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しおりを挟む子らに背中を押され、いつもの部屋を出た直後、なぜか僕は彼と初めて交わった部屋に居た。
その途端、彼が僕の視界から消えた。
「つがい殿! 申し訳なかった! まさか吾がこんなに本能に呑まれるとは! まことに! まことに申し訳なく…」
声の聞こえる方を見ると、彼は僕の足元の床にへばりつく勢いで頭を下げていた。……っていうか、土下座?
顔は王子様なのに行動は体育会系で全く合ってない。
これって、もしかして僕が止めないと延々続くパターン?
「吾の言葉は魔法で翻訳されている。周波数は合っているはず。つがい殿は吾に言葉を掛けてはくださらぬのか?」
伏せられた顔で表情は見えない。
代わりに彼の見事な金髪が揺れながら仰々しい言葉が紡がれる。
まぁ、仰々しいながらも聞こえているのは言い訳だけれど。
ぶわりっ
彼からまた猛烈に香り、僕は頭がクラクラしてくると共に後ろが疼いた。
とりあえずどこかへ…僕が近くにあったベッドにの縁に座ると、
「あぁ…香る。吾のつがい…」
床を這いながら、彼が僕に近付いてきた。
その姿が段々と、頭頂に犬のような耳が生え、後ろにふさふさとした尾が生え、四つ足で走る美しい狼になり、僕に突進したまま僕を押し倒した。
「吾のつがい…」
顔を上げたのは犬ではなく犬耳をつけた彼だった。
水色の瞳は僕を捕らえて放さないと語っており、僕はその瞳を通して心地よい、けれど目に見えない何かを受け取った。
もしかして、これが彼の魔力なのだろうか。
そのまま僕は、再び彼と交わった。
「ンッ…あ……や! アンっ」
彼の唇が触れる。
僕の首筋に、鎖骨に、胸に、臍に…
キスまで行かない、ただ唇が触れるだけなのに、頭の中がほわほわとして、僕はさっきから声が止まらない。
その柔らかな唇でキスして欲しくて、僕は彼の頰を両手で包むと、体を起こしながら額と額をくっつけた。
彼の水色の宝石が、僕を正面から見据える。
彼は僕をその宝石に映しながら、更に僕の望みまで読み取ろうとしているように覗く。
僕の望みはただ1つ。
《貴方が欲しい。》
《君は念話ができるの? 感じたこと、私に伝えて。》
頭の中に響くのは、仰々しく翻訳された彼の言葉ではなかった。
《キス、して欲しい…です。》
《キス?》
【キス】は通じないのだろうか。
僕は彼の頰を両手ごと引き寄せ、彼の唇に自分の唇をくっつけた。
《これがキス? よし、今度は私が。》
チュッ チュッ
リップ音と共に、角度を変えながら何度も唇がくっついては離れる。
それだけでも気持ちよく、僕はだんだん彼に身を寄せて行き、気付けば彼の腿に跨って腰を振っていた…らしい。
耳元へ彼が吹き掛けた呼気に顔を上げると、
《とてもかわいらしいおねだりですが、もう私が限界です。》
彼の長い指先が僕の後ろに伸びる。
「ぁん!」
僕の体が反れば、彼はクツクツと嬉しそうに笑い、
ずぶずぶと自分の指を僕の後孔に埋め込めば、
「はっ、ダメぇ!」
僕は彼の腹に向かって盛大に射精した。
目が覚めると、夕方だった。
この世界でも同じ、茜色の空だ。
俯せになっていた僕は、胸の下に腕を敷いて上体を少し持ち上げると、右に倒れ彼と向かい合う体勢になった。
彼の髪の隙間から天使の寝顔がのぞく。
顔に掛かった髪は、毛先が彼の下にあるのでうまくはらってやれなかった。
けれど彼に触れてみたくて、僕は髪の隙間からそっと指先を差し入れた。
あれから僕は、挿入されたまま彼に跨り、何度も何度も突き上げられ、狂ったように嬌声を上げながら何度も何度もナカで彼の精液を浴びた。
正直、頭の血管がイッて命を落とすと思った。
そのくらいの…いわゆる彼は絶倫だった。
考え事をしていたせいだろうか。
僕の指先は頬に触れるつもりが唇に当たってしまった。
はむっ
その指先は彼の口の中にあっという間に入り、ペロペロと舐められる。
ただそれだけで股間が熱くなる僕も、大概淫乱だと思った。
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