【完】名前すら知らない、僕のつがい

325号室の住人

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何度目かの事後…
枕の山に寄り掛かる彼に横抱きにされた僕は、彼の左肩に寄り掛かりながら、たまに彼の差し出すこの世界のフルーツをパクリと口に含んでいた。

《少し食べられるようで安心しました。》
《なぜ?》
《私が、君を抱き潰すまで抱いてしまうからです。本能には抗えず…ですから今は、本能に干渉されにくいように人型を取っています。》
《そうか。それで耳がココについているんだね。》

僕は、彼の顔の横に手を伸ばした。

《フフフッ…くすぐったい。》

耳輪から耳垂までをツーッと指先で触れると、彼が笑った。

《ふふっいつもと逆だね。》
言って外耳道へ指を伸ばせば、
《意地悪ですね。》
少しだけムッとしながら彼の真面目な顔がこちらを見た。

水色の宝石のような瞳が、まっすぐにこちらを見つめる。
僕は軽く触れるだけのキスをすると、
《ごめん。》
《私の方が、だいぶ君に……》
《いや良いんだ。僕だって後ろが疼いてしまうし。やっぱり、【つがい】だからだろうか。》
《そうだな。早速こちらはもう私を誘うし?》

彼が僕の疼く場所へ指をのば…

「ん!」
《感じてくれますか? やはり君は…淫乱ですね。》
《こんな僕は、嫌い?》
《いいえ。私好みですよ。》
「ァんっ…」

彼は僕の顎を掴むと、下から指先がナカへ侵入するのと同時に口内へ舌が入ってきた。

「んっ…ンンッ!」

苦しい…けれど昂ぶる。
心も、身体も…

僕の背中はイきながら反り、唇が離れると、自分で膝を割りながら彼に後孔をさらした。

恥ずかしいよりも欲しいが増し、自らの手で後孔を左右に割り開くと、彼は心得たとばかりにそこへ剛直を突き刺した。

「ぁああああーーーー!!!」

ナカがうねり、身体が悦んでいるのがわかる。
そこからは叫ぶような嬌声が続き、僕はまた何度もイった。






《ママぁ~!》
《おかえり! ほら、見て見て!!》
《アタシたち、ママが居ない間に、【ひとがた】できるようになったの!!》


目が覚めたのは、仔犬たちと僕が過ごしているベッドだった。
僕を起こしたのは、何と3人の子どもだった。

そして、その内の1人の容姿に愕然とする。

体毛の時よりも一段薄くなった髪色の男の子は、あの夢に出てくる僕の相手の幼い頃と言っても過言でないほど、そっくりだったからだ。

──僕は、将来的に自分の息子に腰を振る? 運命のつがいとは、僕の息子だった?



《そろそろパパに、ママを返してくれる時間ですよ。》
《えー!!》
《人でいるのは、とても疲れるのです。そろそろ午睡をしなくては。》


言っているそばから元の仔犬の姿になった子どもたちは、大あくびをしながらベッドで寝息をたて始め…

僕は彼にエスコートされながら、その部屋をあとにした。






「……んっ!」
《どうしました? 【つがい】を前にしているのに、心ここにあらずですか?》

僕は、彼の部屋に魔法でやって来てもまだ考え事をしていたようだった。

《誰のことを考えていているのです? 子どもたちのことを考えるにしては、随分と色っぽい表情ですね。》
《え?》
《妬けます。私のことだけを考えてくれませんか?》

大きなベッドの、僕の向かいに座った彼はそう言うと、僕の顔を覗き込みながら少し悲しそうな表情をした。

《あ、ごめん。ちょっと、この世界に来る前のことを考えていたんだ。》
《……帰りたいのですか?》

そこで僕はやっと、彼の表情に合点がいった。

《帰れるのか?》
《帰ることは……できないでしょうね。なぜ君が、どうやって…何もわかっていませんから。》
《そうか……》

僕がまた黙ってしまうと、彼は心配そうに僕の表情を覗う。
現在は人だけれど、獣人化していれば耳は垂れていそうだ。

僕は彼の頭を撫で、そこから毛先へとスルーッと指を滑らせ……

《わかった。話すよ。あのね…》

僕は、日本で暮らしていた頃の夢の内容を話した。
それから、彼の美しい金髪の毛先で遊びながら、先程気付いたこと…息子とそっくりだった話もした。

《僕は怖いんだ。あの子が大きくなったら、僕はあの子と…?って。》

そこで顔を上げると、彼は手に魔法の氷で作った小刀を握っていた。
そして鷲掴みにした美しい髪を、ザクリと音を立てて切った。

はらり…

新しく毛先になった髪が、彼の顎のラインで自由に踊る。

切ってしまった髪と小刀は魔法で消してしまったようで、彼は利き手で僕の顎を掴むと触れるだけのキスを落とした。

《君の【つがい】は私です。絶対に離しません! ですが、もう子らの午睡が終わるでしょう。
夜になったら…覚悟を決めておいてください。》

言うと彼は、僕を残して魔法で出て行ってしまった。


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