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「ルドぉ…もう俺ぇ…くじけそうだよぉ……」


卒業式を明日に控えた学園の放課後。
窓際の席に座る俺は、失敗した婚約がとうとう10回目の大台に乗った、この国の第3王子だ。

俺には前世の記憶がある。
前世住んでいた日本のゲームの、俺は主人公だ。

10人までのハーレムを作ることができるゲームの中心人物……それが、俺フォーリントだった。

2つ年上の俺の部屋の掃除係のメイドちゃん
同い年で幼馴染の公爵令嬢
クラスメイトの伯爵令嬢
平民上がりの聖女ちゃん
生徒会副会長の候爵令嬢(もちろん俺は生徒会長だいっ!)
保健室のグラマー美人養護教諭
前世で言うリケジョな魔法学教諭
熱烈なラブレターをしたためてくれる国史学の眼鏡っ子系教諭
田舎の領地暮らしの従妹
学園長の娘ちゃん←いまここ。

ゲームでは上記のみんなが俺のハーレムに入ってたのに、何でか、婚約は受けてくれないし、俺と付き合うのもイヤとか同じ空気吸うのもイヤとか顔見るのもイヤとか言うんだ。

今日の学園長の娘ちゃんなんて、まだ10歳だぞ?
なのに、
「オジサンじゃやだ!」
って、走って逃げられた。

俺はまだ18歳だ!!



俺さ、一応王子らしい金髪碧眼なんだぞ。

学年で5本の指に入る成績だし、

背も高いし、
髪だってサラサラだし、
ちょっと色白たけど、毎朝ちゃんと騎士団の朝練に参加してるから細マッチョなんだぜ?

俺のスーパーマグナム(イチモツ)だって、一般的なサイズより大きめだと思うぞ!(前世比)

なのに……連続10人から婚約拒否られるって一体…トホホ……



「リント、元気出してください。貴方には私が居ますからね。」

教室の机に突っ伏しながら俺が愚痴ると、親友であり側近でもあるルドが頭を撫でてくれた。

「ルドぉ……俺にはお前だけだよぉ……」

俺が顔を上げると、

「やっとわかってくれましたか。」

ルドが、とても良い笑顔で俺を見下ろしていた。

俺の頭を撫でていた手が、俺の頬を撫で、親指が目元に触れる。

「流石にもう18歳だぞ? 成人した男が、いつまでも泣かないって。」

俺がルドの手を振り払おうとすると、その手を掴まれ、ルドの男にしては綺麗な顔が降りてきた。

「……むっ」

俺は咄嗟に目を閉じた。
けれど、フワッと花が香ったと思った瞬間、唇に何かが触れた。

驚きに目を見開くと、今度は後頭部をガシッと掴まれ、唇を喰まれ、喰まれ……

「んっ……ふ…ぅんっ……」

息継ぎをしようとした唇の隙間から何かが入り込んで、ねっとりと口内をまさぐられる。

上から来ている者を、下の者が押し上げるのは難しい。
だからと言ってルドの膝は俺の膝の間にあり、足で攻撃もできない。

けれど諦めたくはなかった。
息継ぎできなくて苦しくても、ここは学園だ。誰かに見られたら……

その時、ルドの唇が離れた。

俺は息も絶え絶えで、ルドは多少息が上がっている程度の余裕の微笑み。

「……ハァッ、ルド、なん!」

俺は腰砕けで立ち上がれない。
それでも呼吸を整えながらもルドへ拳を振り下ろす。

まぁ、ヘロヘロだし届かないしグダグダなんだが……

けど、ルドは俺の攻撃に表情を変えた。

「やっとわかってくれ…てはいなかったのですね。仕方ない。ここまで来てしまったのなら、もうわかってもらうしかありませんね……」

ルドは言うと、自分の制服のループタイに手を掛けた。


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