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至高のオメガと欠陥品のアルファ
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アカリちゃんは兎に角モテる。
男女問わず。
勉強もできる。
運動神経抜群。
おまけに喧嘩も強い。
文句なしの容姿で欠点なんてひとつも見当たらない。
ただ、僕以外には優しくない。
対して僕は兎に角ダメダメ。
勉強は平均。
アルファの中では下。
運動神経は残念。
そして喧嘩が弱い。
身長は伸び悩み、左眼には問題があって眼鏡が手放せない。
完璧なアカリちゃんの隣にいる僕は、周りからしたら"欠陥品"で目障りな存在。
僕の両親が日本トップクラスの会社の経営者だからぞんざいに扱われないけど、存在は空気だ。
アカリちゃんの両親の会社もトップクラスだから、玉砕覚悟で寄ってくる逆玉狙いのアルファは少なくない。
そのアルファたちの中の1人が一城先輩だけど、一城先輩の場合は玉砕しているとは思ってなさそうだ。
「ヒロ、卑屈になるなよ。もっと自信持て」
「マーサーキー」
「あんだけの外見は美人の側にいたら、まあ、しゃーないなー」
「トーマー」
僕を慰めて貶すのは、ただ2人の親友の葉月雅喜(ハヅキ マサキ)と水無月叶真(ミナヅキ トウマ)だ。
小学校から一緒で、僕とアカリちゃんの仲を理解して仲良くしてくれている。
ちなみに2人ともベータだけどマサキは頭脳、トーマは運動能力で優秀だ。
口癖は「将来、お前の会社で雇ってな(笑)」だ。
そんなこと言わなくても、こちらからお願いします。
「でもさ、俺らから見たお前は能力を蓋で塞がれてる感じなんだよな」
真面目に話すマサキの隣でうんうんと頷くトーマ。
「その蓋が取れたらもう少し背が伸びるかなぁ」
「まずそこかよ」
尽かさずトーマが突っ込む。
「まあ、しょうがないだろ。ヒロ、棗より小さいし」
「マーサーキー、抉らないでぇ」
「事実だから仕方がない」
マサキにキッパリ言い放たれて、机に突っ伏す。
「たっだいまー!あ、マサキ、またヒロいじめたでしょ!」
「イヤ、事実を伝えただけだ」
「そうそう」
机に突っ伏している僕の背中に抱きつきマサキに文句を言うアカリちゃん。
うーん、ちょっと重い。
なんだかんだで僕はもやしっ子だから、たぶんアカリちゃんより軽い。
そんなこと言ったらアカリちゃんに叱られそうだから言わないけど。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ。ヒロにはボクがいるから身長伸びなくても大好きだよー」
僕の頭に頬擦りするアカリちゃん。
「アカリちゃん、話聞いていたでしょ!」
「エヘヘ」
振り返る僕にペロっと舌を出すアカリちゃんの可愛さに僕を含め周囲が騒めく。
但し、マサキとトーマは除く。
「棗、また猛者に告白されたのか?」
「ホント、毎度毎度しつこいよね」
アカリちゃんは呼び出しには応じないから、大体廊下や登下校の時に告白される。
諦めきれずに定期的に告白してくる人たちがいて、トーマはそういう人たちを「猛者」と呼んでいる。
今回はトイレから出たところで突撃されたらしい。
ちなみにトイレは男女の他にオメガ専用がある。
基本、アカリちゃんはオメガ専用を使うが、僕が一緒だと男子トイレに行こうとする。
アカリちゃんは小・中学の時に格闘技習っていて、その辺の男子には負けないくらい強いから襲われても返り討ちにするのはわかっているけど、それでも心配だから絶対オメガ専用に行くようお願いしてる。
一応、僕もアカリちゃんと一緒に格闘技習っていた。
全然強くならなかったけど。
運動神経が残念すぎるのが原因なんだろうな。
これもマサキの言う「蓋」のせいならいいのに。
「今日も一城電気の御子息様から告白されたのか?」
ニヤニヤしながら聞いてくるマサキに、アカリちゃんはウゲッっとあからさまに嫌な顔をする。
「されてないけど「良い匂いだ」って近寄って匂い嗅がれた。ほんと、あの人くっさいから嫌なんだけど!」
「学校一モテモテの出来杉くんも棗には臭い男でしかないんだな」
オエッとするアカリちゃんの顔にトーマが大笑いする。
「おい、お前らウルセー」
教室の前の方から声がした。
クラスメイトのベータの男子だ。
「出来損ないの欠陥品アルファ様と淫乱オメガが教室の空気悪くしてるの分かんねーのかよ」
"欠陥品アルファ"
そんなの僕が一番よく分かってる。
そっと胸を押さえる僕を、キュッと優しく抱きしめるアカリちゃん。
「仮にボクが淫乱オメガだとしても、魅力のカケラもない君を誘惑することはないから安心していいよ」
アカリちゃんは僕には決して使うことのない低く冷たい言葉を放った。
「くっっ、なっーー」
「おい、お前らその辺で止めとけ。棗には頭も喧嘩も勝てないから」
一瞬怯みながらも言い返そうとする男子にトーマが制止する。
「棗も無駄に喧嘩売るなよな、めんどくせーから」
「あー悪い。トーマもごめん」
マサキの言葉にアカリちゃんは素直に謝った。
「でも、アイツらには謝んないもんねー」
べっと舌を出す。
アカリちゃんは強い。
それに比べて僕は…。
アカリちゃんは僕よりもちゃんとアカリちゃんを守ってくれるアルファの人と一緒にいた方が安全安心なんだと思う。
僕は、僕を包み込み好きだと言ってくれるこの手を素直に取ることができない。
僕だって大好きなのに。
__________________
実はヘタレボーイ好きだったりします(笑)
次回は6時更新予定です。
男女問わず。
勉強もできる。
運動神経抜群。
おまけに喧嘩も強い。
文句なしの容姿で欠点なんてひとつも見当たらない。
ただ、僕以外には優しくない。
対して僕は兎に角ダメダメ。
勉強は平均。
アルファの中では下。
運動神経は残念。
そして喧嘩が弱い。
身長は伸び悩み、左眼には問題があって眼鏡が手放せない。
完璧なアカリちゃんの隣にいる僕は、周りからしたら"欠陥品"で目障りな存在。
僕の両親が日本トップクラスの会社の経営者だからぞんざいに扱われないけど、存在は空気だ。
アカリちゃんの両親の会社もトップクラスだから、玉砕覚悟で寄ってくる逆玉狙いのアルファは少なくない。
そのアルファたちの中の1人が一城先輩だけど、一城先輩の場合は玉砕しているとは思ってなさそうだ。
「ヒロ、卑屈になるなよ。もっと自信持て」
「マーサーキー」
「あんだけの外見は美人の側にいたら、まあ、しゃーないなー」
「トーマー」
僕を慰めて貶すのは、ただ2人の親友の葉月雅喜(ハヅキ マサキ)と水無月叶真(ミナヅキ トウマ)だ。
小学校から一緒で、僕とアカリちゃんの仲を理解して仲良くしてくれている。
ちなみに2人ともベータだけどマサキは頭脳、トーマは運動能力で優秀だ。
口癖は「将来、お前の会社で雇ってな(笑)」だ。
そんなこと言わなくても、こちらからお願いします。
「でもさ、俺らから見たお前は能力を蓋で塞がれてる感じなんだよな」
真面目に話すマサキの隣でうんうんと頷くトーマ。
「その蓋が取れたらもう少し背が伸びるかなぁ」
「まずそこかよ」
尽かさずトーマが突っ込む。
「まあ、しょうがないだろ。ヒロ、棗より小さいし」
「マーサーキー、抉らないでぇ」
「事実だから仕方がない」
マサキにキッパリ言い放たれて、机に突っ伏す。
「たっだいまー!あ、マサキ、またヒロいじめたでしょ!」
「イヤ、事実を伝えただけだ」
「そうそう」
机に突っ伏している僕の背中に抱きつきマサキに文句を言うアカリちゃん。
うーん、ちょっと重い。
なんだかんだで僕はもやしっ子だから、たぶんアカリちゃんより軽い。
そんなこと言ったらアカリちゃんに叱られそうだから言わないけど。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ。ヒロにはボクがいるから身長伸びなくても大好きだよー」
僕の頭に頬擦りするアカリちゃん。
「アカリちゃん、話聞いていたでしょ!」
「エヘヘ」
振り返る僕にペロっと舌を出すアカリちゃんの可愛さに僕を含め周囲が騒めく。
但し、マサキとトーマは除く。
「棗、また猛者に告白されたのか?」
「ホント、毎度毎度しつこいよね」
アカリちゃんは呼び出しには応じないから、大体廊下や登下校の時に告白される。
諦めきれずに定期的に告白してくる人たちがいて、トーマはそういう人たちを「猛者」と呼んでいる。
今回はトイレから出たところで突撃されたらしい。
ちなみにトイレは男女の他にオメガ専用がある。
基本、アカリちゃんはオメガ専用を使うが、僕が一緒だと男子トイレに行こうとする。
アカリちゃんは小・中学の時に格闘技習っていて、その辺の男子には負けないくらい強いから襲われても返り討ちにするのはわかっているけど、それでも心配だから絶対オメガ専用に行くようお願いしてる。
一応、僕もアカリちゃんと一緒に格闘技習っていた。
全然強くならなかったけど。
運動神経が残念すぎるのが原因なんだろうな。
これもマサキの言う「蓋」のせいならいいのに。
「今日も一城電気の御子息様から告白されたのか?」
ニヤニヤしながら聞いてくるマサキに、アカリちゃんはウゲッっとあからさまに嫌な顔をする。
「されてないけど「良い匂いだ」って近寄って匂い嗅がれた。ほんと、あの人くっさいから嫌なんだけど!」
「学校一モテモテの出来杉くんも棗には臭い男でしかないんだな」
オエッとするアカリちゃんの顔にトーマが大笑いする。
「おい、お前らウルセー」
教室の前の方から声がした。
クラスメイトのベータの男子だ。
「出来損ないの欠陥品アルファ様と淫乱オメガが教室の空気悪くしてるの分かんねーのかよ」
"欠陥品アルファ"
そんなの僕が一番よく分かってる。
そっと胸を押さえる僕を、キュッと優しく抱きしめるアカリちゃん。
「仮にボクが淫乱オメガだとしても、魅力のカケラもない君を誘惑することはないから安心していいよ」
アカリちゃんは僕には決して使うことのない低く冷たい言葉を放った。
「くっっ、なっーー」
「おい、お前らその辺で止めとけ。棗には頭も喧嘩も勝てないから」
一瞬怯みながらも言い返そうとする男子にトーマが制止する。
「棗も無駄に喧嘩売るなよな、めんどくせーから」
「あー悪い。トーマもごめん」
マサキの言葉にアカリちゃんは素直に謝った。
「でも、アイツらには謝んないもんねー」
べっと舌を出す。
アカリちゃんは強い。
それに比べて僕は…。
アカリちゃんは僕よりもちゃんとアカリちゃんを守ってくれるアルファの人と一緒にいた方が安全安心なんだと思う。
僕は、僕を包み込み好きだと言ってくれるこの手を素直に取ることができない。
僕だって大好きなのに。
__________________
実はヘタレボーイ好きだったりします(笑)
次回は6時更新予定です。
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