至高のオメガとガラスの靴

むー

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期末試験とマラソン大会

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7月は僕にとって憂鬱な季節だ。
温暖化のせいで暑いのは勿論だけど。

「来週は期末試験で、終わったらマラソン大会だからしっかり勉強してしっかり走れよー。休んだら後日一人で走らせるからなー」

7月始めのHRで担任から発せられた言葉に今年も僕は絶望した。
前の席から僕を振り返り肩をポンと優しく叩いて「どんまい」と励ますのはマサキだ。
隣の席から頭をポンポン撫で撫でして「がんばろーねー」と言うのはアカリちゃんだ。
「去年もやったベー。俺勉強ヤベーから一緒に頑張ろうなー」と斜め前、アカリちゃんの前から声を掛けるのはトーマだ。

「後ろ煩い。あ、試験、赤点取ったら補習と追試だこらなー。若人よ、しっかり励めー」

手をヒラヒラさせて担任は出て行った。

「嗚呼、絶望だぁ…」
「テストは来週の火水木だから、まだ時間はあるな。とりあえず今回も土日で勉強会するか」
「飯と菓子が出て涼しいとこで出来るならやる」
「じゃあ、ヒロのお家でやろー」
「「いーねー!」」
「嗚呼…」

絶望だ…。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

特訓その1

ここはアカリちゃん家のトレーニングルームだ。
ここにはありとあらゆる運動器具が揃っているので、僕も両親も時々利用させてもらってる。

「ヒロ頑張ってー」
「む、むりぃ…あっっ」

ビターンと派手に転ぶ。

ルームランナーのベルトに流されフローリングに転がる。

「ヒロ大丈夫?」

隣で並んで走っていたアカリちゃんがぴょんとルームランナーから降りて僕を覗き込む。
もう何度目だろこれ。

僕は運動がちょっと…いや、すごく苦手だ。
走ると決まって足が縺れて転んでしまう。
毎回だから、何かの病気じゃないかと疑って検査を受けたけど、オールAの満点の健康体だった。

ゼイゼイと息を切らしてなんとか起き上がる。
その間にアカリちゃんは救急箱からスプレータイプの消毒液を取り出す。

「ちょっと染みるけど我慢してねー」
「いっ、痛ぃ…」
「我慢我慢。あとはばんそーこー貼ったら終わりだからねー」

手際良く傷口を消毒して絆創膏を貼る。

「ハイおしまい」
「あ、ありがと」

このやり取りも今日だけで何回目だろう?

僕の体は絆創膏だらけだ。

「ヒロ、もうちょっとだけ頑張ろう」
「うん」

アカリちゃんに励まされたら頑張れちゃう僕って現金だな…。
そして、この日はあと3回転んだ。

そして、このやり取りはマラソン大会の前日まで約1週間続いた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

特訓その2

ここは僕の家の図書室だ。
本好きのお父さんが集めすぎたありとあらゆる本がたくさん保管されている。
勉強にはもってこいの部屋だ。

「トーマ、菓子食い過ぎ。頭と手を動かせ」
「手は動かしてんじゃん」
「屁理屈いうな。お前が動かしてるのは菓子を食う手だ。ほら、ここテストに出るから解いてみろ」
「へーへー」

「ヒロ、惜しい。でも、ちゃんと公式使えているから焦んないでやれば大丈夫だよ」
「うん、ありがと、アカリちゃん」

勉強会はマサキはトーマ、アカリちゃんは僕に付きっきりで勉強をする。
毎度の光景だ。

アカリちゃんとマサキのヤマはよく当たるから、テスト前はいつもここでトーマと僕の「赤点回避大作戦」が開催される。

「ヒロー、今日のお昼は何?」
「あ、昨日あんまり時間なくてカレーになっちゃったけど大丈夫?」
「マジ!大好き、大好き!」
「ボク、サラダのレタス千切ったよー」
「それ、5歳児でも出来る」

マサキの容赦ない言葉にアカリちゃんは舌打ちをした。


僕の唯一の特技は家事だ。
逆に、アカリちゃんの唯一の不得手なものだ。

小学生の時、僕は通いの家政婦さんのお手伝いをしながら教わった。
家政婦さんは家事全般を教えてくれ、メキメキ上達した。
特に料理は、教えてくれた家政婦さんが感動するほど上達した。
だから、勉強会の時は僕がご飯を作っている。
みんなが「美味しい」って言ってたくさん食べてくれるから、すっごく嬉しい。

「よし、ご飯のためにもうちょっと頑張ろー」
「「「「おー!」」」」

そんな毎度恒例の1泊2日の勉強会のおかげで、テストは赤点回避は勿論、僕にしては凄く良い点を取れた。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


テストを頑張った翌日。
マラソン大会当日を迎えた。

__________________

ヒロの家は図書室、アカリの家はトレーニングルームと百合ちゃんの作業部屋が家の半分を占めている設定です。
あと、共働きなので家政婦さん雇ってまました。
うちにも家政婦さん欲しいです。

次回は18時更新予定です。
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