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しおりを挟む一般的に、
「ガルバード、お前の弟だよ。」
と見せられた赤ん坊を見た時の感想って、どんなものなんだろう。
私? 私はね……
「あ、番だ。」
だった。
この国の王族の場合、子孫を残さなければという本能が強い。
血が近いと、大人になるまで元気に生き延びられないので、本能は近親者を《番》とはしない。
だから、
「ガルバード、お前の弟だよ。」
に対して、私が
「あ、番だ。」
と思った時点で、自分の父親の愚かさを知る…という………
私は5歳にしてかなりハードな身内の秘密を知ってしまった。
ただの一般家庭ならば、まぁ構わないだろう。
でもさ、ウチ王族なんだよね。
父親は国王だし、私は王太子だし、王妃はもう3年前に儚くなり、父親は娼婦と遊んでて『子供ができた』と言われて後妻は娼婦だし、でも父親騙されてるし…?
けれど、それと《番》がかわいいのは関係ないよね。
私は、《番》溺愛することにした。
例えば………
乳母を手伝って子育てに参加してオムツを替えた。
一応乳も吸わせてみたけれど、出なくて余計に泣かれた。
少し大きくなれば離乳食を作って食べさせた。
お粥は毎朝米から炊いたし、野菜のすりおろしや裏ごしも手ずからやった。
転んだ時に速やかに立ち上がらせたり、泣き止まなければおんぶして侍医のところまで走った。
毎日、《おはよう》と《おやすみ》にはもちろんキスをした。頬に…だけど。
ちなみに、初めて《番》が喋った言葉は、
「にーに」
だった。
「良かったですね、ガル王子。王子が日々お兄様としてお世話してくださった結果ですね。」
乳母は言った。
私は内心複雑だった。
《番》として溺愛していたつもりだった。
けれど、周りから見たらそれは《兄》としての《兄弟愛》だと思われていた。
──これは、《番》として愛でるには時間がかかりそうだ。
交合できる年齢になるまでは、番犬代わりに婚約者も用意することにした。
母親の身分を考え、公爵令嬢に決めてうまいこと父に進言したら、受理された。
それは、《番》と公爵令嬢が3歳のことだった。
その後も私は《番》を溺愛した。
けれど、転んだ《番》を私が助け起こそうとすれば、
「今は弟殿下の成長の時です。どうかガル殿下はお手をお出しになりませんよう、お見守りください。」
と《番》の教育係に言われてしまった。
仕方ないので、陰から溺愛することにした。
転ばないように魔法で少し浮かせたり、
家庭教師との勉強中は、気配を察知されにくくなる魔法で背後に控えて、彼の頭に答えのイメージを送ったり、
楽器をやるなら上から一緒に手を動かしてやったり………
思春期に入れば、たまに一緒に風呂に入って、自慰を見せてやったり、やり方を教えたりしながら、いつかこの体が自分のモノになることをいつも妄想していた。
だから私の希望通りの、自分の頭で考えない、けれど交合の欲望と本能には従ってしまう、ちょっとおバカな子に成長したんだ。
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