幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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文久3年

勤務先、ゲットだぜ!(参)

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 誤魔化しの術を使ってうまく朝食を食べ終えることができた。

 味覚がないから味は全然わからなかったが、なんだかとても暖かくて優しい感じがした。

『おい、雫!康順が出て行ってしまうぞ!』
(ええ!?そりゃまずい!)

 私は慌てて康順先生の方に手を伸ばす。食事を終えた時点で、風読みの術はもう発動しっぱなしです。

 なぜ私が焦ったのかというと、それは康順先生に今伝えたいことがあるからだ。だって診察とか始まったら時間なさそうじゃん。

『康順が止まってくれたぞ』

 風読みの術のおかげで、それは私にもわかった。

(よし!じゃあほむろ、昨日みたいに床に字を書いてくれる?ここで雇って欲しい、って)
『わかったのじゃ。他に何を書いてほしいことは?』
(じゃあ……薬の調合ならお手の物、とも書いておいて)
『了解じゃ』

 ほむろが勝手場の方に行く気配を察知しながら、私は康順先生のいる方を向き、ほむろが去っていた方向を指差す。

 いわゆる身振り手振りだが、昨日に名前を聞かれた時も、こうやって先生を勝手場に行かせているから多分伝わる。

 空気が動く。目の前にいた気配が横に移動し始め、勝手場の方に向かっていく。どうやら無事に意図を伝えられたようだ。

 私はこの場で待つことにした。

 勝手場に行くこともできるが、間違ってほむろの書いたものを消してしまっては大変だ。

 動植物や建物の気配は妖術で感知できるが、地面に書いてある文字の場所までは把握できないのです。




 どのくらい待っただろう。体内時計でいうと20分ぐらい?康順先生とほむろが戻ってくる気配を感じた。

『康順が、ここで働きたいのか?と聞いておる』

 私は頷く。ここが西洋医学の診療所なら、ぜひここで働きたい。私は西洋の薬学を学んでいたもので。

 目が見えなくても妖術のサポートがあるからたいした問題はないですから!

 もちろん伝えはしませんけど。

『君のように体の不自由な子には辛い。無理して働かなくても面倒は見てあげられる、と言っておる』

 私は首を横に振る。なんとなくただ飯は嫌なのだ。保護してくれたことへのお礼も兼ねてるつもりだし。

 それに、私はお金を稼ぎたいのだ。京の都へ行くために。

『本当にいいのか?だとさ』

 再度頷く。

 しばらくの間、ほむろからの念話は入ってこなかった。私に伝える言葉がないからだ。康順先生も悩んでいるのだろう。

『了承してくれたぞ!』
(!)

 やった!働けるぞ!

 ポケモンならぬ勤務先、ゲットだぜ!

『部屋に戻っていて欲しいらしいぞ。材料と製法はあとで部屋に届けてくれるらしい』

 私はこけないように注意して立ち上がり、康順先生の方に向かってぺこりと頭を下げる。

 先生!ありがとう!
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