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じゅん

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一章 猫又とおばあちゃん

一章 7

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 それから二週間ほど経った夜。まだ毬瑠子とマルセルしかいないBAR SANGに小さな客がやってきた。
 人型のクロだ。
 耳としっぽをたらし、その目は真っ赤に腫れていた。
「おばあちゃん、死んじゃったにゃ」
「看取ったのですか?」
 クロはうなずいた。
「ずっと手を握ってたにゃ。ボクのこと、大好きだって言ってくれたにゃ。ボクも何度も大好きだって伝えたにゃ」
「喜んでいたでしょうね」
「笑顔だったにゃ。眠るように……」
 嗚咽で言葉は途切れ、クロはあふれる涙を手の甲で拭った。
「もっとおばあちゃんと一緒にいたかったにゃ。死んでほしくなかったにゃ。でもボク、あれからはそう言うのをやめたにゃ。おばあちゃんを困らせるだけにゃ」
「頑張りましたね」
 マルセルはカウンターから出て、クロの前でかがんで小さな頭に手をのせた。クロが泣き止むまでそのまま頭をなでている。
「おばあちゃんの匂いのするあの部屋にずっといようと思ったけど、おばあちゃんがここに行くようにって言ってたにゃ」
「そうですか」
 マルセルはクロを抱いて立ち上がった。
「クロ、ここでわたしと共に暮らしましょうか」
「ここでにゃ?」
「このバーの二階がわたしの住居です。ここにはあやかしが集まりますから、淋しくありませんよ」
 クロはすぐ近くにあるマルセルを見つめた。瞬きをすると、瞳に溜まっていた涙が頬に流れた。
「ボク、ここにいていいにゃ?」
「歓迎します」
 クロはマルセルに抱きついた。
「ありがとにゃ」
 マルセルはあやすようにクロを揺すって、小さな背中をなでた。
 店に猫又が加わった。
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