7 / 7
7
しおりを挟む一瞬だらりとしたライド様の体だったけれど、僅か数秒で意志を持ち始めた。
「フレイオ…今度は俺が、慰めてやろう。もう、こうして既成事実も作ってしまった。
フレイオは、俺と婚姻するんだ、ぞ!」
瞬間的に、僕の視界に星が散ったのがわかった。
「あっ……ンっやぁっ……はんっ…はぁ……」
「もうへばったのか? 俺はまだイってないんだけど…?」
「や…ハァ……ん! もぅ、ぼくっボクボッ……うぅっ!!」
「はは……もうイった? ここからは何も出てないみたいだけど。」
ライド様は僕の先端に指の先で円を描いた。
「ぅうっ、ちょっ…今、イっ…ひぃ…いいい!!」
「コラ、唇は噛み締めるなよ。」
「らって…らいっがアっ…や……まだダメぇ…」
「本当にかわいい奴だな、フレイオは。」
「はんっ…?…んっんんうっ……」
チュッ…ちゅうっ
僕はたぶん、いつの間にやら気を飛ばしていたようだった。
だって次に目が覚めた時、体は不快なところはなく、さっぱりとしていて、夜着を着ていたのだから。
それから、夢か現か何かにサインをした記憶があり、その証拠とでも言うのか、利き手である右手の中指のペンだこの辺りに黒いインクが付いたところがあった。
その場所を眺めていると、湯気を体に纏わせたライド様が、上半身裸で髪を拭きながらこちらにやって来た。
「フレイオ、目が覚めたのか? 良かった。もう3日間も目を覚まさないから、責任取らせてあの剣折ってやろうかと思ってた。」
ライド様は顎でしゃくるように、シーの入っている剣を差す。
『何で私を壊そうとするのだ? 完全に、お前が抱き潰したせいじゃないか!』
「はぁ? お前が精神的にフレイオにダメージ与えたんだろうが!」
『それは…そうかもしれない。だがお前だってフレイオの体力を!』
「そうだ。確かに俺の体でな。」
『くぅぅーーー!!』
「もう止めて! 頭がガンガンするから、静かにできないなら2人とも出て行って!」
『「はい。ごめんなさい。」』
「静かにしてくれるなら、いいよ。僕、まだ眠くて…ごめん。また寝るね。」
次に目が覚めた時は暗かった。
そしてなぜか、胸側はひんやり、背側はポカポカとしていた。
身動ぎすれば、わかった。
胸側にはシーが入っている最強の剣が、パーティでの帯剣用の飾り付の鞘に収納されており、
背側にはライド様が、僕の臍の前で腕をクロスするように抱きしめていた。
何だか、過去と今、どちらの自分も抱きしめられているようで、嬉しくなった。
あれから何度寝かして朝を迎えた。
起きるとライド様が僕を着替えさせ、着替えが終われば横抱きにされて部屋を出た。
なぜか行き先はエントランスだった。
エントランスには、ライド様と似た色合いの立派な体躯の大男と華奢な男性が揃っている。
「ライド、婚姻おめでとう。伯父さんによろしくね。」
「はい。」
「え? 婚? 誰が? え?」
慌てる僕に対して、
「俺とフレイオだ。これから辺境に行って、俺は大伯父の養子に入るんだ。フレイオとの婚姻の届けは、滞りなく受理されてるから安心しろ、な。」
僕がポカンとしていると、額にキスをされた。
馬車に乗り込むと、
「馬車の中では臭いが籠もるから、ヤッちゃだめよ~!」
「孫の顔を見るの、楽しみにしているぞ~!!」
「わかっています。キスだけにしますから、安心してくれ!! 父上母上も、どうかお元気で~!」
そんな中、馬車はゆっくりと出発した。
こうして《しがない男爵令息》であった僕は、前前?いやもっと前?の恋人で今は剣精サマであるシーと、これから辺境最強の騎士に成長するライド様に、現在進行系で求愛されている。
知らないうちに婚姻して苗字が変わっていたのにもビックリだけど、どうやらこれから辺境へ向かうらしい。
ライド様は僕を膝に乗せて、嬉しそうに車窓に見えるものの解説をしてくれている。
シーはまた剣から出てきて透け感のある男性になって、僕の左膝をさすさすしている。
とりあえず、僕が幸せになれそうなのは間違いなさそうである。
おしまい
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
側仕えに選ばれた少年は、伴侶として愛される
すいかちゃん
BL
家紋を持たず生まれたため、家族に疎まれて育った真人(まなと)。そんな真人の元に、貴梨家から側仕えの話がくる。自分を必要としてくれる存在に、真人は躊躇いながらも了承する。
貴梨家に着いた真人は、当主である貴梨隆成から思いがけない事実を知らされる。最初は隆成を拒む真人。だが、「愛している」と真摯に告白されその身を委ねた。
第一話
「望まれる喜び」では、家族に冷たくされている真人が側仕えに選ばれるまでが描かれています。
第二話
「すれ違う心と身体」
抱かれる事に不安を覚える真人。そんな真人に焦れた隆成は、強引に…。
第三話
「重なる心と身体」
花火大会の夜。隆成と真人は、伴侶として1つになる。
第四話
「譲れない想い」
除籍のために梅咲家へ戻った真人。が、父親によって桐野と共に囚われてしまい…。
第五話
「愛を誓う夜」
王宮に挨拶に行く真人。
その夜。隆成から改めてプロポーズされる。
第6話
「生真面目な秘書は、苦手だった男の腕に甘く抱かれる」
隆成の秘書である桐野と、普段はお調子者の拓磨の話となっています。
愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる
すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。
第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」
一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。
2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。
第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」
獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。
第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」
幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。
だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。
獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。
給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!
永川さき
BL
魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。
ただ、その食事風景は特殊なもので……。
元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師
まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。
他サイトにも掲載しています。
【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。
うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!!
高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。
ムーン様にも投稿してます。
溺愛王子様の3つの恋物語~第2王子編~
結衣可
BL
第二王子ライナルト・フォン・グランツ(ライナ)は、奔放で自由人。
彼は密かに市井へ足を運び、民の声を聞き、王国の姿を自分の目で確かめることを日課にしていた。
そんな彼の存在に気づいたのは――冷徹と評される若き宰相、カール・ヴァイスベルクだった。
カールは王子の軽率な行動を厳しく諫める。
しかし、奔放に見えても人々に向けるライナの「本物の笑顔」に、彼の心は揺さぶられていく。
「逃げるな」と迫るカールと、「心配してくれるの?」と赤面するライナ。
危うくも甘いやり取りが続く中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
異世界転移した先は陰間茶屋でした
四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。
※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。
※謎解き要素はありません。
※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。
悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる