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第7章 音沙汰3

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~第6章 音沙汰2の続き~
すっかり西村先輩への想いを話し込んでしまった。
ほんとはずっと黙っておくつもりだったのに。。
やはり飲みの席はもう少し警戒しておくべきだった。
言ってしまった後悔があると同時に
人と共有したことでどこかスッキリした感覚もあった。
(やはり恋バナは楽しいな)
「なおティー、連絡しよう!」
余韻に浸っていると、桜井先輩が急に提案した。。
「なんでですか??」
「向こうもLINE来るの待ってるかもしれないし、もう会う機会なんてめったにないんだからアタックしちゃえ(笑)」
普段はクールなのに、こういう時だけすごく楽しそうな桜井先輩。
「今はその気になる人と付き合ってないんだから、むしろチャンスだよ!」
「そういうもんですかねー??」
「そうだよ!」
「気になる人の話をするって時点で脈なしじゃないですか?」
「確かにそれもあるねー(笑)でも、後から後悔するより行動した方がいいよ!(笑)」
ぐぅの音も出ない。。。
中学の頃も告白していたら、何か変わっていたのだろうか。。。
過去の思い出に浸りつつ、スマホでLINEを起動し、西村先輩とのトーク画面を開く。
最後に送ったのは3月31日。
もう1か月半も経ったのかー。早いな。
「なんて送ればいいですか??」
「俺よりなおティーの方がこういうのうまいから、送りたいやつを送ればいいんだよ。」
うーん。困った。
そういえば、D2の柴谷先輩(合同ゼミの先輩)も西村先輩の簿記の結果、気になっているって言っていたなー。
(よし、これにしよう!)
「送る内容はこれでいいですかね?(お久しぶりです!あれから簿記って受けました?柴谷先輩が気になっているみたいで(笑))どうですかね??」
「いいんじゃないかな。」
「じゃあ、送ります!。。。送っちゃいました。。。(笑)」
「送っちゃったねー(笑)これで返事来るまでなおティー、悶々としちゃうねー(笑)」
「先輩、他人事ですねー。。。(笑)」
とりあえずはこれでいい。
きっと西村先輩は僕のことを後輩としてしか見てない。。。
けど、何もしないでいるのは悔しいから少しでも可能性があるならそれにかける。
長かった飲み会も終わり、桜井先輩を改札まで見送る。
「気を付けて帰ってくださいね!」
「なおティー、もね(笑)」
時刻は23:30。
お店の電気も消えて、家までの帰路はかなり暗かった。
そんな中、考えてしまうのが西村先輩の顔。
(あの時もこれくらいに帰ったけー)
もし、あの時告白していたら何か変わっていたのだろうか?
もし、もう少し一緒に居たいと言ったら、西村先輩はどう思っただろうか?
そんなことを考えつつ、最後に思い浮かぶのは西村先輩の笑顔だった。
あの時、改札まで見送って「楽しかったです!また会いましょう!」って言われたのが
昨日のことのように思ってしまう。
(やっぱ、好きだなー。。。)
実らぬ恋に身をゆだねるのは今も昔も変わらない。
~続く~
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