家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫

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第54話

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「何これ?針が全く刺さらない!」


 俺の採血をしようとしていた看護師が慌てている。



「こっちもよ!」


浩美の採血をしようとしていた看護師も驚きの声を上げる。



「私も…何で?こんなに柔らかい肌をしてるのに!!」


ひかりの採血しようとしていた看護師は悲鳴にも似た声を上げていた。



「最後の希望よ…あかりちゃん痛くないからねー。

…ヤッパリ無理だわ!この家族はどうなってるの?」


物理耐性が高過ぎるからとは言えない。



「俺の血だけでよかったら、出しますが…方法があれなんで家族にはさせたくないですが。。」


「社さん?何をするつもりです?」


「手首を少しだけ自分で切って血を流すだけです。」


「は!?何を言ってるんですか?ここは病院ですよ!病院で自殺紛いの行動は止めて下さい!!」


「でも他人からの攻撃じゃ、銃弾を受けても傷一つ付かなかったんですよ。」


「また訳の分からないこと言って!」


「いあ、ホントですって…」



 結局採血は諦めることとなった。代わりに、MRI、脳波の検査、視力・聴力、レントゲンなど様々な検査を行った。


結論からいうと、レントゲンは体が放射線を通さず検査にならなかった。おそらくは毒耐性が放射能を毒と判断してしまったのだろう。

視力検査は、検査器具の限界を越えて見ることができた。全員視力10.0以上という曖昧な結果に終わった。

聴力に関しても全員高音も低音も機械の限界値まで聞き分けられた。


脳波・MRI検査では全員正常だと言われた。



 次に医師たちに連れられ向かったのは、運動能力を機械で数値化する機械だと説明された。プロの運動選手たちが自分の能力を知るために使う機械だそうだ!


《みんな、この機械で本気は出すな!多分簡単に壊れてしまう。それなりに適当にやっておけ!》


《分かったー!》


テレパシーでこんな指示を俺が出していたにも関わらず、裏ではこんな会話がされていた。



「何だ…この数値は!?」


「一家全員人間の肉体を逸脱している!」


「見た目は普通なのに…何が起きたらこんなことに?」


「例の島で過ごせば、こんな体になれるのか?」


「バカなことを!特定の場所にいるだけで化け物になる場所なんて存在するわけがない!!」


「しかし、現にこうして数値で出てるじゃないか!!
我々は科学者だ!数字こそ真実だ!!!否定するならそれだけの根拠が必要だ!

俺は例の島の調査チームに志願する。真実を見つけてみせる!」


「私も行くわ!ここで行動しないのは科学者ではないわ!!」


「しかし、危険では?」


「真実より安全が欲しいのなら、科学者を止めて、研究者におなりなさい!私たちは行くわ!」




 こうして、あまり役に立てたとは思えないまま病院での検査の2日間は終了した。


ノア一家はどうしてたかというと、退院後俺たちが暮らすことになっている家に先に行っている。食べ物は国の用意してくれた家政婦さんが毎食出してくれることになっている。

まさか狼の魔物だから人間と同じものを用意しろとは言えなかったので、この2日間の間はドッグフードで大人しく我慢してもらっている。


たまにテレパシーで「早く帰ってこい」と催促されるのも仕方ないことだろう。




「ここが新しいおうち?」


「おっきいね!」


「そうだな!ちょっと不便な立地だが、大きな家だな!」


「ただで貸してもらえるのに文句を言ったらバチが当たるわよ!」


「それもそうだな…感謝して暮らさないとな!」



 ここは埼玉県の山奥にある別荘だ。周りには家一つない。

さらに道路はこの家の前までしかない為、この家に用事がない限りここへ人が近づくことはないというのだ!


「政府は俺たちによっぽど他人と接触して欲しくないんだろうな?」


「そうね。生活に必要なものも週に1回持ってきてくれるって話だしね。」



「しかし、家でゆっくりなんて久しぶりの感じだな?それにテレビもあるしな?」


「そうね!テレビなんて久しぶりだわ。なぜか病院ではテレビ禁止されちゃったしね?」


「そうだな。珍しいよな。」



 その答えはテレビをつけたらすぐに分かった。


テレビではニュースでもワイドショーでもあの島のことと、俺たち家族のことで持ちきりだった。


正直あることないこといっていたが、たまに以前の俺たちを知るものとしてモザイクがかかって話してるのを見ると、

「あれってあの人じゃねー?」
「違うわよ!◯◯さんよー!」
「あっ!◯◯ちゃんだー!懐かしー!!」

と家族で盛り上がった。


そして改めて日本に戻ってきたんだって少しだけ実感が沸いてくるのであった。


「これからどうしようか?これだけ目立っちゃったら、しばらくは就職なんてできないわよね…それに国からお金もいっぱいもらえるって話だし、しばらくはゆっくりしておく?」


「そうだな!しばらくはゆっくり先の準備をしておこう。」


「トモヤ、ヒロミ!家族で盛り上がってるところすまないが、早く俺たちに美味しい飯を準備してくれ!!あのスカスカな食べ物はどうも食った気がしないんだ!!!」


「あー!すまない。すぐに準備する!みんなで料理でも楽しもう!!」




 食事の後、俺はこっそり家の中を細かく探っていた。


「ヤッパリあったな…」


家のあちこちに盗聴機とカメラが仕掛けられていた。俺は1つ1つ素材登録で吸収していき、消して回った。



政府の用意した家だから、盗聴や盗撮は監視の為にしてるだろうと予想していたが、さすがにここは駄目だろ…ここは…


風呂と脱衣所にまでしっかりとカメラがいくつも仕掛けられていたのだ!


怒りも沸いてくるし、文句を言ってやりたいが、まだ覗かれた訳でもないし、向こうも俺が解除したことを突っ込めないだろうから、お互い様ってやつか…



 俺たちはそれから2週間、たまに政府の人間と思われる人間の気配を感じるが、これまでにないくらい平和に過ごしていた。

そしてとうとう政府の依頼でメディアに出ることとなった。



 番組はNWKのニュースだった。もちろん生ではなく、編集のできる収録である。当たり障りのない部分だけをうまく使うのだろう。


女性レポーターが質問してくるのを俺たち家族で答えていくだけの流れだ。収録は休憩も合わせ、3時間にも及んだが、実際に使われるのはほんの数分だと思っていた。

しかし蓋を開けてみると、特番となっており、1時間の殆どが俺たちのコーナーとなっていた。

さすがに魔物との死闘の話や、原住民のエルフと一度揉めて殺し合いに発展したなどのヤバそうな話は全てカットされていた。

そりゃー国民を不安にさせるもんな。


 その中で俺が興味を持ったのは、250年前のマルコの話だった。

実際に過去の歴史を調べたようで、ちょうどその頃、フィンランドの森で精霊を見たという男が現れ、それを調べに行った多くの兵が神隠しにあったという現地の記述が残っているというものだった。


おそらくはビンゴだろう…迷いの森と、フィンランドの森の空間が何らかの形で結び付いてしまったのかもしれない。


 この放送の後、再び俺たちは時の人となってしまい、どうやったのかマスコミがこの家を探り当てて張り込むようになってしまった。

俺はドローンで外から中を覗かれないように、特殊な装置を2つ作った。


1つは家の周りに目隠しだ。これはとても便利で中にいれば太陽の光りも普通に入ってくるし、視界も邪魔しないのに、外からは真っ暗で何も見えなくなるのだ。

もう1つは普通には何も見えない壁を永続的に張り続ける装置で、ミサイルで攻撃されてもびくともしない程度の防御力はある。その範囲は上空や地下にも及び、登録した魔力の持ち主には何の障害にもならない便利仕様なのだ。


どちらも難点は毎日魔石の交換が必要となることくらいだ。


それすらも、俺の玩具メーカーで魔石の交換は簡単に用意できるので問題ではなかった。

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