幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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元治元年

京の都目指してレッツゴー!(壱)

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 私とほむろは街道………からかなり外れた森の中を歩いているらしい。藤山診療所を旅立って、もう3日である。

『追っ手は来ておらぬか?』
(来てないよ。探索の術をかけ続けてるけど、私たちから半径500メートルの範囲にはいない)
『め、めーと………なんじゃ?』
(とにかく来てないってこと。この辺りには人一人いないよ)

 なぜ街道を歩かないのかというと、私は多分良い意味でも悪い意味でも目立ちまくるからだ。そんなに目立ってたら、追っ手を巻いてきた意味がなくなる。

 それに街道は人通りが多い。五感がない私は、常時風読みの術を発動させながら、それを誰にも悟られないように常に神経を研ぎ澄ませている必要がある。

 そんな疲れることはしたくない。絶対にお断りだ。

 むしろ、森の中を歩けば、薬草や山菜がいつでも取れるのだ。こっちにいかないはずがない。

(京の都まで、あと2週間ぐらい?不眠不休で歩いて1週間?)
『雫なら一週間でできるじゃろ』
(まあ、休憩する必要も飲食をする必要もないからね)

 ほむろが摘んできた薬草を風呂敷の中に移転させながら答える。旅の時には便利だよね、この体質というか能力。

『しかし雫は男装しても見た目麗しいのう。京のおなごがキャーキャー言うぞ』
(ほむろってさ、最近私を褒めることが多くない?もうそれにも慣れちゃったけど)
『妾は素直な感想を述べているだけじゃ』

 今、私は康順先生が用意してくれた男物の着物を着ている。顔を隠すために編笠もかぶっている。

 街道のように人目に付く場所を歩くわけではないが、女の子の一人旅っていろんな意味で危なさそうなので、変装したのだ。

(しかしこの刀、本当にもらってよかったの?だって弟さんの刀だったんでしょ?)
『だが康順はどうしてもお主に使って欲しいと言っておったぞ?そこはもう諦めて、康順にもその弟にも感謝して受け取っておけ』
(………ものすごく親切な人だったね)
『そうじゃな』

 私の腰には今、刀が一本差してある。これも康順先生がくれたものだ。男たる者、腰に何も差さないわけにはいかないらしい。

 この刀は康順先生の亡くなった弟さんが使っていたものらしいが、今では使う人も手入れする人もおらず、どうせ埃をかぶるぐらいなら君に使って欲しい、と言って渡されたのだ。

(紹介状も書いてくれたし)
『確か、京にいる知人のお医者様のところに身を寄せられるよう、一筆書いてくれておったな』

 康順先生は、私が京の都に行ったあと、住む場所と働く場所に困らないように、先生の知り合いで幕府に仕えるお医者さんに紹介状を書いてくれたのだ。

 ご丁寧にそのお医者の家の場所も地図に添えてくれて。

 本当に何から何までいい人だった。

(まあ、また大坂に行くことがあれば訪ねよう)
『そうじゃな。その時には真人間に戻れておると良いのう』
(そう切実に願うよ)
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