至高のオメガとガラスの靴

むー

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僕とアカリちゃんの許嫁までのアレコレ

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僕はアカリちゃんが生まれた3か月後に生まれた。

アカリちゃんは8月生まれで、僕は11月生まれ。

お母さん達が言うには、僕たちはずっと一緒だった。
いつも手を繋いでいた。
起きている時も寝ている時も。

1歳を過ぎようやく歯が生え始めた僕は、アカリちゃんの項を噛んでしまったそうだ。
もちろん、僕もアカリちゃんもその時のことは覚えていない。
でも、噛み跡を見たお母さんたちは「ギャー流血!」と狼狽えながら手当てをして、数日後、瘡蓋となったその噛み跡を見て「きゃー番よー!」と盛り上がったそうだ。
その噛み跡は消えず、アカリちゃんは保育園に通う頃からネックプロテクターを着けるようになった。

僕がアカリちゃんの項の痕について知ったのは6歳の時。
保育園がお休みで一緒にお昼寝してた時だった。

クシュンとくしゃみの音で僕は目を覚ました。
音がした横を見ると、僕たちの上に掛けてあった毛布からアカリちゃんがはみ出していた。
プルプル震えているのに目覚めないアカリちゃんの傍に寄って布団を掛け一緒に潜った。
アカリちゃんは僕の熱を奪うように胸元をグリグリしたかと思ったらスンスンと匂いを嗅いで「んふふふふー」とニヤニヤしながら寝返りを打った。
その時にそれを見つけた。
傷ひとつないと思っていたアカリちゃんの身体。それも項に刻まれた三つの痕が気になって、アカリちゃんを起こさないように別室にいたお母さんたちの所に行って、それが僕つけた痕だと教えてもらった。

ショックのあまり僕は少しの間呆然とした。
「ヒーロー」と僕を呼ぶアカリちゃんの声に走って部屋に戻り、「ごめんね、ごめんね」と泣きながら謝った。
不思議そうに首を傾げているアカリちゃんに、さっきお母さん達から聞いた話をしたら「なーんだ、そんなことかー」とカラカラと笑った。

「だって、アカリちゃんに怪我させたんだよ!い、痛いことしたんだよ!あっ、痕も残っちゃったし、それで保育園にネックプロテクター付けて行かなきゃいけないし…」
「だって、ボク覚えてないもん。その時は痛かったかもしれないけど、今は全然痛くないし気にもしてないよ」
「でもーー」

それでも謝ろうとする僕をアカリちゃんはギュッと抱きしめて、体を少し離し目を合わせる。

「ヒロがどう思っていてもボクはヒロが付けた痕が体にあることが嬉しいんだ。プロテクターはボクだけの宝物を誰にも見せたくないから着けてるんだよ」
「アカリちゃん…」
「ヒロ泣きすぎ」

アカリちゃんにしがみ付いてわんわん泣く僕の背中を、アカリちゃんはずっとポンポンしてくれた。

「アカリちゃん」
「なーに?」
「僕の項を噛んで!」
「んっ?」

泣きすぎてパンパンに腫れた目蓋をした僕の言葉に、「イミガワカラナイ」と言わんばかりに目をまん丸にして僕を見つめる。

「僕にもアカリちゃんの痕を付けて!」

僕の言いたいことに気づいたアカリちゃんは、まん丸お目目を更におっきくした。

「いいの?」
「うん!」
「痛いよ、絶対」
「ーーう、うん」
「本当に?」
「僕はアカリちゃんと一緒がいいんだ!」

しつこく聞いてくるアカリちゃんに僕は叫んだ。

「うん、分かった」

そう言ったアカリちゃんの瞳はキラキラしていた。


そして、アカリちゃんに項を思いっきり噛まれた。

「イッターい!」と叫んだ僕の声にお母さんたちが慌てて部屋に来て、血塗れの僕たちを見て驚き、その後、思いっきり叱られた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

小学校に上がり、身体検査での二次性検査で僕はアルファ、アカリちゃんはオメガと診断された。
その結果を持って、僕とアカリちゃんは許嫁となった。

「番になったら婚約して結婚だよ」

アカリちゃんはキラキラ輝く笑顔で僕にそう言った。
僕は「うん」と頷いた。

ただ、当時の僕はその意味を全然分かっていなかった。

__________________

ちょくちょく軽微な修正入れると思いますが、内容は特に変わっていません。

次回は0時更新予定です。
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