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中身の話
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いや~面白かったですね~。
ふふふ、4人の顔ときたら、何度も思い出して笑ってしまいますね~。
あぁ、懐かしいですね~。
ん?懐かしい?何が?
はて……?
まぁ、気にしても仕方ありませんし~、思い出し笑いはこれくらいにしてそろそろ向かいますか~。
化け狐からこんなお誘いが来るとは思ってもみなかったです~。
▽
砂塵舞う荒野。
まるで近寄る者を拒むが如く、わずか数センチ先すらも見えぬ程。
この辺り、ですね。
上空より見下ろしても、とても見えるはずもない目的の場所にはっきり感じ取れた大きな気配を頼りに着陸する。
少し……ずれましたか。
あれだけ大きい気配を探知して降りたというのに、少し風で流された?
まぁずれた理由を考えても仕方がないですし、とりあえず行きますか。
砂塵の中を切り裂くように、大きな羽ばたきひとつで目的地まで一直線。
視界に見えるは僅かに傾き、朽ちかけているかとさえ思う神殿。
その入り口に、まるで砂塵など気にしていない様子で眠る龍族が1頭。
と、こちらの気配を感じたのか。
(来訪者とは久しいな。誰だ?)
目も開けず、体も動かさず、しかし、しっかり警戒だけはしてそう念話を飛ばしてくる。
「お久しぶりです。……父さん」
龍族は、その言葉を聞いた途端、両目を大きく見開いた。
*
「宝箱の中身……なのです?」
「はい。この連休の前に確保するのが一番なので」
首をかしげるツヅラオに説明を始める。
「そもそも、ダンジョンの宝箱の仕組みは知りませんよね?」
「はいなのです。……モンスターが大事に守っているもの……としか」
「正確には守らせている物、です。それは装備品であったり、素材であったり、アイテムであったり、中身は色々ありますが、ダンジョンをクリアしたご褒美に冒険者用に置いてあるもの。と思ってください」
「ご褒美……」
「身も蓋もありませんがそうです。大体、何故モンスターが人間の装備を大事に宝箱に入れる必要がありますか」
「確かに……」
徐々にツヅラオの顔が微妙に引き攣ってくる。
「宝箱は冒険者達のやる気に関わる問題です。中身が空の宝箱しかないダンジョンなど十中八九利用率一桁以下になります」
「それを防ぐため……なのです?」
「その通り、と言っても確保が必要なダンジョンはBランク以上ですね。それより下のランクは鍛冶の町の装備品で事足ります」
「つまりそんな装備よりも価値の高いものをBランク以上から……ご褒美……にしているのです?」
若干ご褒美呼びに躊躇ったが、……順応早くて助かります。
「大体は装備に属性や効果を付与する素材ですね。たまにモンスターにしか作れない装飾品も入れたりします」
「具体的には……何を?」
「身近な物であれば神楽さんの毛の入ったお守り。幸運値5倍とかいう、とち狂った効果の装飾品ですね」
冒険者の幸運値など正直、話にならない数値なのだがこれが恐ろしく人気がある。
過去には家と取引された実績があるほどだ。
「かか……神楽様の……お守り……なのです」
「まぁそういった宝箱の中身になりそうな物を、冒険者がダンジョンを利用しない今のうちに集めておかなければならないのですよ」
宝箱の中身となる物が無くなった。という話は聞かないが、備えあれば憂いなし。
今までが問題にならなかっただけで、これからも問題にならないとは限らない。
今の冒険者達は積極的にダンジョンを攻略していますし。
このタイミングで重なった連休の前に今年分集めてしまおうという魂胆です。
「なるほど……分かったのです。それで……僕は何をすればいいのです?」
「神楽さんの所へ行ってください。話はしてありますので何かしら用意してくれているはずです」
「マデラさんはどちらへ行くのです?」
「私は……父の所へ……」
*
(本当に久しいな。我が娘よ)
のっそりと体を起こし、こちらに向き直る。
「身体は変わりありませんか?」
(退屈な事すら含めて何も変わっておらぬ)
不機嫌そうに天を見上げて、ブレスを一発。
「そうですか。では早速要件を」
それを気にせず話を進めようとすると
(素材を寄越せというのであろう)
いつもの事なので先に言われてしまう。
「はい。今回はいつもより多めに」
(好きに持っていくがよい……自力でな)
もう興味も無い、といった様子でそっぽを向く。
さて……と。
いいから黙って従いなさい。
風がやみ、砂塵が消え、……我が父親の体にまとわりつくようにかまいたちを発生させる。
しかし、かまいたちを受け続ける父は、一切反応なし。
髭を切り、鱗を剥がし、爪を削り落とす。
その直後から切られた髭も剥がされた鱗も、爪も、全てが瞬間で元通りになる。
我が父ながら、怖いですね。
一応風の精霊に直接命令して一番強い威力で撃たせたのだが……
僅か程のダメージすら無く、剥ぎ取った鱗だのなんだのは即時回復。
ダンジョンではなく、神殿を守っているからいいものを、
これがダンジョンマスターだったらと思うと怖すぎます。
Sランクでも収まらないでしょうね。冒険者立ち入り禁止レベルです。
とりあえずかなり欲張って手に入れた髭や鱗をしっかりと回収し、ギルドに戻りますか。
これだけあれば来年まで持つでしょうし、と戦利品を抱えて私はギルドへ戻った。
(お返しだ娘よ)
と、亜音速で背後から飛んでくるブレスを躱しながらであるが。
……なんだかんだ私と会えたのが嬉しかったらしい。
*
「ふぅ。ただいま戻りました」
「お帰りなさ…………すっごい量なのです!」
ギリギリ前が見える程度の量を抱えた私を見て一瞬固まるツヅラオ。
「父の機嫌が良かったもので。そちらはどうでした?」
「はいなのです!お守り5つと、鈴の付いた髪飾りを預かってきたのです!これらはどうするのです?」
「これらはギルドの倉庫で保管します。ついて来て下さい」
とギルドの倉庫へ。
2重の封印を解除し、素材を床に下ろす。
「こんな所があったのですか」
「普段は見えもせず、存在すら私が消しています。そして封印も2重に施しています。万が一にも、ここに盗みに入られるわけにもいかないので」
「なるほど……なのです」
「髪飾りの方を見せていただけますか?効果によってどこのダンジョンに置くか決めるので」
「はいなのです!」
父の素材は基本B~Aランクの宝箱へ。
風耐性及び風属性付与 毒無効 魔力増幅 移動速度上昇
など、かなり便利な能力が付与出来るアイテムではあるが、そもそも加工が難しいものばかりなので、ある程度は手に入りやすくしている。
ツヅラオから髪飾りを受け取って、効果を確認。
…………
あの、……これどこに配置する気だったんですかね?
ちょっと小一時間程話をですね。
鈴の髪飾り
効果 魔法力上昇
補正値+200
って見ても分かりませんよね。
今の冒険者の一番実力のある魔法使いが魔法力150程度です。
ちなみにその方、いくつかのAランクダンジョンをソロでクリアできる程の実力者です。
杖や装備、装飾に全て魔法力強化を施して、ようやく魔法力150です。
対して髪飾りは単体で+200です。
これをつけるだけで、魔法力だけは当代最強間違いなしです。
で、……これ、どこに配置しろと?
そもそもこんな装備つけて魔法なんて撃ったらダンジョン自体が消し飛びかねないんですけど。
とりあえず、封印しておきましょう。危なすぎます。
「そういえば、かか……神楽様に返事を聞いてこいと言われていたのです」
「返事……あぁ、連休の事ですか。お世話になります、と伝えておいてください」
せっかくの姉御の誘いである。
どうせ連休中だしロクなことをしないだろうが、こんな時しか出来ないですし。
私も休みを満喫しましょう。
「了解なのです!」
元気一杯にツヅラオは返事し、連休前最後の仕事は無事に終了した。
ふふふ、4人の顔ときたら、何度も思い出して笑ってしまいますね~。
あぁ、懐かしいですね~。
ん?懐かしい?何が?
はて……?
まぁ、気にしても仕方ありませんし~、思い出し笑いはこれくらいにしてそろそろ向かいますか~。
化け狐からこんなお誘いが来るとは思ってもみなかったです~。
▽
砂塵舞う荒野。
まるで近寄る者を拒むが如く、わずか数センチ先すらも見えぬ程。
この辺り、ですね。
上空より見下ろしても、とても見えるはずもない目的の場所にはっきり感じ取れた大きな気配を頼りに着陸する。
少し……ずれましたか。
あれだけ大きい気配を探知して降りたというのに、少し風で流された?
まぁずれた理由を考えても仕方がないですし、とりあえず行きますか。
砂塵の中を切り裂くように、大きな羽ばたきひとつで目的地まで一直線。
視界に見えるは僅かに傾き、朽ちかけているかとさえ思う神殿。
その入り口に、まるで砂塵など気にしていない様子で眠る龍族が1頭。
と、こちらの気配を感じたのか。
(来訪者とは久しいな。誰だ?)
目も開けず、体も動かさず、しかし、しっかり警戒だけはしてそう念話を飛ばしてくる。
「お久しぶりです。……父さん」
龍族は、その言葉を聞いた途端、両目を大きく見開いた。
*
「宝箱の中身……なのです?」
「はい。この連休の前に確保するのが一番なので」
首をかしげるツヅラオに説明を始める。
「そもそも、ダンジョンの宝箱の仕組みは知りませんよね?」
「はいなのです。……モンスターが大事に守っているもの……としか」
「正確には守らせている物、です。それは装備品であったり、素材であったり、アイテムであったり、中身は色々ありますが、ダンジョンをクリアしたご褒美に冒険者用に置いてあるもの。と思ってください」
「ご褒美……」
「身も蓋もありませんがそうです。大体、何故モンスターが人間の装備を大事に宝箱に入れる必要がありますか」
「確かに……」
徐々にツヅラオの顔が微妙に引き攣ってくる。
「宝箱は冒険者達のやる気に関わる問題です。中身が空の宝箱しかないダンジョンなど十中八九利用率一桁以下になります」
「それを防ぐため……なのです?」
「その通り、と言っても確保が必要なダンジョンはBランク以上ですね。それより下のランクは鍛冶の町の装備品で事足ります」
「つまりそんな装備よりも価値の高いものをBランク以上から……ご褒美……にしているのです?」
若干ご褒美呼びに躊躇ったが、……順応早くて助かります。
「大体は装備に属性や効果を付与する素材ですね。たまにモンスターにしか作れない装飾品も入れたりします」
「具体的には……何を?」
「身近な物であれば神楽さんの毛の入ったお守り。幸運値5倍とかいう、とち狂った効果の装飾品ですね」
冒険者の幸運値など正直、話にならない数値なのだがこれが恐ろしく人気がある。
過去には家と取引された実績があるほどだ。
「かか……神楽様の……お守り……なのです」
「まぁそういった宝箱の中身になりそうな物を、冒険者がダンジョンを利用しない今のうちに集めておかなければならないのですよ」
宝箱の中身となる物が無くなった。という話は聞かないが、備えあれば憂いなし。
今までが問題にならなかっただけで、これからも問題にならないとは限らない。
今の冒険者達は積極的にダンジョンを攻略していますし。
このタイミングで重なった連休の前に今年分集めてしまおうという魂胆です。
「なるほど……分かったのです。それで……僕は何をすればいいのです?」
「神楽さんの所へ行ってください。話はしてありますので何かしら用意してくれているはずです」
「マデラさんはどちらへ行くのです?」
「私は……父の所へ……」
*
(本当に久しいな。我が娘よ)
のっそりと体を起こし、こちらに向き直る。
「身体は変わりありませんか?」
(退屈な事すら含めて何も変わっておらぬ)
不機嫌そうに天を見上げて、ブレスを一発。
「そうですか。では早速要件を」
それを気にせず話を進めようとすると
(素材を寄越せというのであろう)
いつもの事なので先に言われてしまう。
「はい。今回はいつもより多めに」
(好きに持っていくがよい……自力でな)
もう興味も無い、といった様子でそっぽを向く。
さて……と。
いいから黙って従いなさい。
風がやみ、砂塵が消え、……我が父親の体にまとわりつくようにかまいたちを発生させる。
しかし、かまいたちを受け続ける父は、一切反応なし。
髭を切り、鱗を剥がし、爪を削り落とす。
その直後から切られた髭も剥がされた鱗も、爪も、全てが瞬間で元通りになる。
我が父ながら、怖いですね。
一応風の精霊に直接命令して一番強い威力で撃たせたのだが……
僅か程のダメージすら無く、剥ぎ取った鱗だのなんだのは即時回復。
ダンジョンではなく、神殿を守っているからいいものを、
これがダンジョンマスターだったらと思うと怖すぎます。
Sランクでも収まらないでしょうね。冒険者立ち入り禁止レベルです。
とりあえずかなり欲張って手に入れた髭や鱗をしっかりと回収し、ギルドに戻りますか。
これだけあれば来年まで持つでしょうし、と戦利品を抱えて私はギルドへ戻った。
(お返しだ娘よ)
と、亜音速で背後から飛んでくるブレスを躱しながらであるが。
……なんだかんだ私と会えたのが嬉しかったらしい。
*
「ふぅ。ただいま戻りました」
「お帰りなさ…………すっごい量なのです!」
ギリギリ前が見える程度の量を抱えた私を見て一瞬固まるツヅラオ。
「父の機嫌が良かったもので。そちらはどうでした?」
「はいなのです!お守り5つと、鈴の付いた髪飾りを預かってきたのです!これらはどうするのです?」
「これらはギルドの倉庫で保管します。ついて来て下さい」
とギルドの倉庫へ。
2重の封印を解除し、素材を床に下ろす。
「こんな所があったのですか」
「普段は見えもせず、存在すら私が消しています。そして封印も2重に施しています。万が一にも、ここに盗みに入られるわけにもいかないので」
「なるほど……なのです」
「髪飾りの方を見せていただけますか?効果によってどこのダンジョンに置くか決めるので」
「はいなのです!」
父の素材は基本B~Aランクの宝箱へ。
風耐性及び風属性付与 毒無効 魔力増幅 移動速度上昇
など、かなり便利な能力が付与出来るアイテムではあるが、そもそも加工が難しいものばかりなので、ある程度は手に入りやすくしている。
ツヅラオから髪飾りを受け取って、効果を確認。
…………
あの、……これどこに配置する気だったんですかね?
ちょっと小一時間程話をですね。
鈴の髪飾り
効果 魔法力上昇
補正値+200
って見ても分かりませんよね。
今の冒険者の一番実力のある魔法使いが魔法力150程度です。
ちなみにその方、いくつかのAランクダンジョンをソロでクリアできる程の実力者です。
杖や装備、装飾に全て魔法力強化を施して、ようやく魔法力150です。
対して髪飾りは単体で+200です。
これをつけるだけで、魔法力だけは当代最強間違いなしです。
で、……これ、どこに配置しろと?
そもそもこんな装備つけて魔法なんて撃ったらダンジョン自体が消し飛びかねないんですけど。
とりあえず、封印しておきましょう。危なすぎます。
「そういえば、かか……神楽様に返事を聞いてこいと言われていたのです」
「返事……あぁ、連休の事ですか。お世話になります、と伝えておいてください」
せっかくの姉御の誘いである。
どうせ連休中だしロクなことをしないだろうが、こんな時しか出来ないですし。
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