彼らの恋

325号室の住人

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たとえば、こんな出会い 3 吉川視点

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「吉川さん!」
「あ、おはようございます。」
「おはようございます。」

俺たちは、あれからほぼ毎日同じ電車で通勤することになった。

それまでルイのボディガード的な役割をしていた田上に恋人ができたらしく、同行できなくなったからだ。

会社内のクールビズが始まり、薄着になるこの頃は、ルイも俺も奴らに狙われやすいようで、あの鞄を提げた手が後ろを刺激してくる例のヤツも、俺達がそれぞれ1人になる日には触れてくるようになっていた。

帰りには現れないので、俺達は週末にはデートを楽しんだ。

他にも、

「今日はアイツに遭ってしまって…吉川さん、消毒してください。」

そう言って俺をねだるルイは本当にかわいらしく…
そういう日には週末を待たずにホテルまで行って楽しんでから終電で帰宅してというデートもしていた。



ちなみに俺らはまだ、互いの家へ足を踏み入れたことはない。
ルイは実家暮らしらしいし、俺は1人暮らしだが散らかり放題だからだ。

特に、ルイとの関わりが始まってからは、帰宅しても片付けや家事へ割く時間がなかなか取れず、まぁかろうじてゴミは出せているが、掃除はできていないし洗濯は平日の何処かで1回だけ。
スーツとワイシャツはクリーニング頼みで、靴下と肌着と下着、ハンカチくらいなので、そこまで溜まらないのだ。



今朝は俺1人で出勤する。
ルイは会議の準備のため早出とのこと。

ルイと一緒の時には急行電車を使うが、今日は1人なので各駅停車を使うことにする。

各駅停車に乗ると、ヤツには遭遇しない。
だから油断していたのだろう。
俺はシートに座って居眠りをしていた。
股間に異変があったのはその時だ。

「ん…何で…?」
俺はルイにイタズラされる夢を見ていた。すると、
「声は出さない方がいいですよ。」
知らない男の声がして目が覚めた。

シートの端に座っていた俺は、隣の中年男の鞄の影で股間を弄られていた。

腕組みをして俯き加減で眠っていた俺が目覚めて初めて見たものが、股間のチャックからズルリと取り出された自身のイチモツを扱かれている図だなんて、どんな悪夢だよ。

しかも、俺は下りるべき駅を数個通り過ぎていた。

この路線の各駅停車は次が終点で、俺が下りる駅を過ぎれば乗客がほとんどいなくなる。

終点はもぬけの殻状態の住宅街。到着すれば、また同じ電車が始発として出発する。

実際、俺もこの車両に隣の中年男と2人きりになっていた。

「よし、そろそろ良さそうです。」

男は徐ろに立ち上がると、スラックスの腰を緩めて膝まで下ろすと、両手で後孔を開いて見せつけながら、俺のイチモツを咥え込んだ。

「あっ、はぁんっ…いい! 長くて大きい! ゴリゴリ気持ちいい…」

一通り喘いで俺をそっちのけでイくと、終点を知らせるアナウンス。

スラックスを穿いて服装を整え、扉が開くと同時に中年男は出て行った。

残されたのは、放心状態の俺と車両の真ん中に投げ捨てられた使用済みコンドームが1つ。

その後、車掌に介抱された俺は、会社に欠勤連絡をしてから最寄りの警察署に連れて行かれて被害届を出し、パトカーの送迎で大きな病院でそちら系の病気の検査をしてもらってから、パトカーで自宅の最寄りの警察署まで送ってもらって、トボトボと家路についた。

それから引きこもりになった俺は、翌月には会社を辞めることになった。


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