【完結】王弟殿下の欲しいもの

325号室の住人

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僕と彼との過去

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今の僕は、待っている。

彼が、その一言を発するのを…

『ルーディ、お前の悪事は全て知り得ている!
僕はお前との婚約破棄をここに宣言し、お前を国外追放することに決めた!!』

言った! とうとう言った。

その瞬間、彼は、僕の手の中に落ちたんだ。




僕はジェム。
父が王を退く前年に生まれたので、僕は王弟である。

物心ついた時には父は前王として田舎の領地に暮らしていたので、暇だったのか色々なことを教えてくれた。

例えば、勉強、乗馬、女性への声の掛け方、泳ぎ方、マナー全般、王の仕事、ダンス、ヴァイオリン、演説のしかた、王子の仕事、剣術、キスのしかた、酒、料理、掃除、人の使い方、入浴のしかた、隣国の言葉、世界標準語、古代語、商売のしかた、女性の体の高め方、お茶の淹れ方、湯の沸かし方、井戸の使い方、自身の勃たせ方、魚釣り、流し目のしかた、生き物の種類と飼育方法全般、カードのイカサマ、手品、上手な字の書き方、侍女のお仕着せの簡単な脱がせ方、侍従のからかい方……

僕はそのどれにも才能があったらしくて、10歳までに全てを身につけることができた。

だからかな…
そのどれにも興味が持てなくて、毎日とてもつまらなかった。

でも、そんな毎日の中、僕でも興味を持てるものができた。

近所の領主の孫と気があって、一緒に遊ぶことが増えた。

学園入学前年の14歳の頃、同い年でつるんでいたその子は、僕が王弟だと知らないようで全く気負った話し方をしなかった。

それに、色々なことに誘ってくれて、色々なことを一緒にした。

例えば、彼の滞在する領主邸に勤めるメイドたちの湯浴み中に下着を隠したり、侍従に女の服を着せて女性用の更衣室に押し込めたり、彼の父親とその浮気相手の逢い引きを隠れて見たりした。

逢い引きを隠れて見た時にはそれがバレてしまって説教されたので、以降は他人に干渉せず、彼と2人で素っ裸で水浴びしてお互いの体に触れてみたりして過ごしていた。

そんなある日のこと。
川原で洗濯中の下女を脅して男のモノを咥え込む場所をまじまじと眺めていた彼が言った。
「男同士はさ、コレを尻の穴に突っ込むんだってさ。」

少し脅して、小銭を投げつけると、彼は下女を解放した。
そして下卑た表情でこちらを振り返ると、言った。

「なぁ、ジェムの方が顔がキレイだから、俺にやらせてよ!」



正直、僕にも興味があった。

まぁ、『挿れてみたい』という衝動みたいなものだけれど、この際挿れてみてもらうのも良いかもしれない。

けれど彼のは、うまく勃たなかった。

それに僕のよりだいぶ小さく、イマイチ硬度に欠けたそのふにゃふにゃでも入ると信じていた。

もちろん、結果的にダメだったので諦めたのだけど、

「それじゃ、僕が挿れてあげるよ。」

僕は自分の1番長い指を、彼の後ろから挿入した。

つぷり…

「あンッ 何だか変な感じがする…」

僕は、父の持ち物書物を思い出し、ゆっくりと出し入れしながら中の一部分を刺激した。

「アッ そこ! 腹がムズムズする。変な気持ちになるぅ…」

彼に反応があり、だんだん彼の膝がぷるぷるとしてきたと思ったら膝をつき…

「あんっ、何か出る! ウウッ ひゃん!」

僕は、彼の初めての射精が見られると思ってワクワクした。
だのに…

ぶりゅりゅりゅりゅりゅ……

出てきたのは、大便だった。

辺りに漂う悪臭……

「あああああ…もう、いやだぁぁぁーーー!!」

彼は、川で尻も洗わないまま、服を抱えて走り去ってしまった。

僕は帰宅すると、父の趣味の本がある書物庫に入って、男同士の交わりについて調べてみた。

すると、交合の前にはきちんと準備をしなければならないこと、また、そのやり方が書いてあった。

翌日、僕は彼を待った。
昨日僕が学んだことを、教えてあげようと思ったのだ。

けれど……
以来、彼は僕のところに来なくなってしまった。


領主邸に行ってみたけれど、そこは既に無人で…
彼が裸で走り去った日の夜に、その一家は王都へ旅立ったらしい。


僕は、父にそれとなく彼のことを聞いてみた。

すると、彼はとある公爵家の嫡男だとわかった。

「僕、彼が欲しいなぁ……」
父に漏らすと、
「欲しいなら自分で奪いに行けばいい。」

それもそうかと納得し、さぁ奪おうと思った時には、彼が貴族の女と婚約したと知った。

けれど僕は彼を奪いたくて、作戦を練った。


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