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第1章 レッツスローライフ

薬物はダメ、絶対に (2)

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せっかく逃走してまで手に入れた素材がまさかの危険ドラッグで、地味に凹んでいる天海 千夜あまみ せんやです。

「黄金りんごと水だけで回復薬ポーションって作れるのかな?」

いっちょ試してみる?私は家に入り、二階の調薬室に向かう。

回復薬ポーションを作るに当たって、必要そうなものを用意する。ご丁寧なことに、部屋の木の戸棚にはものすごい数と種類の道具が保管されていた。

やっぱりこの家すごすぎる。神はこの家にどんな要素を求めたんだろう?

「使いそうな道具………。何があるかな?」

鍋はもうすでに魔道コンロ的なプレート(キッチンのコンロと同じ)の上に載ってるから絶対必需。

そのほかには材料をすり潰す道具…?水差し…?かき混ぜ棒…?

とりあえず思いつく限りの道具は揃えたから、早速人生☆初のポーション作りに挑戦して行こうじゃありませんか。

「えっと………材料と水を入れて煮詰めるだけでいいんだよね?」

回復薬ポーションの製法を脳内で反芻しながら、私はまず黄金りんごをすりつぶしにかかる。どんくらい必要になるかわからないから、3個ぐらいすりつぶしとこ。

「蜂蜜を入れてみるとおいしいんじゃないかな?」

いや、もともと入れることになってたドラッグどもがないから、ちょっとやっぱり何か足したいんですよ。誰かこの気持ち共感してくれないかな?

異次元収納から蜂蜜を取り出し、適量入れる。なんか、回復薬ポーション作りというか、料理してるみたい。

「気づかなくてよかった事実だよね、これ?」

これは調薬です!断じて料理ではありませんから。ポーション作りだよポーション作り。

でも食料のレパートリーが増えてきたら、料理レシピの研究もしたいな。やっぱり異世界に来たって地球の料理は懐かしくなるもんですよ。

「よし!果実の方はできた!あとは水と混ぜて煮詰めるだけ!!」

出来上がったペースト状の黄金りんごを持って、私は鍋に向かう。

鍋の中には、事前に水をある程度入れておいた。はっはっは!用意周到ですよ!

誰?今、魔王っぽいとか言った奴。名乗り出れば4分の3殺しで勘弁してあげるよ……?

まあ、冗談はさておき、キッチンのコンロと同じように、コンロのスイッチを押して火を付ける。初見だし、とりあえず無難に中火で行こう。


◇ ◇ ◇

「うーん………」

現在、鍋の中では混合液が着々と煮詰まっている。

私はそんな液体の表面に浮いている奴らを見ている。作り方の本には煮詰めるだけでいいよか言ってたけど………。

「とった方が絶対いいよね?このアク」

そう。水面には今アクが浮いているのです。それもかなりの量。黄金りんごはアクが出やすい食べ物なのか?

あ、ファンタジーの定番だけど、この世界のポーションはうまいのが一個もないらしい。まったく……アクを取らないからまずいんだよ。いや、本当かどうか知らないけど。

私はおたまを使って浮いているアクを丁寧に取り除く。そしてそのとったアクは別の入れ物に入れておく。水やりとかに使えるかもしれないし。

「ていうか、どこまで煮詰めればいいの?」

沸騰?沸騰するまでなの?そしたら結構長いな……。
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