学生だけど、魔術学院の音楽教授で最終兵器な先生を好きになってしまいました。

茜部るた

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第27楽章 Mein Vater, der Erlkönig

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「んっ……今度は何日寝ていた?」

「お兄様、大丈夫…? 丸2日よ。」

 王宮にある魔術師専用のある一室、魔力回復を促す特別な設計が組まれた部屋のベッドの上で、死んだように眠っていたノートヴォルトが目を覚ました。

 彼の限界まで減った魔力と体力の早期回復を促すため、フリーシャは魔力増殖炉で結界を張り直す作業を他の結界術師に任せ、ずっと傍にいたのだ。

「大丈夫…いつもありがとうフリーシャ。レニーは? …待って結界が足りない?」

「ええ。もう3か所やられてしまったの。レニーお兄様は学院で魔物駆逐の指揮をとっているわ。お父様はアフィお兄様と入れ替わるように前線へ行かれたわ」

「君は増殖炉にいなくていいの?」

「良くないけど、お兄様の回復の方が重要だって。2日なんて早すぎよ…このまま1週間くらい休ませてあげたかったのが本音だけどね」

 限界まで戦った後、自然回復を待たず強制的に回復をされては、また次の前線に送り込まれる。
 彼はここ数か月、ずっとその繰り返しの日々を送っていた。

「お兄様、クレド公爵の姿が見えないのよ。嫌な予感がするわ」

「クレド…ポータルは? まさか学院に持ち出した?」

「私はずっと炉の傍にいたからわからないの。でもいるはずの結界術師も数人いないから、技術者として随行させられたのかもしれない」

「コールディア…」

「彼女は目を付けられて?」

「ないとは言えない…もう行く。アポカリプスは?」

 アポカリプスとは、彼のためにカスタマイズされた小型魔力増殖機能のついた特別な装飾品。
 両腕と両足、そしてローブに組み込まれたマギアフルイドとそれを司る魔律回路によって使用者の魔力を何倍にも増幅させる。
 装着者が凄まじい魔力で終焉を導く者アポカリプスと化すことからこの名がある。

 倒れる時には装着していたはずのそれらは今は外されている。
 なぜかフリーシャは黙ってしまった。

「フリーシャ?」

「アポカリプスは…レニーお兄様が…」

 それを聞いたノートヴォルトが、「止めなかったのか!?」と飛び起きた。

「レニーが壊れてしまう! なんで止めなかった!?」

「止めたわ! わかったって言ったから、まさか本当に持ち出すとは思わなかったのよ! アフィお兄様の傍にいる間に、気づけばなくなっていて…」

「…もう行くよ。レニーには負荷が大きすぎる。学院の状況はわかる?」

「宮廷魔術師のほとんどが向かったわ。学生も奮闘しているって最後の報告では聞いた…“魔王”の観測はまだされていなかったけど、数値は上がってるって。私は増殖炉に戻るわね。早く結界を戻さなきゃ」

「フリーシャ」

「なに?」

「“燃料”なんかに、間違ってもならないでよ」

「勿論よ。お兄様にあんなこと2度とさせないから…だから頑張るわね」

 ノートヴォルトは彼女を軽く抱きしめると、飛び出すように部屋を後にした。

「アフィお兄様…レニーお兄様も…どうかご無事でお戻りください」
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