幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

文字の大きさ
63 / 119
元治元年

告白(壱)

しおりを挟む
 結局、私は新選組にて保護されることになったようだ。え、男所帯に女の子放り込むの?とか思ったけど、なんか部屋を一個くれるらしいので、それなら頑張ればなんとかなるかな。

 平隊士のほとんどは前川邸を使ってるみたいだから、好き勝手に出歩かなければ平隊士と遭遇することもないし、絡まれることもないだろうし、男装してるから女だってバレる可能性も低いでしょ。

 しかし幹部の方々はあまり私にその辺をうろついて欲しくない雰囲気を醸し出していた。自分では絶対に嘘だと思ってるんだが、どうもこの時代の人たちには私はすごい美人さんに見えるらしいから、その辺を歩くだけで目立つんだろう。

 ま、一番手っ取り早い話、私は引きこもってればいいのね。

 斎藤さんのあとについて、与えられた部屋まで歩く。八木邸は幹部や少数の平隊士が使っている屯所だから、夜になると廊下をうろつく人は少なくなる……と思われる。

 ていうかさ、斎藤さん影薄すぎだよね。さっき大広間でも沖田さんの横に座ってたけど、完璧に景色と同化してた。私なんて、ほむろが言ってくれるまで存在すら忘れ去ってたもん。思わず、不動さん、ってあだ名をつけそうになっちゃったよ。

 あ、不動産じゃないから。




(やっと寝れるー!)
『部屋に入って第一声がそれ?』

 押入れと文机があるだけの、あまり広くもない部屋だが、それでも雑魚寝よりはいいでしょ。あ、雑魚寝してる平隊士の人たちにはごめんなさい。

(寝れることってのは大事なことなんだよ?人間の生理的反応なんだから)
『よくわからん』
(つまり自然の摂理ってことよ)

 荷物は何も取り上げられていなくて、腰に差してきた刀もそのままだ。旅の荷物と刀を文机の横に置いて、私は着替える。男物の着物以外にも着替えは持ってきているから寝間着には困らない。

 明日着る分の上着の袴はあるが、この血まみれの着物は洗濯したいな。部屋の前にある中庭に井戸があったけど、幹部の人に言えば使わせてくれるかな?

 押入れから布団を取り出し、それを部屋の真ん中に敷く。2017年ではほとんどベッドだったから、布団なんて新鮮だ。この部屋は空き部屋だったのか、布団も綺麗なままだった。

 でもちょっと埃っぽいから、明日外ではたいてこよう。ちょうどこの部屋は中庭に面してる。

(新選組の幹部はいい人ばっかだったよね)

 布団の中に潜り込みながら、私はほむろに念話を送る。広間を出たあと、広間で幹部たちが交わしていた会話をほむろから聞いたので、私にも彼らが悪い人じゃないって理解できている。

『そうじゃな。人斬り集団との噂を聞いておったが、なんとも根が優しい連中ばかりじゃった』
(うん)

 そこまで言って、私はふと黙り込んだ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...