盛れない男爵令嬢は前世からの願いを叶えたい (終)

325号室の住人

文字の大きさ
5 / 5

   5 (とりあえず、おわり)

しおりを挟む

それから、冒険者として依頼を受けた晩にはそうしてイチャイチャとのんびり過ごし、そうしているうちに私は彼との子どもを身籠ったの。

それでも出産直前まで依頼には付いて行ってた。
リュークが心配するから、私は座って魔法で補助をしながらリュークを応援する係だったけど…

そうして十月十日頃、私はリュークとの息子を出産した。
したのだけど…

「え…これって……」

生まれてすぐの息子を見て、つい数週間前に王太子殿下のところに王子が生まれたっていう号外で見た絵姿にそっくりですんごい驚いたら、リュークが言った。

「うん。今まで黙っていたけど、僕、元王子なんだよ。」
「え?」

それに、丁度、わたし用に干し芋のオヤツを持って来た母にも、
「でも、貴女のお父さんジェイコブが王族の血を引いてるの、知ってたわよね?」
「は?」

そこへ、洗濯した肌着やオムツを取り込んで持ってきてくれた父が言う。
お前の母シェリーは元公爵家のご令嬢だぞ。」
「うっそぉ!」

私、自分では全然知らなかったけれど、どうやらかなりロイヤルな感じの家族構成だったみたいね…




長男が3歳を迎えた頃…
毎年出産した私には3人のロイヤルな色合いの息子に恵まれていたのだけど、私がもうどうしたって耐えられなくて、冒険者として職場復帰したの。

復帰した私は母乳を出しまくったおかげか、母のお下がりのバトルスーツが着られるようになったのよ!

元々童顔だったってこともあって、今では立派に《童顔爆乳女子》な補助魔法使いになったわ。
やっぱり、信じていれば夢は叶うのね。

…という訳で、盛れずに悩んでいた日々もあったけれど、私の願いゆめは無事に叶って、私はとっても幸せよ。

みんな、ありがとう。





     とりあえず、おわり
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

天宮有
恋愛
 水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。  それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。  私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。  それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。   家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。  お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。  私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。

彼を愛したふたりの女

豆狸
恋愛
「エドアルド殿下が愛していらっしゃるのはドローレ様でしょう?」 「……彼女は死んだ」

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件

ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。 スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。 しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。 一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。 「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。 これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。

竜王の花嫁は番じゃない。

豆狸
恋愛
「……だから申し上げましたのに。私は貴方の番(つがい)などではないと。私はなんの衝動も感じていないと。私には……愛する婚約者がいるのだと……」 シンシアの瞳に涙はない。もう涸れ果ててしまっているのだ。 ──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。

処理中です...