別にこれはいつも通りで

松葉 楓

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本編

1年生 秋 第23話

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*


「実春」

「ん?どうしたの?」

「なんかまた抱え込んでるでしょう」

「えっ?いや、抱え込むってほどでもないんだけど、えっと…何というか」

私は目の前で悩ましい顔をしている親友に問いかけた。
流石に私の目は誤魔化せないのを分かっているようで、続きを話してくれそうだったから私は静かに待った。

「なんか、4人で集まれる機会がこの時期ぐらいだからちょっと寂しいなって思ったの。でも、だからこそ楽しもうって思って…」

私は実春の言葉を聞いてちょっと嬉しかった。
吹奏楽部の仲間達と過ごす時間も大切でとても楽しいと思っているけど、やっぱり実春達といる時間には何にも変えられないものがある。
実春が話を続けようとしていたので、静かに聞く。

「でも、さっきメニューを選んでる彼と晴夏ちゃんを見てたらなんか落ち着かない気持ちになっちゃって…」

「…それは」

それは、嫉妬という感情なのでは…
そう思ったけど、伝えようか少し迷ってしまった。

「落ち着かないというか、なんかこうもやっと」

なるほど、もう気付いても良さそうだけど自分の気持ちには気付いていないようだった。
自分で気付いていないから余計に困惑しているのだと思う。

「それは、やっぱり恋ね」

「えっ」

実春は突然に恋だねと言われ驚いている。実春は自分の恋愛に関しては物凄く疎いようだった。

「今までもそう思ったりしたことある?」

「うーん」

実春は少し考えてから、呟くように言った。

「…ある」

その後、少しの間沈黙が訪れたけど、実春は表情を変えずにまた口を開いた。

「そわそわしたり、不安になったり…最近そういう事が特に多くなって。普段はあんまり悩んだりしないんだけど凄い悩んじゃうんだよね」

実春は確かにあまり悩んだりしない方だと思うけど、本当に悩む時は真剣に悩んでしまうようだった。

「こないだも悩んじゃって。まあ、いいかって思っても次の日にはまた悩んじゃって…それで、悩みすぎて結局よく分からなくなるんだよね」

本人は気付いていないけど、これは相当彼のことが好きなようだ。
実春らしいと言えば実春らしいけど、流石にもう気付いていいのでは。
やっぱり伝えようと思った。
気付いてくれるかは分からないけど。

「さっきのは嫉妬したんじゃない?」

「えっ、嫉妬?」

「好きだったら嫉妬ぐらい普通にするものじゃない?」

「嫉妬か…」

実春のことだから、別に嫉妬なんてしてないよ…!とか言って反論するかと思ったけど、反論することはなく私の言葉に真剣に考えているようだった。
珍しいこともあるものね。いや、もしかしたら案外もう自分で気付き始めているのかもしれない。と私はそう思った。

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