学生だけど、魔術学院の音楽教授で最終兵器な先生を好きになってしまいました。

茜部るた

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第2楽章 神席に沸く黄色い声

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「気が乗りませんわ」

「まあみんなそうだよね」

「私はこれ意外と好きよ。ちょっとスポーツみたいじゃない?」

「えー、私ら文系なのに」

 学院の校庭に他の学生らと共に集まったコールディアは、今日は学院支給の魔術師のローブを着ていた。
 夏も近くなり、厚手の布地で出来たローブは正直暑い。
 だけど月に1度の合同魔術訓練の日だけは全員これを着ることが義務付けられているので仕方ない。
 隣にいるフレウティーヌはこの訓練があまり好きでない上に、頭からはフルートの練習のことが離れないらしい。
 ソロパートで吹く10小節にびっしり並んだ音符と日々格闘しているそうだ。
 反対にいる活発な印象のある女子学生は、魔唱科の学院生のラッピーだ。ラッピーは愛称で、本名はラプソニア。すごく砕けた調子だけど、これでも男爵令嬢。

 学部に関わらず受けるこの訓練の内容は、魔物の侵入や結界強化、“魔王”が発生した時の対処法など、どれもマギア・カルマ絡みの実践的なものだ。

 王宮から魔術師が派遣され、教師も教授も含め指導される。
 魔術師学科の教授だけは指導側に回る。

 昨日ちゃんと参加するように言ったノートヴォルト教授の姿は、今の所見当たらない。
 学生数が多いので見えないだけかもしれないが。

「今日は先月に引き続き、模擬訓練をする。攻撃組と支援組に分かれ魔物の侵攻を想定した実戦をする」

 拡声ブローチで校庭全体に声を響かせるのは、宮廷魔術師の1人、レングラント・ショスターク侯爵子息だ。

「あー、だから女の子が前に行ってるのね」

 ラッピーが訳知り顔で言う。

「どういうこと?」

「ここからじゃわからないけど、あの魔術師物凄く美形らしいのよ。だからあの人が指導に来るときはファンが前に並んじゃうの」

「ファン…」

 コールディアは少し背伸びして前を伺ったが、ローブのフードを被るその顔は当然見えなかった。

「私はお会いしたことありますわ」

「さすが伯爵家」

「冬に初めて夜会に連れてっていただいたのですけど、その時にご挨拶をさせていただきましたの。あっという間にお姉様方に囲まれていましたわ」

「強いの?」

「そりゃそうよ魔術師の名門ショスターク家のお方よ。妹がいらっしゃって、2人とも宮廷魔術師としてご活躍してるそうよ」

「へえ…」

 ご尊顔を拝したいというわけでもないが、もう1度踵を上げると前を凝視する。しかし後ろからはやはり見えなかった。

 そうこうしているうちに皆配置につかされ、訓練が開始された。
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