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番外編 瑠可/楓
番外編 kaede-6
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日曜日。
最終面接の開始は13時。
瑠可と篠崎の待ち合わせも13時。
30分前に面接会場のNANA-tsuki本社の控室に着いた。
メッセージを送るともう少しでカフェのある最寄駅に着くと返事が来た。
面接会場からカフェまでは歩いても1時間程度の距離だから、終わったらタクシー拾って向かおうと考えているのだが、今日の最終面接は集団と個別とあるため、終了時間が読めない。
俺が応募した部門は1000人以上の応募者から5人採用という狭き門だ。
最終面接は俺を含む30人。
他の部門の面接も併せて行うため、控室にはかなりの人数がいた。
今日の最終面接は、まず全体での集団面接で10人ずつ15~20分行い、その後、部門ごとに5~10分の個別の面接があると説明をされた。
集団面接の俺のターンは2組目だった。
13時まであと10分というところで、瑠可からカフェの前に着いたと連絡がきた。
メッセージには『面接頑張って』と追伸があり、緊張が解けた俺はクスリと笑った。
13時15分。
そろそろ1組目が終わる頃、瑠可から着信が来た。
嫌な予感がして控室の隅で電話に出る。
「もしもし、瑠可?」
『…ああ、君が如月楓くんだね。面接前だというのに電話に出るなんて余裕だね』
電話の相手は瑠可ではない男の声だった。
電話の奥で「篠崎さん、やめてっ!」と聞こえ、微かにドサッと倒れる音が聞こえた。
「瑠可?」
瑠可の声は聞こえなくなり、代わりに電話を掛けてきた男の声が喋り出した。
『すごいよね、あのNANA-tsukiの最終面接まで残るなんて。内定取れたら将来は安泰だね』
「瑠可はどうした?」
『え、ああ、瑠可は元気だよ。ちょっと会わない間に我儘になっちゃったのは君のせいかな?』
「は?」
『大丈夫、僕は瑠可のことを愛しているから、ちゃんと躾けて、オメガとしての生き方と幸せを教えてあげるから安心して』
「おい、何言ってーー」
『じゃあ切るよ、面接頑張って』
一方的に電話切られて、すぐ折り返し掛けたが呼び出し音がするのに通話に切り替わることはなかった。
俺は荷物を持って控室を飛び出す。
ちょうどそのタイミングで1組目が終わり、開いたドアからゾロゾロ出てきた。
その脇をすり抜けようとしたが、ドアの前にいた面接官に捕まってしまった。
「君!これから面接でしょ?どこに行くんだ」
「すみませんっ、急用が出来たので帰ります!」
そう言うが面接官は俺を離そうとしない。
「急用とは何ですか?…言えないのか?なら、ここを離れた時点で君は不採用だ。後悔するぞ!いいのかっ?」
「っ……構いません。今行かないで大事なモン守れない方が俺は後悔するっ」
怒鳴る面接官の腕を振り払って、俺は走った。
ドアの向こうで「かっこいいねぇ」と言った声はもちろん聞こえなかった。
ビルの前でタクシーが捕まらなかった俺はとりあえず走った。
途中、やっと捕まえたタクシーに乗って約束したカフェに向かうが、そこに瑠可はいなかった。
「おい、紫陽。瑠可を見なかったから?」
「瑠可?あー、最近楓くんが構ってるあの子?今日は来てないよ」
「俺、入り口でおじさんに連れていかれるとこ見たっすよ」
遼平に立ち去った方角だけ聞いて店を出る。
少し走ると微かに瑠可と篠崎の匂いがした。
立ち止まり、集中して匂いの元を辿る。
匂いは路地裏から流れてきた。
路地を抜けると人通りのないビルの裏通りに出た。
「助けて、かえ、で…」
消え入りそうな声が聞こえた。
「瑠可っ」
目の前にいる人影に向かって俺は叫んだ。
最終面接の開始は13時。
瑠可と篠崎の待ち合わせも13時。
30分前に面接会場のNANA-tsuki本社の控室に着いた。
メッセージを送るともう少しでカフェのある最寄駅に着くと返事が来た。
面接会場からカフェまでは歩いても1時間程度の距離だから、終わったらタクシー拾って向かおうと考えているのだが、今日の最終面接は集団と個別とあるため、終了時間が読めない。
俺が応募した部門は1000人以上の応募者から5人採用という狭き門だ。
最終面接は俺を含む30人。
他の部門の面接も併せて行うため、控室にはかなりの人数がいた。
今日の最終面接は、まず全体での集団面接で10人ずつ15~20分行い、その後、部門ごとに5~10分の個別の面接があると説明をされた。
集団面接の俺のターンは2組目だった。
13時まであと10分というところで、瑠可からカフェの前に着いたと連絡がきた。
メッセージには『面接頑張って』と追伸があり、緊張が解けた俺はクスリと笑った。
13時15分。
そろそろ1組目が終わる頃、瑠可から着信が来た。
嫌な予感がして控室の隅で電話に出る。
「もしもし、瑠可?」
『…ああ、君が如月楓くんだね。面接前だというのに電話に出るなんて余裕だね』
電話の相手は瑠可ではない男の声だった。
電話の奥で「篠崎さん、やめてっ!」と聞こえ、微かにドサッと倒れる音が聞こえた。
「瑠可?」
瑠可の声は聞こえなくなり、代わりに電話を掛けてきた男の声が喋り出した。
『すごいよね、あのNANA-tsukiの最終面接まで残るなんて。内定取れたら将来は安泰だね』
「瑠可はどうした?」
『え、ああ、瑠可は元気だよ。ちょっと会わない間に我儘になっちゃったのは君のせいかな?』
「は?」
『大丈夫、僕は瑠可のことを愛しているから、ちゃんと躾けて、オメガとしての生き方と幸せを教えてあげるから安心して』
「おい、何言ってーー」
『じゃあ切るよ、面接頑張って』
一方的に電話切られて、すぐ折り返し掛けたが呼び出し音がするのに通話に切り替わることはなかった。
俺は荷物を持って控室を飛び出す。
ちょうどそのタイミングで1組目が終わり、開いたドアからゾロゾロ出てきた。
その脇をすり抜けようとしたが、ドアの前にいた面接官に捕まってしまった。
「君!これから面接でしょ?どこに行くんだ」
「すみませんっ、急用が出来たので帰ります!」
そう言うが面接官は俺を離そうとしない。
「急用とは何ですか?…言えないのか?なら、ここを離れた時点で君は不採用だ。後悔するぞ!いいのかっ?」
「っ……構いません。今行かないで大事なモン守れない方が俺は後悔するっ」
怒鳴る面接官の腕を振り払って、俺は走った。
ドアの向こうで「かっこいいねぇ」と言った声はもちろん聞こえなかった。
ビルの前でタクシーが捕まらなかった俺はとりあえず走った。
途中、やっと捕まえたタクシーに乗って約束したカフェに向かうが、そこに瑠可はいなかった。
「おい、紫陽。瑠可を見なかったから?」
「瑠可?あー、最近楓くんが構ってるあの子?今日は来てないよ」
「俺、入り口でおじさんに連れていかれるとこ見たっすよ」
遼平に立ち去った方角だけ聞いて店を出る。
少し走ると微かに瑠可と篠崎の匂いがした。
立ち止まり、集中して匂いの元を辿る。
匂いは路地裏から流れてきた。
路地を抜けると人通りのないビルの裏通りに出た。
「助けて、かえ、で…」
消え入りそうな声が聞こえた。
「瑠可っ」
目の前にいる人影に向かって俺は叫んだ。
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