【完結】異世界でハーレムを作るゲームのメインヒーローだった、俺の話

325号室の住人

文字の大きさ
1 / 2

   上

しおりを挟む

「ルドぉ…もう俺ぇ…くじけそうだよぉ……」


卒業式を明日に控えた学園の放課後。
窓際の席に座る俺は、失敗した婚約がとうとう10回目の大台に乗った、この国の第3王子だ。

俺には前世の記憶がある。
前世住んでいた日本のゲームの、俺は主人公だ。

10人までのハーレムを作ることができるゲームの中心人物……それが、俺フォーリントだった。

2つ年上の俺の部屋の掃除係のメイドちゃん
同い年で幼馴染の公爵令嬢
クラスメイトの伯爵令嬢
平民上がりの聖女ちゃん
生徒会副会長の候爵令嬢(もちろん俺は生徒会長だいっ!)
保健室のグラマー美人養護教諭
前世で言うリケジョな魔法学教諭
熱烈なラブレターをしたためてくれる国史学の眼鏡っ子系教諭
田舎の領地暮らしの従妹
学園長の娘ちゃん←いまここ。

ゲームでは上記のみんなが俺のハーレムに入ってたのに、何でか、婚約は受けてくれないし、俺と付き合うのもイヤとか同じ空気吸うのもイヤとか顔見るのもイヤとか言うんだ。

今日の学園長の娘ちゃんなんて、まだ10歳だぞ?
なのに、
「オジサンじゃやだ!」
って、走って逃げられた。

俺はまだ18歳だ!!



俺さ、一応王子らしい金髪碧眼なんだぞ。

学年で5本の指に入る成績だし、

背も高いし、
髪だってサラサラだし、
ちょっと色白たけど、毎朝ちゃんと騎士団の朝練に参加してるから細マッチョなんだぜ?

俺のスーパーマグナム(イチモツ)だって、一般的なサイズより大きめだと思うぞ!(前世比)

なのに……連続10人から婚約拒否られるって一体…トホホ……



「リント、元気出してください。貴方には私が居ますからね。」

教室の机に突っ伏しながら俺が愚痴ると、親友であり側近でもあるルドが頭を撫でてくれた。

「ルドぉ……俺にはお前だけだよぉ……」

俺が顔を上げると、

「やっとわかってくれましたか。」

ルドが、とても良い笑顔で俺を見下ろしていた。

俺の頭を撫でていた手が、俺の頬を撫で、親指が目元に触れる。

「流石にもう18歳だぞ? 成人した男が、いつまでも泣かないって。」

俺がルドの手を振り払おうとすると、その手を掴まれ、ルドの男にしては綺麗な顔が降りてきた。

「……むっ」

俺は咄嗟に目を閉じた。
けれど、フワッと花が香ったと思った瞬間、唇に何かが触れた。

驚きに目を見開くと、今度は後頭部をガシッと掴まれ、唇を喰まれ、喰まれ……

「んっ……ふ…ぅんっ……」

息継ぎをしようとした唇の隙間から何かが入り込んで、ねっとりと口内をまさぐられる。

上から来ている者を、下の者が押し上げるのは難しい。
だからと言ってルドの膝は俺の膝の間にあり、足で攻撃もできない。

けれど諦めたくはなかった。
息継ぎできなくて苦しくても、ここは学園だ。誰かに見られたら……

その時、ルドの唇が離れた。

俺は息も絶え絶えで、ルドは多少息が上がっている程度の余裕の微笑み。

「……ハァッ、ルド、なん!」

俺は腰砕けで立ち上がれない。
それでも呼吸を整えながらもルドへ拳を振り下ろす。

まぁ、ヘロヘロだし届かないしグダグダなんだが……

けど、ルドは俺の攻撃に表情を変えた。

「やっとわかってくれ…てはいなかったのですね。仕方ない。ここまで来てしまったのなら、もうわかってもらうしかありませんね……」

ルドは言うと、自分の制服のループタイに手を掛けた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。

とうや
BL
【6/10最終話です】 「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」 王太子殿下のために10年捧げてきた生活だった。側近候補から外され、公爵家を除籍された。死のうと思った時に思い出したのは、ふわっとした前世の記憶。 あれ?俺ってあいつに尽くして尽くして、自分のための努力ってした事あったっけ?! 自分のために努力して、自分のために生きていく。そう決めたら友達がいっぱいできた。親友もできた。すぐ旦那になったけど。 ***********************   ATTENTION *********************** ※オリジンシリーズ、魔王シリーズとは世界線が違います。単発の短い話です。『新居に旦那の幼馴染〜』と多分同じ世界線です。 ※朝6時くらいに更新です。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

推しのために自分磨きしていたら、いつの間にか婚約者!

木月月
BL
異世界転生したモブが、前世の推し(アプリゲームの攻略対象者)の幼馴染な側近候補に同担拒否されたので、ファンとして自分磨きしたら推しの婚約者にされる話。 この話は小説家になろうにも投稿しています。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...