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番外編/後日談
後日談:アカリの回想
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たぶん、初めて会ったあの日あの時からボクの運命は決まっていた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
ボクとヒロが初めて会ったのはヒロが生まれて3日後だったとお母さんが言った。
男の子を出産した親友の貴美ちゃんに会うため、お母さんはボクを連れて病院に行った。
その時ボクは生後3ヶ月で首が座ったばかりのそれはそれは可愛い赤ちゃんだった。
個室にいたボクよりちょっと小さい赤ちゃんはその時初めて目を開いた。
まだ見えていないはずの目でボクのことをジッと見つめていて、ボクも見つめ返していたらしい。
それから、家が隣同士のボクたちはいつも一緒にいた。
撮られた写真の9割は2人で写っていて、そのほとんどが手を握っていた。
そしてお互い1歳を過ぎたある日、ボクはヒロに項を噛まれた。
当時、痛くて大泣きしたらしいけど、物心ついた頃には痛みの記憶なんて残ってなく、薄ら残っている記憶はずっと項が熱かったことくらい。
4歳で保育園に入園。
その時、項のことをお母さんから教えてもらった。
ボクはヒロが付けた大切な証を他の子に見せたくなくて、保育園にはネックプロテクターを着けて通った。
ちょうどその頃から、ヒロは眼鏡を掛け始めた。
保育園でもいつもヒロと一緒にいた。
遊ぶ時、ご飯を食べる時、おやつの時、お昼寝の時、トイレに行く時もずっと一緒だった。
ヒロのそばがボクにとっての一番安心できる居場所だった。
6歳のある休日。お昼寝から目覚めるとヒロが居なくて大きな声で名を呼ぶとバタバタと駆けつけてきてくれた。
その目からは沢山の涙が溢れていた。
ボクが寝ている間に項のことをお母さんたちから聞いたヒロは「ごめん、ごめんね」と泣きじゃくった。
ボクは大切な痕だから気にしないでって言っても納得してくれなくて、終いには「僕の項を噛んで」と言ってきた。
ヒロの身体に傷をつけたくなかったけど、「アカリちゃんと一緒がいい」の言葉がすっごく嬉しくて思いっきり噛んじゃった。
めちゃくちゃ血が出で、後でお母さんにめちゃくちゃ叱られた。
ヒロの項には僕の噛み跡が薄ら残っている。あんなに強く噛んだのにクッキリとは残らなかった。
小学校入学直後の身体測定での二次性検査で、ヒロはアルファ、ボクはオメガと判定された。
そして、ボクとヒロは許嫁になり、その日からボクは将来ヒロの番になることを夢見た。
8歳のある日、ヒロとの下校中にボクたちは誘拐された。
男たちにボクはオメガだから高く売って、ヒロはオメガじゃないから身代金貰ったら殺すと言った。
ネックプロテクターを弄られて泣くボクを助けようとしたヒロは、ヒロを掴んでいた男に殴られた。
その時、ボスらしき男にヒロの目のことを知られてヒロを貰うと言った。
その後、ボクたちはなんとか助けられたけど、8年間生きていた中で一番怖い出来事で、ヒロにとってはトラウマになった出来事となった。
それからボクたちは自分とお互いを守るため、格闘技を習った。
ボクはメキメキと強くなったけど、ヒロは変わらなかった。
格闘技はボクが初めて発情期を迎える時まで習った。
14歳の8月の後半、初めての発情期を迎えた。
風邪を引いたように身体がポカポカして怠くて下半身はちょっとムズムズするかなってくらいだったから全然分からなかったけど、鼻が利くお母さんにはすぐ分かった。
はじめての発情期は1日で落ち着いた。
3ヶ月後にまた来たけど、同じ感じだった。
でも、その後の発情期からは、風邪みたいな症状と下半身のムズムズが少しずつ酷くなっていった。
ムズムズを解消するために、人には言えない厭らしくて恥ずかしいことをコッソリやった。
また、発情期を迎えてからボクはフェロモンが出るようになった。
ヒロはずっとお花のいい匂いって言ってたけど、他の人からは甘い匂いだと言われた。
そして、フェロモンが出始めた頃から、ボクの鼻が効くようになってフェロモンの匂いにも敏感になった。
ヒロからするいい匂いも嗅ぎ取れるようになった。ヒロからもお花のいい匂いがするのに、他の人には分からないって言われた。
ボクだけが分かるヒロの匂いだと思ったら嬉しくて、毎朝ヒロの匂いを嗅ぐようになった。
それはエスカレートして、ヒロが止めないことをいいことに、結果、ヒロの左目蓋にキスしてボクの匂いを嗅いでもらう様になった。
ボクの身体がオメガらしくなっていくと、発情期は更に酷くなった。
1日が2日に、2日が3日に、3日が4日にと長引くようになって、その間はヒロに会うことが出来なくてすごく寂しかった。
ヒロに会えるとすごく嬉しいのにすごく不安になった。
気づいたら、ヒロの項を見て安心するようになった。
それが儀式のようになって、項と左目蓋にキスするようになった。
そして、早くヒロの番になりたいと強く願うようになった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
やっと番になった。
番になったら、発情期の疼きは驚くほど軽くなった。
ちゃんと番になったことでボクのフェロモンが安定したのだとお母さんが教えてくれた
でも、発情期は発情期。
だから、顔を真っ赤にして恥ずかしがるヒロとイチャイチャした。
スイッチが入ると積極的なんだけどなぁ。
でも、そんなヘタレなとこも大好き。
心身共にヒロと結ばれたボクはもう無敵だ。
就職したら結婚して、たくさん子供産むんだ。
そこには、マサキとトーマもいて、みんなで子育てするの。
そんな未来を想うだけで幸せだ。
大好きだよ、ヒロ。
__________________
本編で『アカリのきもち』を書いていたら、アカリが可愛くてたまらなくって、この話を書きました。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
ボクとヒロが初めて会ったのはヒロが生まれて3日後だったとお母さんが言った。
男の子を出産した親友の貴美ちゃんに会うため、お母さんはボクを連れて病院に行った。
その時ボクは生後3ヶ月で首が座ったばかりのそれはそれは可愛い赤ちゃんだった。
個室にいたボクよりちょっと小さい赤ちゃんはその時初めて目を開いた。
まだ見えていないはずの目でボクのことをジッと見つめていて、ボクも見つめ返していたらしい。
それから、家が隣同士のボクたちはいつも一緒にいた。
撮られた写真の9割は2人で写っていて、そのほとんどが手を握っていた。
そしてお互い1歳を過ぎたある日、ボクはヒロに項を噛まれた。
当時、痛くて大泣きしたらしいけど、物心ついた頃には痛みの記憶なんて残ってなく、薄ら残っている記憶はずっと項が熱かったことくらい。
4歳で保育園に入園。
その時、項のことをお母さんから教えてもらった。
ボクはヒロが付けた大切な証を他の子に見せたくなくて、保育園にはネックプロテクターを着けて通った。
ちょうどその頃から、ヒロは眼鏡を掛け始めた。
保育園でもいつもヒロと一緒にいた。
遊ぶ時、ご飯を食べる時、おやつの時、お昼寝の時、トイレに行く時もずっと一緒だった。
ヒロのそばがボクにとっての一番安心できる居場所だった。
6歳のある休日。お昼寝から目覚めるとヒロが居なくて大きな声で名を呼ぶとバタバタと駆けつけてきてくれた。
その目からは沢山の涙が溢れていた。
ボクが寝ている間に項のことをお母さんたちから聞いたヒロは「ごめん、ごめんね」と泣きじゃくった。
ボクは大切な痕だから気にしないでって言っても納得してくれなくて、終いには「僕の項を噛んで」と言ってきた。
ヒロの身体に傷をつけたくなかったけど、「アカリちゃんと一緒がいい」の言葉がすっごく嬉しくて思いっきり噛んじゃった。
めちゃくちゃ血が出で、後でお母さんにめちゃくちゃ叱られた。
ヒロの項には僕の噛み跡が薄ら残っている。あんなに強く噛んだのにクッキリとは残らなかった。
小学校入学直後の身体測定での二次性検査で、ヒロはアルファ、ボクはオメガと判定された。
そして、ボクとヒロは許嫁になり、その日からボクは将来ヒロの番になることを夢見た。
8歳のある日、ヒロとの下校中にボクたちは誘拐された。
男たちにボクはオメガだから高く売って、ヒロはオメガじゃないから身代金貰ったら殺すと言った。
ネックプロテクターを弄られて泣くボクを助けようとしたヒロは、ヒロを掴んでいた男に殴られた。
その時、ボスらしき男にヒロの目のことを知られてヒロを貰うと言った。
その後、ボクたちはなんとか助けられたけど、8年間生きていた中で一番怖い出来事で、ヒロにとってはトラウマになった出来事となった。
それからボクたちは自分とお互いを守るため、格闘技を習った。
ボクはメキメキと強くなったけど、ヒロは変わらなかった。
格闘技はボクが初めて発情期を迎える時まで習った。
14歳の8月の後半、初めての発情期を迎えた。
風邪を引いたように身体がポカポカして怠くて下半身はちょっとムズムズするかなってくらいだったから全然分からなかったけど、鼻が利くお母さんにはすぐ分かった。
はじめての発情期は1日で落ち着いた。
3ヶ月後にまた来たけど、同じ感じだった。
でも、その後の発情期からは、風邪みたいな症状と下半身のムズムズが少しずつ酷くなっていった。
ムズムズを解消するために、人には言えない厭らしくて恥ずかしいことをコッソリやった。
また、発情期を迎えてからボクはフェロモンが出るようになった。
ヒロはずっとお花のいい匂いって言ってたけど、他の人からは甘い匂いだと言われた。
そして、フェロモンが出始めた頃から、ボクの鼻が効くようになってフェロモンの匂いにも敏感になった。
ヒロからするいい匂いも嗅ぎ取れるようになった。ヒロからもお花のいい匂いがするのに、他の人には分からないって言われた。
ボクだけが分かるヒロの匂いだと思ったら嬉しくて、毎朝ヒロの匂いを嗅ぐようになった。
それはエスカレートして、ヒロが止めないことをいいことに、結果、ヒロの左目蓋にキスしてボクの匂いを嗅いでもらう様になった。
ボクの身体がオメガらしくなっていくと、発情期は更に酷くなった。
1日が2日に、2日が3日に、3日が4日にと長引くようになって、その間はヒロに会うことが出来なくてすごく寂しかった。
ヒロに会えるとすごく嬉しいのにすごく不安になった。
気づいたら、ヒロの項を見て安心するようになった。
それが儀式のようになって、項と左目蓋にキスするようになった。
そして、早くヒロの番になりたいと強く願うようになった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
やっと番になった。
番になったら、発情期の疼きは驚くほど軽くなった。
ちゃんと番になったことでボクのフェロモンが安定したのだとお母さんが教えてくれた
でも、発情期は発情期。
だから、顔を真っ赤にして恥ずかしがるヒロとイチャイチャした。
スイッチが入ると積極的なんだけどなぁ。
でも、そんなヘタレなとこも大好き。
心身共にヒロと結ばれたボクはもう無敵だ。
就職したら結婚して、たくさん子供産むんだ。
そこには、マサキとトーマもいて、みんなで子育てするの。
そんな未来を想うだけで幸せだ。
大好きだよ、ヒロ。
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本編で『アカリのきもち』を書いていたら、アカリが可愛くてたまらなくって、この話を書きました。
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