮ってすぐに家を出たとしたら、学校に到着するのは四時五十分。警備員さんが五時に戻ってくるんだから、ギリギリ鍵を取れる……かな?」
「どうかな。警備員の巡回時間はパターン化していたから、調べようと思えば事前にわかるはずだ。そんなギリギリになるようなスケジュールは、オレだったら組まないよ」
大地センパイが低い声でそう言った。
「だとしたら、この時計の時間が違うのかな? たとえば、時間を修正しているとか」
パソコンとか使えば、画像をいじることができる気がする。わたしはできないけど。
「それは難しそうだ。このデジタル時計、表面のガラスが光を反射しているだろ? この光が邪魔で、不自然にならないよう数字を変えるのは、難しい気がするな」
「じゃあ、時間はそのままだけど、日付が違うってどうですか?」
時間が三時五十分だったら、前日に映していても、同じ写真になるもんね!
「ぼくもそれを考えた。だから、ご両親に話を聞きたくて、彼の家に行ってみたんだよ。そうしたら、彼の誕生日はこの日曜日で間違いがないと言っていた」
「時計の時間を早めるか遅らせているということは?」
そう尋ねたのは、大地センパイ。
「それも確認した。この時間で合っているそうだ」
「わたし、こんな中半端な時間に食事しているのが気になります!」
「そうだね。ぼくも一応確認した。この日は朝食を食べるの遅かったことと、ご両親が夜仕事があることから、早めのディナーとして、中途半端な時間の誕生会になったらしい」
ウーン、そう聞いても納得できないな。
ちょっと不自然な気がする。
「紫苑は、彼の両親に会っているんだよな? ウソをついている感じはしたか? 親なら、息子をかばうことはあり得るだろう」
「いや、そんな印象は受けなかった。息子が急に金髪にしても気にしないような、おおらかな感じのご両親だったよ」
「じゃあ裏口を合わせて、捏造写真を作成したって可能性はないのか?」
「わからない。初めて会ったから、息子をかばうための演技をしていたとしても、ぼくには見抜ける自信がない」
いくつかの可能性は消せたと思うけど、グレーな感じはぬぐえなかった。
金髪センパイが犯人かどうか、まだなんとも言えないね。
とりあえず、わたしたちは次の写真を確認することにした。
「わっ、すごい! これがリーゼント!」
さっき生徒会長が、「前髪がフランスパンのように伸びている」って言ってたけど、本当にそのとおりでびっくりした。ペリカンのくちばしみたいに、額からニョキッと、十五センチくらい髪が突き出している。
この人のことは、リーゼントセンンパイって呼ぼう。
髪型だけでインパクトがあるのに、服装も派手だよ!
右前合わせの黒いシャツに、真っ赤で迫力のある竜のイラスト! ウロコまで立体的だよ。
リーゼント先輩は自撮りをしたみたいで、上半身しか映っていない。
「この背景、見たことがある気がします」
そうわたしが言うと、
「ここはとなりの県にある美術館だ」
と、生徒会長が答えてくれた。
そうだ、わたしも行ったことがある! 有名な美術館なんだよ。
あれ、でもここって、けっこう遠かったような……。
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