別にこれはいつも通りで

松葉 楓

文字の大きさ
27 / 32
本編

1年生 秋 第24話

しおりを挟む


雪花には2人には通じたさっきのようなごまかしは通用しないから嘘は言わない。
自然と雪花には相談してみようかなと思って私は口ごもりながらも伝えた。
こんな私に落胆されるかと思ったけど、全然そんなことはなかった。


「さっきのは嫉妬したんじゃない?」

「えっ、嫉妬?」

「好きだったら嫉妬ぐらい普通にするものじゃない?」

雪花は嫉妬という感情だと言っている。

「嫉妬か…」


嫉妬という感情だというのなら、そうなのかもしれないと思った。
今も向こうの注文口にいる2人を見るとなんだかちょっと落ち着ない。



「うーん…そうなのかも」

「だから、それが恋なのよ」

「えっ…」

そういうことなの…?
いや、まだちょっと分からないけど、とりあえずこれは嫉妬なのだと分かった。
それから、彼のことが好きだと言うことも、こないだ雪花に言われてから以前よりも考えてしまった。

「この間も言ったけど、実春を見ていて真堂のことが好きだってことは私から見ても分かるし、いつ付き合うんだろうって思ってたんだよ」

「…雪花って恋愛マスターなの?」

「えっ、そう言う訳ではないけど。でも、いつも一緒にいて、仲良いのに気付いてなかったなんて」

「それは…」

「もうとっくに気付いてると思っていたのに」

それは…近くにいすぎて分からなくなっていたのかも知れない。
もう少しで、今考えていること全てが掴めそうだった。
私は雪花に確かめようと雪花を見た。


「お待たせ」

「あら、随分時間がかかったみたいね」

「ごめんごめん、なかなか決められなくて」

口を開きかけたけど、横から声が聞こえてきて、とっさに目線だけ彼と逆方向の横へと逸らして、軽く唇を噛んだ。
雪花にもう少し訊ねたかったけど、本人が帰って来てしまったから、聞きたい気持ちを抑えて目の前にある料理に視線を戻した。

悩める恋とは言うけど、私にしては悩み過ぎだなと少し他人事のように考える。
勉強みたいに上手くいけば良いのに…
私は気付かれないように心の中で苦笑いをする。

「初めて食べたけど、食堂のご飯も美味しいね!」

「そうでしょう、ここの食堂のご飯は美味しいんだよ」

晴夏ちゃんには何も気付かれていないようだった。
私はもう一度横目で彼を見る。

「愛川は、いつもこんな美味しい食堂の
ご飯を食べてるのか…」

ちょうど見ていた時に自分の名前が出てきて、思いがけず少しどきっとした。
同時に本当は私は自分でこの気持ちを認めたくないだけなのかもしれないとも思った。

「僕も今度からたまに食堂のご飯食べようかな」

「……っ」

そう言う彼は、私の方を見て満面の笑みを向けている。
これには、流石に心臓が大きく跳ねた。
私は慌ててまた目の前の料理に視線を戻す。
危ない、危ない。また顔が赤くなってしまうところだった…
私は唇をさっきよりも強く噛んで堪える。

「いいね、たまに食べてみたら?実春もそう思うでしょ」

「えっ…?」

雪花は応援してくれている、それはまあ悪い気はしない。しかし、急に私に振るのはどうしたものか。

「…そっ、そうだね、全部美味しいしメニューも毎回変わるから楽しめるし、お勧めするよ」

私は目線を料理にしたまま、なんとか答えた。
少し早口になってしまったけど、まあ特に追及されたりはしないよね。

これ以上顔に出ないように私は無理矢理違うことを考えようとした。
だけど、なかなか難しく、すぐ真横に彼がいるとどうしても意識してしまって上手くいかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今日でお別れします

なかな悠桃
恋愛
高校二年の碧は黒髪のショートボブ、眼鏡の地味な女の子。特別目立つこともなく学校生活を送っていたが、阿部貴斗との出会いによって環境がガラリと変わっていく。そして碧はある事を貴斗に隠していて... ※誤字、脱字等など見落とし部分、読み難い点申し訳ございません。気づき次第修正させていただきます。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった! ……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。 なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ! 秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。 「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」 クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない! 秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

処理中です...