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後日談
お正月 ②
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外は寒いからと、羽織りを着て境内に向かう。
オレたちは社務所だが、皇貴先輩たちは境内のあちこちで案内や清掃をしていると陽菜が言っていた。
が、なにせ人が多くて人混みに埋もれた先輩たちを見つけるのは骨が折れそうだ。
と、思っていたけど、不自然な人集りに近寄ったら1人目は意外に早く見つけた。
「あ、楓兄いた。……むぅ」
白衣の裾を掴まれたりベタベタ触られていて、それを見た瑠可のほっぺたが風船のように膨らんだ。
「あの、ちょっと……わっ、る、瑠可⁉︎」
「楓、浮気はしちゃダメだからね!」
女子の群れを掻き分け、瑠可は楓兄に抱きついた。
「浮気?…する訳ないだろ。あの時誓った言葉忘れたのか?」
「忘れてない。忘れてないけど……」
「なら、俺を信じろ。瑠可」
「うん。うん」
その甘い雰囲気に、群がっていた女子が波のように引いた。
付け入る隙のない2人に、女子どもは楓兄へのアプローチは諦めたようだ。
んで、中心にいる2人はオレの存在を忘れたようだ。
「楓兄、瑠可、オレ行くね」
「わっ、結季くん、ごめっ……」
「結季、瑠可はちゃんと送るから、お前は知らない人にフラフラついて行くなよ」
「そこまで子供じゃないからっ!」
楓兄には腹が立ったけど、瑠可が幸せそうだからいいか。
オレはその場を離れた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「すみませーん」
「はい?」
初詣客で多い境内を見て散策は諦めて社務所に戻ろうとしたところに声を掛けられた。
振り返ると大学生くらいの男が3人いた。
ちょっと顔が赤い?
「トイレどこですかー?」
「案内してくれない?」
「それよりバイト何時に終わるの?」
不躾に顔を寄せてきた男たちからは酒の匂いがした。
楓兄に「知らない人について行くな」と言われたそばからへんや奴らに絡まれるオレって…。
「トイレはあちらです。案内板もありますから、それに沿って行けば着きますよ」
後退りながら説明するが、手首を掴まれてそれ以上下がることができなくなった。
「じゃあ、一緒に行こ」
引き摺られるように両サイドから引っ張られた上、後ろからも押された。
瑠可がいる時じゃなくて良かったけど、面倒だな。
人数でも力でも勝てないから、隙を見て逃げ出さないと。
「どうかされましたか?」
人気が少なくなった所まで行くと声を掛けられた。
「あ……」
という間に、オレは3人の男から引き剥がされた。
オレを隠すように立つ人を見上げる。
「あっ?俺たち、その巫女さんにトイレに案内してもらってんの。返してくんない?」
「お断りします」
「あ゛?」
「せ、先輩」
あからさまに機嫌が悪くなった男たちに臆することなく立つ望月先輩はどこまでも冷静だった。
「お手洗いはすぐそこです。もう案内は必要ありませんね。私たちは仕事がありますのでこれで失礼します」
「ちょっと待てよーー」
パシーンっ
伸ばしてきた男の手を望月先輩の手が弾いた。
ただそれだけだったけど、男たちは怯んだ。
ここまで怯えさせている望月先輩の表情が気になったけど、先輩の背中に隠れているオレには見えなかった。
「クソッ」
そんな捨て台詞を吐いて男たちはトイレに向かわず去っていった。
「望月先輩、ありがとうございます」
「いえ、大丈夫ですか?」
手を取り怪我がないか確認してくれた望月先輩の顔は無表情だったけど、少しだけ眉が下がっていた。
「赤くなっていますね。もう少し早く駆けつけられていれば…」
「イヤイヤイヤ、ベストタイミングです。オレ逃げれなくて……、望月先輩が来てくれなかったらたぶんヤバかったです」
「そう、ですか。それなら良かったです」
「っっ!」
それは一瞬で、鳥肌が立った。
心臓がバクバク落ち着かない。
あの笑顔はヤバい!
「如月くん、顔が赤いですけど本当に大丈夫ですか?」
「あ……」
不意打ちにオレの顔は真っ赤になった。
どうやって誤魔化したら……。
「あーいたー!おーい」
そんな空気を蹴り飛ばす声が聞こえた。
____________________
公開予約の設定をしてしませんでした。
申し訳ありません。
次は0時の公開です。
(予約済み)
オレたちは社務所だが、皇貴先輩たちは境内のあちこちで案内や清掃をしていると陽菜が言っていた。
が、なにせ人が多くて人混みに埋もれた先輩たちを見つけるのは骨が折れそうだ。
と、思っていたけど、不自然な人集りに近寄ったら1人目は意外に早く見つけた。
「あ、楓兄いた。……むぅ」
白衣の裾を掴まれたりベタベタ触られていて、それを見た瑠可のほっぺたが風船のように膨らんだ。
「あの、ちょっと……わっ、る、瑠可⁉︎」
「楓、浮気はしちゃダメだからね!」
女子の群れを掻き分け、瑠可は楓兄に抱きついた。
「浮気?…する訳ないだろ。あの時誓った言葉忘れたのか?」
「忘れてない。忘れてないけど……」
「なら、俺を信じろ。瑠可」
「うん。うん」
その甘い雰囲気に、群がっていた女子が波のように引いた。
付け入る隙のない2人に、女子どもは楓兄へのアプローチは諦めたようだ。
んで、中心にいる2人はオレの存在を忘れたようだ。
「楓兄、瑠可、オレ行くね」
「わっ、結季くん、ごめっ……」
「結季、瑠可はちゃんと送るから、お前は知らない人にフラフラついて行くなよ」
「そこまで子供じゃないからっ!」
楓兄には腹が立ったけど、瑠可が幸せそうだからいいか。
オレはその場を離れた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「すみませーん」
「はい?」
初詣客で多い境内を見て散策は諦めて社務所に戻ろうとしたところに声を掛けられた。
振り返ると大学生くらいの男が3人いた。
ちょっと顔が赤い?
「トイレどこですかー?」
「案内してくれない?」
「それよりバイト何時に終わるの?」
不躾に顔を寄せてきた男たちからは酒の匂いがした。
楓兄に「知らない人について行くな」と言われたそばからへんや奴らに絡まれるオレって…。
「トイレはあちらです。案内板もありますから、それに沿って行けば着きますよ」
後退りながら説明するが、手首を掴まれてそれ以上下がることができなくなった。
「じゃあ、一緒に行こ」
引き摺られるように両サイドから引っ張られた上、後ろからも押された。
瑠可がいる時じゃなくて良かったけど、面倒だな。
人数でも力でも勝てないから、隙を見て逃げ出さないと。
「どうかされましたか?」
人気が少なくなった所まで行くと声を掛けられた。
「あ……」
という間に、オレは3人の男から引き剥がされた。
オレを隠すように立つ人を見上げる。
「あっ?俺たち、その巫女さんにトイレに案内してもらってんの。返してくんない?」
「お断りします」
「あ゛?」
「せ、先輩」
あからさまに機嫌が悪くなった男たちに臆することなく立つ望月先輩はどこまでも冷静だった。
「お手洗いはすぐそこです。もう案内は必要ありませんね。私たちは仕事がありますのでこれで失礼します」
「ちょっと待てよーー」
パシーンっ
伸ばしてきた男の手を望月先輩の手が弾いた。
ただそれだけだったけど、男たちは怯んだ。
ここまで怯えさせている望月先輩の表情が気になったけど、先輩の背中に隠れているオレには見えなかった。
「クソッ」
そんな捨て台詞を吐いて男たちはトイレに向かわず去っていった。
「望月先輩、ありがとうございます」
「いえ、大丈夫ですか?」
手を取り怪我がないか確認してくれた望月先輩の顔は無表情だったけど、少しだけ眉が下がっていた。
「赤くなっていますね。もう少し早く駆けつけられていれば…」
「イヤイヤイヤ、ベストタイミングです。オレ逃げれなくて……、望月先輩が来てくれなかったらたぶんヤバかったです」
「そう、ですか。それなら良かったです」
「っっ!」
それは一瞬で、鳥肌が立った。
心臓がバクバク落ち着かない。
あの笑顔はヤバい!
「如月くん、顔が赤いですけど本当に大丈夫ですか?」
「あ……」
不意打ちにオレの顔は真っ赤になった。
どうやって誤魔化したら……。
「あーいたー!おーい」
そんな空気を蹴り飛ばす声が聞こえた。
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