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離・婚前旅行 9日目 午後は女医さんの診察
しおりを挟む「さて。アタシたちは午後の仕事に行くけど、アンタはこっちよ。」
洗濯婦の1人が私だけを別の扉の前へ案内しました。
「ここは?」
「医務室。ここには結構腕のいい女医さんが居てね。せっかくだから診てもらうと良いよ。」
「へ? でも私…」
最近多少の食の細さがありますが、私は健康体のはずです。
ですが、お断りする間もなく、少しのノックと共に扉は開き、
「この娘なんだけど、ちょっと訳ありでね。いつもと同じだから、診てやってね。」
「あ!」
私は《医務室》中へと放置されてしまいました。
「ネリさん、またですか!」
《医務室》の奥、白い清潔そうなカーテンの向こうから不機嫌そうに出てきたのは、既視感のある小柄な女性でした。
「あ、すみませ~ん。わたくし、この伯爵邸の医務室顧問、イザベラと申します。」
「あ、私はエリサです。」
「では、診察しますのでこちらに横になってください。」
「え…あ、はい。」
「では、ちょっと失礼しますよ。」
イザベラ先生は、診察台に横たわった私のスカートの裾を胸まで捲り上げると両腿の間に頭ごと突っ込みました。
「え? 何を…」
バルトルよりも手早く下着を外され、冷たい器具であの場所を左右に開かれました。
「で、いつ襲われたのですか?」
「え? 襲?」
「襲われた記憶がないの? 薬でも盛られたのかしら。」
イザベラ先生は、ボソボソとお話しになった。
「では、訊き方を変えるわ。あの《お貴族様》に会ったのはいつ?」
「へ? 《お貴族様》、ですか? ──バルトルのことで良いのよね?──最後に会ったのは、昨日です。」
「昨日? ずっと関係が続いていたのかしら。だとしたら…いや、でも……」
イザベラ先生は、またボソボソと何か口にしながら考え込まれている。
そういえばバルトルはどうしたのかしら。やっぱり私は、捨てられてしまったの?
「ここにはね、よく貴女と同じ境遇の娘が来るのよ。で、いつからないの?」
「何か、失くしてはいけないものがないのでしょうか?」
「は?」
「へ?」
「あぁ、月のモノですよ。」
「月のモノ…え? そういえば、暫くありませんわ。」
「ふむふむ、やっぱりそうね。」
すると、話の途中でイザベラ先生は私に下着を再びつけると、ペタペタとお腹に冷たいものを押し当てました。
「ひゃんっ! これは…何でしょう。」
「失礼しました。初めてでしたか? これは診察するための道具です。」
「そ、そうですか…
あの! それより、これは何の診察なのでしょうか。」
「これですか…? それはまだ…いいえ、それよりも。あの《お貴族様》には、月のモノが遅れている旨はお伝えに?」
「いいえ。私も今先生に指摘されて初めて気付いたので、まだです。」
「そうですか…」
その時イザベラ先生が、私の左手の薬指に嵌まった婚姻の指輪に目を見開きました。
「あの、あなた。ご結婚されてるの?」
「はい!」
「まさか今回は人妻を?」
「はい?」
「ならば、もう処置してしまった方が良いわよね。無理矢理襲われたとはいえ、不貞が発覚すれば困るのはこの娘だわ。」
イザベラ先生の声は、やはりボソボソとしてよく聞こえなかった。
「では、あなたにはこれから薬を処方します。今現在、食が細かったり、すごく眠かったり、疲れやすかったりしませんか? それらの症状が改善します。
ただし、今日から3日間はこのままこの部屋のベッドで過ごしてもらいます。
薬の準備があるので、私の所属している、この医務室とも提携している治療院へ連絡してきまます。
このままお待ちください。」
イザベラ先生は、こちらへペコリと頭を下げると、最初の白いカーテンの向こうへ行ってしまいました。
予約投稿がズレており、2話投稿になってしまいました。
失礼致しました。
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