幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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元治2年/慶応元年

あんた、誰?(弐)

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 土佐勤王党の残党を探すために組織した隊が、その日のうちに屯所を出発した。

 今の屯所には、そんなに人がいない。前回の教訓があるから、今回は襲撃を警戒しますよ。

(部屋からは出ないほうがいいかな?)
『そうじゃな。奴らはお主の部屋など知らぬだろうからな』
(そうね、今日は部屋でおとなしくしてるよ)




 夕方まで、なんの問題も起きなかった。誰かが屯所を襲撃してくることもなかったし、怪しい連中がその辺うろつくこともなかった。

 だから、私は変に油断していたのかもしれない。




 夕方になって、平助君が夕飯のできた、と呼びに来てくれた。

「雫ー!飯ができたぞ!」
(ああー、今行くー)

 もちろん私が答えたところで平助君には聞こえていない。心の中でそう答えたと同時に、ちゃんと頷いておきましたよ。

(とりあえず、今日は無事に過ごせそうかな?)
『この夕方になって襲撃をしかけてはこないと思いたいのう』

 手がけていた薬作りを止め、私は立ち上がる。

 私の部屋から食事場所である大広間までは、少しだけ距離がある。急いで行こう。私のせいでみんな待たせちゃったら悪いもの。

 あ、それとあとで山南さんにも食事を届けてこないと。一緒に食べようと何度も伝えてるんだけど、一向に部屋から出てくれる気配がないんだよね、山南さん。本当に大丈夫なのか?

 そんなことを考えながら廊下を曲がろうとした時、ふと庭先に見慣れない生き物を見つけた。

 それは一匹の狐だった。

 西日で庭の様子は暗くてほとんど見えなかったが、なぜか狐だとはっきりわかった。水色の瞳は、まっすぐこちらを射抜いている。

 尻尾が一本しかない狐だった。野良の狐なのだろうか?それとも、こいつもまた妖狐なのか?

『…………』

 ほむろが無言で狐を見ている。その瞳に映る色は厳しい。ほむろには、何か感じられているのだろうか?

 しかしこいつ、なんだか見覚えがあるような気がする。どこかで見たことあったかな………?

「見つけた………」

 その声が聞こえた瞬間、私は得体のしれない恐怖と、そんなバカなという驚愕に見舞われた。

 そしてそれと同時に思い出したのだった。
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