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いよいよお務めの終わり
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しおりを挟む「セアリア、誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」
「いよいよお務めも終わりか。意外と長かったな。」
私は、とうとう25歳の誕生日を迎えた。
今日で私の《歌姫聖女》生活も終わる。
明日はとうとう、ウルとの婚姻式だ。
ただし、何事も無ければ……
あら、フラグ立っちゃったかしら…?
先ずは、中央神殿の神官長へ挨拶に行く。
ウルと連れ立って、朝の祈りが終わると食堂へ行って神官長付きの神官に神官長が《神官長執務室》に在室の時間帯を聞こうと思ったのに、食事の間中確認したけれど見当たらなかった。
食堂を出て、とりあえず神官長執務室へ向かうことにしてそちらへ足を向ける。
だって、現役の聖女の中で一番の古株は私なのだもの。
神官長の不在となれば、そりゃ一番古株の神官が神官長代理になるのだけど、場合によっては聖女たちへ通達もしなければならないから、情報収集に行かなければならないのよね。
「どこにも、特に連絡はない。」
歩きながらウルが言う。
ウルは、とりあえず私がお務めを終えるまではってただの私付きの《魔法聖騎士》兼神官でいるとのこと。
私のお務めを終える今日、グラント様が立太子することになっているから、その後は少しだけ第二王子として補佐の仕事をして、グラント様が戴冠する時に王弟として大公になるそうなの。
ちなみにグラント様にはもう女の子と男の子が居る。
この国では一般的に王族でも20歳頃に婚姻して、立太子前のストレスがあまりかからない時期に後継を拵えとくのが習わしなのだ。
先程ウルが言った《どこにも》は、神官・聖騎士・王族の3つを指してる。
神官と聖騎士としては、若いウルはだいぶ下からの方が早い順位になるけれど、王族としてなら上位にあたる。
それなのに情報が回っていないというのは、《知る人が僅か》ということを表している。
「そう…それなら何で? 発生から間もない緊急事態ってことかしら。急ぎましょう。」
「あぁ。」
ここは人気のない廊下で神官長執務室はこの廊下の突き当り、となれば…
私は聖女のローブを捲り上げ、ウルと走ったの。
神官長執務室の扉の前で息を整えてからウルがノックをすると、
僅かに開いた隙間へ吸い込まれるようにして私とウルは室内へ引き入れられた。
現在の神官長は若い頃にウルのように魔法聖騎士と神官を兼ねていた方で、現役を退き神官業専門になった以降も魔法がお得意なのだ。
執務室内は、そんな神官長による結界が張られていた。
何故かと言えば、在室メンバーによるのだろう。
神官長と神官長付きの神官の他、国王、グラント様、先々代の《癒しの聖女》であるマリー様、女性神官のリーダーが居たのだ。
そしてその場の全員が、やって来た私とウルを見て、大きな溜め息を吐いたのだ。
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