別にこれはいつも通りで

松葉 楓

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本編

1年生 秋 第20話

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「失礼します」

私の後ろに雪花が続く

「あの、真堂って今日学校来てますか?」

テスト期間なので、職員室の入口付近に赤い線が引いてある。
その線を越えないように気を付けながら私は職員室の入口に1番近い席に座っていた先生に訊ねた。

「真堂くん?あ、真堂くんなら会議室で今テスト受けてるよ」

「そうなんですね」

入口の横にあるクラス毎の出欠が書かれた所には、1年4組・遅刻1 と書かれていた。

「真堂の遅刻の理由聞きたいか?」

私達の声に気付いた浅見先生が、奥の席からどこか笑いを堪えているような様子でやってきた。

「聞きたいです」

「即答したな…」

そりゃあ、先生が必死に笑いを堪えているものだから聞きたくなるに決まっている。

「一体どんな理由なんですか?」

と雪花が訊ねると浅見先生は笑いまじりに話した。

「なんかな、あいつの住んでる町に熊が出たとかで」

「え…」

横を見ると雪花もまさにえ…と驚きを隠せていない顔をしていた。

熊…
遅刻の理由って野生動物だったの…

「そうそう、学校の方にも警察から連絡が来たんだよ」

この辺は充分田舎だとは思っていたけど、流石にこれほどまでとは思っていなかった。
でも、とりあえず寝坊とか病気ではないらしいと分かって少しほっとした。

「まあ、詳しい話が気になるなら直接本人に聞いてみるのがいい」

「詳しい話…そうですね、聞いてみますね」

熊ではなく猪とかは私の住んでいる町でも1度注意喚起を受けたことがあった。
けど、流石に熊が出没するとは思わなかった。

「こんなこともあるんだね」

「ね、私も流石に驚いたよ」

「いや、これは誰でも絶対に驚くって」

そんな話しをしながら私達は会議室へと向かった。
だけど、やっぱりまだ試験を受けている最中だった。

詳しい話を早く聞きたかったけど、諦めて私達は食堂へ向かった。


「雪花と一緒に昼ごはん食べるってすごく久々な感じ」

「確かに。部活も委員会もないなんて試験の日ぐらいだものね」

「晴夏ちゃんほどでは無いけど吹奏楽部は昼休みも練習あるもんね」

「そうね、でも私はまだご飯食べれる時間があるけど、晴夏ちゃんっていつご飯食べてるんだろう…」

「昼休みもずっと校内ラジオとか放送してるもんね」

「意外と授業中に食べてたりして」

「えっ」

なんて2人で晴夏ちゃんの事を話していたら、本人がやってきた。

「何々…私の話し?」

「あ、噂をすれば晴夏ちゃんだ」

「お疲れ様、2人とも」

「あれ、晴夏ちゃんが食堂にいるなんて珍しいね」

「そうね、試験の日は放送部もお休みだから。それに実春ちゃん達はいつも食堂で食べてるって聞いたから」

「なるほど、それで食堂に来たのね」

「そうそう、ってあれ真堂くんは?」

「あ、それが実は…」


私も先刻の浅見先生のように笑いまじりになりながら、彼がここにいない理由を晴夏ちゃんにも話した。

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