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元治元年
ありえない邂逅(弐)
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「総司、とりあえず座れ。そして状況を説明しろ」
「………わかりました」
土方さんに言われて、沖田は彼女を睨むのをやめて元の席に座った。目線は、ずっと彼女に向けたままだったが。それを確認し、土方さんは山崎くんに説明の続きを促した。
「俺は、沖田さんが斬った死体の処理をするために作業をしていました」
山崎くんが話し始める。
「沖田さんに斬り殺された浪士以外にも、その浪士の辻斬りの被害に遭った者がいました」
「もしかして、そいつがその被害者なのか?」
「はい」
土方の質問に、山崎は頷く。
「でもよ、山崎。ただの被害者なら、手当するだけでよかったんじゃねえの?別に連れてくる必要はなかっただろ」
反応のない平助をつつくのをやめた新八さんが、素朴な質問を投げる。おそらく、自分と左之さん以外の人間が一番知りたいと思っていることだろう。
山崎くんが困惑の視線を左之さん、そして自分に投げてきた。隠そうとしてもいつまでも隠せるものじゃないし、沖田は頷いて話しよう促した。
「どうしたら良いかわからず、ひとまず連れてきたのです」
山崎が再び話し出す。しかしその声色には困惑に満ちていた。まあ、無理もない。死んでいると聞かされていた人間が生きていたら、誰だってどうすればいいかわからない。
「俺は、沖田さんたちから、この者は死んでいると、確かにそう聞いていたのです。そしてその死亡を確認したのは沖田さんです」
その言葉が発された瞬間、広間は水を打ったように静かになった。みんながみんな、幽霊でも見るような目で彼女を見ている。
「…………おい総司。どういうことだ?」
一番最初に口を開いたのは土方さんだった。
「僕にそんなことを聞かれましてもね」
「間違えたってことはねえのか?」
「ありえませんよ。土方さんだってわかってるんでしょう?」
「…………」
「それにその子、心臓を一突きされてましたよ。脈を測るまでもなく、死んでいたのは一目瞭然でした」
沖田が発言で、広間はさらに重い空気に包まれた。全員の視線が一斉に少女に向けられる。
しかし本人はどこ吹く風だった。さっきから膝の横でお座りしている三毛猫を見続けている。
「おい、お前。どういうことか説明しろ」
土方さんがドスのきいた声で尋ねる。さすが泣く子も黙る鬼副長、と思ったのは内緒だ。
しかし、少女はなんの反応も示さない。目線も三毛猫に向けられたままだ。
「土方さんを無視するとか………度胸あるな、こいつ」
新八さんが顔をひきつらせた。
「………わかりました」
土方さんに言われて、沖田は彼女を睨むのをやめて元の席に座った。目線は、ずっと彼女に向けたままだったが。それを確認し、土方さんは山崎くんに説明の続きを促した。
「俺は、沖田さんが斬った死体の処理をするために作業をしていました」
山崎くんが話し始める。
「沖田さんに斬り殺された浪士以外にも、その浪士の辻斬りの被害に遭った者がいました」
「もしかして、そいつがその被害者なのか?」
「はい」
土方の質問に、山崎は頷く。
「でもよ、山崎。ただの被害者なら、手当するだけでよかったんじゃねえの?別に連れてくる必要はなかっただろ」
反応のない平助をつつくのをやめた新八さんが、素朴な質問を投げる。おそらく、自分と左之さん以外の人間が一番知りたいと思っていることだろう。
山崎くんが困惑の視線を左之さん、そして自分に投げてきた。隠そうとしてもいつまでも隠せるものじゃないし、沖田は頷いて話しよう促した。
「どうしたら良いかわからず、ひとまず連れてきたのです」
山崎が再び話し出す。しかしその声色には困惑に満ちていた。まあ、無理もない。死んでいると聞かされていた人間が生きていたら、誰だってどうすればいいかわからない。
「俺は、沖田さんたちから、この者は死んでいると、確かにそう聞いていたのです。そしてその死亡を確認したのは沖田さんです」
その言葉が発された瞬間、広間は水を打ったように静かになった。みんながみんな、幽霊でも見るような目で彼女を見ている。
「…………おい総司。どういうことだ?」
一番最初に口を開いたのは土方さんだった。
「僕にそんなことを聞かれましてもね」
「間違えたってことはねえのか?」
「ありえませんよ。土方さんだってわかってるんでしょう?」
「…………」
「それにその子、心臓を一突きされてましたよ。脈を測るまでもなく、死んでいたのは一目瞭然でした」
沖田が発言で、広間はさらに重い空気に包まれた。全員の視線が一斉に少女に向けられる。
しかし本人はどこ吹く風だった。さっきから膝の横でお座りしている三毛猫を見続けている。
「おい、お前。どういうことか説明しろ」
土方さんがドスのきいた声で尋ねる。さすが泣く子も黙る鬼副長、と思ったのは内緒だ。
しかし、少女はなんの反応も示さない。目線も三毛猫に向けられたままだ。
「土方さんを無視するとか………度胸あるな、こいつ」
新八さんが顔をひきつらせた。
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