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4 髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】
髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】 6
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(ああ、来る……)
全身が焼けただれている霊が。
腐臭を放ち、肉をしたたらせながら。
(もう、ダメ……!)
アカリは強く目をつむった。
その時。
ガチャンとガラスが割れる大きな音がしたかと思うと、駆動音が近づいてきた。
――ぎゃあああああああぁぁぁ!
アカリの体は自由になった。
目を開くと、目の前で霊が腹を押さえて、うめいている。
腹には、ドローン。ドローンには札がついていた。
(京四郎くんだ)
札を霊に当てれば、効果があるのだ。
「成仏して!」
アカリは手にしていた札を、霊の胸に押し付けた。
再び霊は悲鳴をあげた。
霊は白い煙を上げて、もがいている。
真新しかった部屋が、だんだんと汚れて朽ちていく。
この部屋がきれいだったのも、霊の力だったようだ。
霊が苦しそうになにかを吐き出すと、ただれていた肌がきれいになっていき、二十代前半の髪のない華奢な女性に変化した。
吐き出したものは、赤色の髪だった。
――ごめんなさい、こんなことをするつもりでは……。
(幽霊が、謝った)
人を襲うことは不本意だったのか。
――なにかを飲まされてから、恨みつらみが膨らんで、自分の体ではないようになったのです。
赤いワンピースの女性は、細い喉をなでた。
「飲まされたのって、それ?」
翔陽は落ちている赤色の髪をゆびさした。霊は「おそらく」と答える。その赤髪は消えてしまった。
「翔ちゃん、だいじょうぶ?」
アカリは翔陽に駆け寄った。先ほど壁に強く叩きつけられていた。死んでしまったのかと怖かった。
「コブになってるけどな。額の切り傷の血も、もうとまったよ」
翔陽はニッと笑った。アカリはホッとした。
「ねえ、私の髪、いる?」
冴子が霊にたずねた。
「それとも、髪が欲しいというのも、本心じゃなかった?」
――きれいな髪。欲しい。いいの?
「いいわ。願掛けは叶ったから」
冴子は髪を片手で握ると、カバンからナイフを出して、首のあたりでちゅうちょなく切った。
「もったいない」
アカリは思わずつぶやいた。
「どうぞ。少しでも、あなたの気持ちが軽くなるといいけれど」
――ありがとう。
霊は冴子の髪を両手で受け取ると、冴子の髪ごと、ほほ笑みながら消えていった。
怪異はなくなった。
「終わった――ッ! マジで今回のは、死ぬかと思った」
翔陽が額に手を当てて天井を仰いだ。
(本当だよ、こんなの、もうコリゴリ!)
ふっと、となりにいる冴子の体がかたむいた。
「冴子ちゃん!」
アカリは冴子の体を支えようとしたが、相手のほうが体が大きいので踏ん張りきれずに、二人してしゃがみ込む。
「どうしたの、冴子ちゃん」
冴子はぎゅっとアカリに抱きついた。細い肩が小刻みに震えている。
「怖かった……」
冴子は顔をアカリの胸にうずめた。短くなった髪の下にある細い首は、髪が巻き付いて絞められた赤い筋が生々しく残っている。
(そうだよね。いくら冴子ちゃんでも、死にかけて怖くないはずがない)
アカリは冴子を抱きしめて、背中をさすった。
「これが、怖いって感情なのね……」
冴子の顔を覗き込むと、口元は笑みを浮かべている。
(あれ、冴子ちゃん、怖がってるの? 喜んでるの?)
アカリはとまどいながらも、冴子の背中をなでていた。
全身が焼けただれている霊が。
腐臭を放ち、肉をしたたらせながら。
(もう、ダメ……!)
アカリは強く目をつむった。
その時。
ガチャンとガラスが割れる大きな音がしたかと思うと、駆動音が近づいてきた。
――ぎゃあああああああぁぁぁ!
アカリの体は自由になった。
目を開くと、目の前で霊が腹を押さえて、うめいている。
腹には、ドローン。ドローンには札がついていた。
(京四郎くんだ)
札を霊に当てれば、効果があるのだ。
「成仏して!」
アカリは手にしていた札を、霊の胸に押し付けた。
再び霊は悲鳴をあげた。
霊は白い煙を上げて、もがいている。
真新しかった部屋が、だんだんと汚れて朽ちていく。
この部屋がきれいだったのも、霊の力だったようだ。
霊が苦しそうになにかを吐き出すと、ただれていた肌がきれいになっていき、二十代前半の髪のない華奢な女性に変化した。
吐き出したものは、赤色の髪だった。
――ごめんなさい、こんなことをするつもりでは……。
(幽霊が、謝った)
人を襲うことは不本意だったのか。
――なにかを飲まされてから、恨みつらみが膨らんで、自分の体ではないようになったのです。
赤いワンピースの女性は、細い喉をなでた。
「飲まされたのって、それ?」
翔陽は落ちている赤色の髪をゆびさした。霊は「おそらく」と答える。その赤髪は消えてしまった。
「翔ちゃん、だいじょうぶ?」
アカリは翔陽に駆け寄った。先ほど壁に強く叩きつけられていた。死んでしまったのかと怖かった。
「コブになってるけどな。額の切り傷の血も、もうとまったよ」
翔陽はニッと笑った。アカリはホッとした。
「ねえ、私の髪、いる?」
冴子が霊にたずねた。
「それとも、髪が欲しいというのも、本心じゃなかった?」
――きれいな髪。欲しい。いいの?
「いいわ。願掛けは叶ったから」
冴子は髪を片手で握ると、カバンからナイフを出して、首のあたりでちゅうちょなく切った。
「もったいない」
アカリは思わずつぶやいた。
「どうぞ。少しでも、あなたの気持ちが軽くなるといいけれど」
――ありがとう。
霊は冴子の髪を両手で受け取ると、冴子の髪ごと、ほほ笑みながら消えていった。
怪異はなくなった。
「終わった――ッ! マジで今回のは、死ぬかと思った」
翔陽が額に手を当てて天井を仰いだ。
(本当だよ、こんなの、もうコリゴリ!)
ふっと、となりにいる冴子の体がかたむいた。
「冴子ちゃん!」
アカリは冴子の体を支えようとしたが、相手のほうが体が大きいので踏ん張りきれずに、二人してしゃがみ込む。
「どうしたの、冴子ちゃん」
冴子はぎゅっとアカリに抱きついた。細い肩が小刻みに震えている。
「怖かった……」
冴子は顔をアカリの胸にうずめた。短くなった髪の下にある細い首は、髪が巻き付いて絞められた赤い筋が生々しく残っている。
(そうだよね。いくら冴子ちゃんでも、死にかけて怖くないはずがない)
アカリは冴子を抱きしめて、背中をさすった。
「これが、怖いって感情なのね……」
冴子の顔を覗き込むと、口元は笑みを浮かべている。
(あれ、冴子ちゃん、怖がってるの? 喜んでるの?)
アカリはとまどいながらも、冴子の背中をなでていた。
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