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本編
1年生 秋 第22話
しおりを挟むこの4人で食堂に集まって昼食を食べる日が来るとは思っていなかったけど、この時期しかこういう機会がないのかと思うと少し寂しくもあった。
と同時に、こういう時ぐらいしか集まれないんだから、楽しまないと、と改めて考えた。
「真堂くんはどれにするの?」
晴夏ちゃんと彼は目線を変えずにメニューを見てどれにしようかと悩んでいる。
そんな2人を見ながら、楽しまないと、と考えたその気持ちに反するように、彼と2人で食べていた時が恋しいとも思った。
どうしてそう思ったのか、自分ではよく分からないけど、なんだか落ち着かなかった。
同時に3つの感情が生まれてきて、私はもの凄く我儘だなと自分に落胆する。
私は2人から目線を外し、しばらく考え込んだ。
やっぱり考えれば考えるほど分からなくなってくる。
だんだんといろんな感情が入り混じってきて、私は思わず目を静かに伏せた。
「……したの?」
「…愛川?」
「実春ちゃん…?どうしたの?」
「えっ?……ああ、ごめん」
つい考え込んでしまった。2人が心配そうに私を見ている。
「…ちょっと、今日テスト大丈夫だったかなって心配になってきて」
別に今日のテストに関しては心配はしていないけど、咄嗟に出た言い訳はこれぐらいしかなかった。
「えっ、実春ちゃんなら絶対大丈夫だよ!」
「そうだよ、愛川は心配することないって。僕の方が心配なんだから」
2人は絶対問題ないと思っているようで、晴夏ちゃんは頷き、彼は親指を立てる仕草をして満面の笑みになった。
「そうだったね、ふふっ。熊で遅刻してお弁当忘れるぐらい慌てて来たんだもんね」
「笑い事じゃないよっ…!今回は普通に試験受けられたけど、欠席だったら評価が2割減るんだよ…」
私は、気づかれないように笑ってごまかした。
「あ、そういえばそうだったね」
「それだけは僕、絶対に嫌だ…」
「ああ、それは私も嫌だな」
「2割か…えっ、2割も減ったら私、落単するじゃん!」
晴夏ちゃんは元々勉強が苦手だから、きっと何もしなければ有り得ることかもしれないと思った、けど。
「もしそうなったとしても、きっと今回は大丈夫だよ、私が保証する」
「…そう?今回は実春ちゃんが細かく教えてくれたし、確かに実春ちゃんがそういうなら間違いないね」
間違いないかあ…少なくとも、もう赤点ではなくなると思う。まあ、最後は本人次第だけど。
「ふふっ、ありがとう」
「ううん、実春ちゃんのおかげだよ」
素直にそう言って貰えて嬉しかった。
けど、私はとりあえずこの場から離れたかった。
「大袈裟だよ。それより、メニュー何にするか決まったの?」
「…あ、そうだ、まだ決まってないんだった」
「あ、僕も早く決めないと」
「早く決めて頼んでおいでよ、私は先に席に戻ってるね」
「うん、分かった!」
私はこれ以上気づかれないように、少し無理矢理に話の流れを変えて2人の元を離れ、雪花の元へと戻った。
「随分時間かかってるね」
雪花は私が戻ってきたのを捉えてから、2人の方に目線を向けた。
「そうね、2人とも食堂のご飯を食べたことないからなかなか決められないみたい」
私は微笑みながら、雪花につられて2人の方を見た。
そんな2人を見ていると、さっきの感情がまたぐるぐると入り混じりそうになった。
打ち消そうとして、下を向いて頭を振る。
すると、いつの間にか目線を戻していた雪花の視線を頭の先から感じた。
気になって雪花の方へ視線を向けると、雪花は静かに私の名前だけを呼んだ。
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