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文久3年
幕間:やさぐれました
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手を引かれるままにやってきた部屋に正座で座り、私は愕然としていた。
いやね、なーんかさっきから何か忘れてた気がするんだよねー、って思ってたんですが、さっきそれがなんなのか思い出したんですよ。
まったく、なぜこれほど大事なことを今まで忘れていたのか。
(私、味覚がないから何を食べても味しないじゃん!)
そう、そうなのです。
『今になってようやっと気づいたか。遅いのじゃ』
え?遅すぎるって?ちょっ………その辺は大目に見てくださいよ。すっかり忘れてたんだから……。
なんということでしょう!せっかく大坂で美味しいものを食べようと思ってたのに、これじゃあ意味がない!
(私はこの先どうすればいいの………?)
『どうすれば良いのかのう………』
(何をすればいいのでしょう………)
『働けばいいんじゃないかのう?』
(そうね………。ほむろ!こうなったのもあなたのせいだからね!)
『いや妾にそんなことを言われてもなぁ………』
ちょいと八つ当たりしてみました。
(いっそここで死んでみる?もしかしたら味覚戻るかも)
『やめんか!ここはよそ様の家なのだぞ。保護してもらったと言うのに、恩を仇で返すつもりか!』
(わかってるよ。私もそんなアホなことはしないわよ。これでも自分の行いに対して罪悪感を持てる心はまだ持ち合わせてるからね)
街道で私が助けた男の人は本当にお医者さんだった。
助けたあと成り行きに任せた節はあったが、彼の家に保護してもらえることになったのだから、迷惑はかけるべきじゃないし、感謝すべきだ。
彼に手を引かれて歩いている最中にほむろから聞いた話だと、彼はなかなかのイケメンらしい。
話の内容から、おろした黒髪ロン毛のキリッとした感じのイケメンだと勝手に想像している。
いや当たってるかどうか知らないけど。
ほむろはふくよかだと言っていたが、それも人並みのふくよかさだから、ようするに健康的で普通の体型の人だろう。
『お主の食べ物計画は失敗じゃが、どうするのじゃ?』
(金稼ぎ計画は続行よ。ここで働かせてもらえるなら万々歳なんだけどね。あとで頑張ってあの人と相談するよ)
『それが良いのだろうな』
目が見えなくても、私には妖術による全自動サポートがあるから、人の目につかないひっそりした仕事ならできますからね。
(だが、食べ物はきっちり食べる)
『はい?味もわからんのになぜ食うのじゃ?』
(やけ食いよ、やけ食い。味がわからないなら雰囲気だけでも精一杯楽しんでやる)
『太るぞ?』
(やかましい!!!)
今私は虫の居所が悪いの!!
いやね、なーんかさっきから何か忘れてた気がするんだよねー、って思ってたんですが、さっきそれがなんなのか思い出したんですよ。
まったく、なぜこれほど大事なことを今まで忘れていたのか。
(私、味覚がないから何を食べても味しないじゃん!)
そう、そうなのです。
『今になってようやっと気づいたか。遅いのじゃ』
え?遅すぎるって?ちょっ………その辺は大目に見てくださいよ。すっかり忘れてたんだから……。
なんということでしょう!せっかく大坂で美味しいものを食べようと思ってたのに、これじゃあ意味がない!
(私はこの先どうすればいいの………?)
『どうすれば良いのかのう………』
(何をすればいいのでしょう………)
『働けばいいんじゃないかのう?』
(そうね………。ほむろ!こうなったのもあなたのせいだからね!)
『いや妾にそんなことを言われてもなぁ………』
ちょいと八つ当たりしてみました。
(いっそここで死んでみる?もしかしたら味覚戻るかも)
『やめんか!ここはよそ様の家なのだぞ。保護してもらったと言うのに、恩を仇で返すつもりか!』
(わかってるよ。私もそんなアホなことはしないわよ。これでも自分の行いに対して罪悪感を持てる心はまだ持ち合わせてるからね)
街道で私が助けた男の人は本当にお医者さんだった。
助けたあと成り行きに任せた節はあったが、彼の家に保護してもらえることになったのだから、迷惑はかけるべきじゃないし、感謝すべきだ。
彼に手を引かれて歩いている最中にほむろから聞いた話だと、彼はなかなかのイケメンらしい。
話の内容から、おろした黒髪ロン毛のキリッとした感じのイケメンだと勝手に想像している。
いや当たってるかどうか知らないけど。
ほむろはふくよかだと言っていたが、それも人並みのふくよかさだから、ようするに健康的で普通の体型の人だろう。
『お主の食べ物計画は失敗じゃが、どうするのじゃ?』
(金稼ぎ計画は続行よ。ここで働かせてもらえるなら万々歳なんだけどね。あとで頑張ってあの人と相談するよ)
『それが良いのだろうな』
目が見えなくても、私には妖術による全自動サポートがあるから、人の目につかないひっそりした仕事ならできますからね。
(だが、食べ物はきっちり食べる)
『はい?味もわからんのになぜ食うのじゃ?』
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『太るぞ?』
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