金の野獣と薔薇の番

むー

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後日談

お正月 ③

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「あーいたー!おーい」

気まずい空気を蹴り飛ばす声に振り返る。

「結季、やっほー」

蹴り飛ばした奴は。

「……アカリかよ」
「『アカリくん』でしょ!まあ、『アカリ様』でもいいけど」
「あ、アカリちゃんったら、もう……」

そこにいたのは従兄弟のアカリと婚約者のヒロさんだった。
アカリとは年に数回会う程度で、こんな風に気さくに話すが決して仲良しではない。
そしてアカリの番のヒロさんは、オレが小学生の時に会ったきりで、ほぼ初対面だ。
だけど、アカリに会う度にしつこく見せられた写真のおかげで久しぶりな感じはしない。
実物のヒロさんは、2年前までアカリより小さかったとは思えないくらい背が高かった。
髪と眼鏡でちょっと顔が隠れているけど、かなりのイケメンだ。

「んで、アカリとヒロさんはなんでここいんの?」
「初詣に決まってんでしょ~。年末にお母さん双子産んだし、貴美ちゃんもだいぶお腹大きいから、今年は2人で初詣なんだー」

そう言うとぎゅうっとヒロさんの腕に抱きついた。
きつく締められたのかヒロさんはちょっと痛そうな顔をしたけど、優しく笑った。

「あけましておめでとう。結季くん。あと……あれっ、その人って…?」
「あけましておめでとうございます。あ、こちらは先輩の望月さんです。先輩といっても学園の時のだから、もう大学生ですけど」
「望月?……あー!」

アカリ、五月蝿い。

「望月って、弥生グループの秘書の望月さんの息子さん?」
「はい。父をご存知ですか?」
「知ってるよ!一緒に仕事したし、ボク時々、手合わせしてもらってんだー」
「えっ、仕事?手合わせ?」

頭の中にクエスチョンマークが飛んだ。

「百合ちゃんがデザインしたウェディングドレスを弥生グループのホテルでの結婚式と披露宴用にレンタルを始めたんだ」
「そのプロモーションでボクたち、モデルやったんだよっ!」
「あーそう言えば…」

義父の職場の結婚相談所の受付の横にポスターあったな。
ドレスと化粧でかなり化けていたから、それがアカリだって気づかなかった。

「望月さんはお父さんによく似てますね」
「ありがとうございます。私のことは佳都と呼んでください」
「ケイトくん。喋り方までそっくりー」
「それと、同じ大学です」
「そうだったね。一緒にいる人とすごい騒がれていたのをよく見かけるよ」
「あなた方も、ですよね」

なんか、盛り上がっている?
望月先輩も楽しそうだ。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「あの、アカリさん。ヒロさん。私まだ仕事がありますので、如月くんをお願いしてよろしいですか」
「うん、いーよ」

オレを置いて望月先輩は行った。

「ここ来る前、3人組の酔っ払いに絡まれたから、安全な所まで送るよ」

ヒロさんはオレの方を向いて優しく言った。

「3人組?酔っ払い?」
「うん、絡んできてウザかったから蹴り飛ばしたよ」

笑顔で言うアカリの隣のヒロさんは苦笑いをした。
アカリはすぐ足が出るから、ヒロさんは大変だな。

「ヒロさん、よろしくお願いします」
「あ、うん」
「ちょっと結季、ボクにはぁ?」
「あーハイハイ。よろしく」

3人で社務所に向かった。


「そーいえば、さっき楓くんに会ったよー。楓くんの番の子に初めて会えた。もう、全然会わせてくれないんだもん」
「あははは…」

拗ねるアカリにヒロさんは苦笑していたけど、それは楓兄が絶対会わせたくなかっただけだと思う。

「で、どうだった、瑠可は?」
「うん、なかなか可愛い子だった。小悪魔的で、油断すると寝首かかれそう、な感じ?」

何でも蹴り飛ばす悪魔が何を言う。

「でも2人、すごく仲良さそうだった。楓さん、素敵な人を見つけたね」
「ヒロさん……」
「まっ、ボクの方が可愛いけどね!」

ヒロさんの言葉に感動していたのに、意味もなく張り合うアカリにため息が出た。
ヒロさんは『ごめんね』って顔をしたから頷いた。
でも、なんだかんだいっても、この2人も素敵なんだよな。

認めたくないけど。



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