幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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文久3年

幕間:ちょっと聞いてみました

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 未だ森の中を行軍中(ほむろによる情報)のある日の昼下がり(だと思いたい)。

(ねえねえ、ほむろ)
『ん?なんじゃ?』
(聞きたいことがあるんだけどさ)
『む?』

 この間、私がほむろ(九尾の狐)の能力を吸収してしまったせいで9つの人外能力を得て、人として大事なものを9個なくした、って話を聞いた。

 この9個の能力とものは、私が一回死ぬごとに一個ずつ減って、戻ってくることも聞いた。

 そしてよりたくさん死ねる(危ない人ではありませんから!)チャンスを求めて、治安が悪いらしい京の都に行くんだって。

 しかしさ、ぶっちゃけ………。

(崖から飛び降りたりして9回稼げないの?)

 こう思うわけよ。

 だって9回死ねば真人間に戻るんなら、なにもはるばる京の都に行く必要はないんじゃないの?

 こう………いろいろ方法があるじゃないですか。言いやしませんけど。

『ならん!』
(………なぜでございましょう?)
『妾は目の前で人が自殺するのを見たくなどないからじゃ!』

 え。そうなの?

『戦って散るのならいざ知らず、意味のある命を捨てる行為など、見たくない』

 ………どうやらほむろにもほむろのプライドがあるらしい。

『妾は、自分の行いが誰かを死に追いやるのを見たくはない。だからこそ人の世には一切関わらないできたのじゃ………』

 ん?なんのこと?

 と思ったが理由を思い立った。

 私が自ら命をたとうとする場合、ほむろの指示がないと何もできないのだ。私は目が見えないので。

 となると、ほむろが示した情報が私の死に直結する。ほむろはそれが嫌なのだろう。

『それに、今の世は何度も言うようだが危険じゃ。さっさと命を9本消費して、もしものときにどうする?』
(……………)

 うん、死にますね。

(でもさ、そしたらどこかに隠居すればいいじゃん?)
『妾は隠居が嫌いじゃ』
(いや、別に隠居するのはほむろじゃないでしょ)
『隠居などつまらん』
(だからほむろが隠居するんじゃないんだって………しかし隠居がつまんないのは認める)
『だろう?お主だって、真人間に戻ったら普通に町民として暮らしたいじゃろ』
(うん)
『即答したな…………』

 そりゃそうだ。幕末の生活には実はちょっと興味あるので。

(でも、ほむろに罪悪感持たせちゃったら後ろめたいね)
『うむ!』
(無駄に死ぬのはほむろが許可してくれない)
『うむ!』
(そして私も自分で自分を傷つけるのは面倒)
『うむ!よく言った!』

 なんで当事者でもないほむろがそんな嬉しそうにしてるのかはわからないけど。

(ま…………気長にやりますか)

 これまたぶっちゃけ、自分で上手に死ねる自信(危険な人じゃありません!これ大事!)なんてないし。ダメなの?って聞いてみただけだし。

 なんか、一般的な生活を送る分には問題ないみたいだし。

『原因を作った妾がいうのもなんだが、お主のその9つの命も、いつかきっと意味が生まれる』
(だから信じて待て、かな?)
『うむ』

 私が命を持つ意味ね………。

 いつか、私の命の使いどころってのも見つかるのかな?
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