こちら冒険者支援ギルド ダンジョン課

瀧音静

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暗躍

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えぇと、次は何をすれば……

こっちこっち~。この子の治療を手伝ってねぇ。

それ終わったらこっち来て。飲み薬の最後の仕上げをお願いするわ。

最後でいいから俺んとこ来い。目の保養が足りねぇ。

あいつのとこには行かなくていいよぉ。

えぇと、……はい!私、頑張ります。



「冗談でも笑えへんもんは冗談とは呼ばんのやで? なんでうちらが魔王さん倒すのに手を貸さなあかんねや! 今の現状を作る為にうちらは魔王さんに手を貸したんやで!?」

 いきなり大声を出した姉御の膝の上でツヅラオが身じろぎし、姉御は慌てて頭を撫でる。

「魔王様のご意思ですよ~? というか望み、ですかね~」
「いくつか質問が。それに、説明が足りない部分があります」

 先ほどのナハトの話。まぁあり得そうな話ではある。少なくとも完全には否定できないですね。
が、しかし。

「何故あなたが魔王様の意思をご存知で? それに、今までの話も、あたかも見てきたように言っていますが、何故、あなたが知っているんですか?」

 魔王からモンスターへ降格した彼には、知り得る術は無いはずなのだ。

「魔王様の意思はたった今本人に確かめました~。そしてそして~、見て来たのではなく~」

 力を失った彼が知り得るためには、

からですよ~?」

 でしょうね。それ以外には思いつきませんし。

「魔王の概念の移動を実際に体験し~、再度魔王へと成り上がる為に~、本っっ当に色々と準備をして来たんですよ~?」

 夜色に怪しく光る瞳を輝かせ、饒舌に語る彼は、どこまでを想定して動いているのか。

「ほな、人間に魔法教えとったんは? あんなん、あんたの気まぐれじゃないとでも?」

 はて、こいつにそのような過去があるとは驚きなのですが。

「決まってるじゃないですか~。人間が強くなれば魔王の首を取るかもしれないという淡い淡ーい期待があったんですよ~。淡過ぎて見えなくなっちゃいましたけどね~」
「だけど、そんな事をしていたら今の魔王が尋ねて来た。随分と行き当たりばったりだな。とても全部思い通りに動かしているとは思えないが?」
「ではお聞きしますが~、現魔王様が人間、面倒なので勇者と呼びます~。勇者として旅立つきっかけになった、モンスターの争いの噂、及び勇者の居た村の壊滅がほぼ同時に起こったのも偶然だと思います~?」

 こいつは。ろくでもない事しかしていないじゃありませんか。

「そもそも~、勇者様はどうして僕の居場所が分かったんです~?」
「そんなん噂になっとった……。そういう事か」
「は~い。ご理解いただけましたか~? ぜ~んぶ想定通りだったんですよ~?」

 魔王様が勇者の時にそのような事を体験なされていたとは……。

「ちょっと待ってください。魔王様は勇者としてそこまで強かったのですか? お二人を従える程に」
「「はぁ?」」

 え? 何でそんな顔するんです二人とも。

「あぁ、マデラは記憶無いんやっけ」
「僕も名前と共に戻ってきましたし、普通に会話聞いていましたしで全く考えもしませんでしたが~、んです~?」

 えぇと、お二人の口振りから察するに、

「あんた、魔王さんと一緒に旅しとったで。 龍の姿でな」
「しかも今より強かったんですよ~? 僕もこの狐も、まるで歯が立たない位でしたから~」
「そんな存在従えとった魔王さんの力も分かるやろ? なんせ、モンスター中最強とうたわれとった紅宝龍が言いなりなんやから」

 そうですか。……って

「記憶を返して貰ってない、というのはどういう意味ですか? あと紅宝龍って私の事ですか?」
「そのまんまの意味です~。……勇者の優しさ、という事にしておきます~」
「どちらの話ですか?」

その様な言い方をされると気になるんですが……

「まぁ、どっちもやな。と、また話の腰折れとるで」
「申し訳ありません~。どこまで話ましたっけ。……あぁそうそう、無事に勇者御一行に入った所まででしたね~。あとは想定だと~、魔王を倒した手柄を横から掠め取れれば良かったんですが~」
「俺がそうさせなかったんだな」
「その通りです~。本当にミヤジには邪魔しかされてないんですよ~」

 ようやく俺の入れる話だ、と入って来たミヤジさんへ、ナハトは文句を言い始める。

「大体ですね~、僕の時は一週間とか戦い続けた癖に~、勇者の時には2分も経たずに魔王を譲渡したんです~? 理解出来ません~。そもそも何で勇者にあげちゃうんですか~。僕でよかったでしょうに~」
「あのな、どう考えても悪用する事しか考えてないやつに譲ると思うか? それに、俺は人間だ。元でも、この世界の住人じゃなくてもな。あいつはそんな人間達を救い出すなんて俺自身が馬鹿馬鹿しいと思った事を成し遂げて見せると言ってきた。そんで、そのやり方聞いて心の中で爆笑したのさ」

まるで子供の用に無邪気な顔を見せて、ミヤさんはこう、楽しそうに言った。

「この世界を、ゲームの中に変えて見せる。ってさ。聞けば聞くほど、俺が子供の頃にやって、ハマったゲームの内容にそっくりだった。だから、託したんだよ。あいつにな」

 申し訳ありません、ええと、その……

「ゲームって何です?」「ゲームって何や?」「ゲームって何です~?」

 三人がほぼ同時にそう聞いて、ミヤさんはがっくりと肩を落とした。
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