至高のオメガとガラスの靴

むー

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拒絶

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アカリちゃんはオメガ専用の病院に入院した。

高い塀に囲まれたこの病院は、セキュリティーが厳しいことで有名だ。
出入口には訓練を受けた警備員が24時間体制で常駐している。
医療従事者はオメガが3割、ベータが6割、番のいるアルファが1割。
入院患者への面会は予約制で、写真付きの許可証を保持している者のみ。
許可証は審査が通らないと配布されず、たとえ番のアルファであっても審査が通らなければ許可証を貰えず面会ができない。
だから、許可証を持たない僕はアカリちゃんのお見舞いに行けない。


あの日から3週間。
毎日のように顔を合わせていたアカリちゃんの両親は、ずっと家を空けていて会えていない。
僕の両親はアカリちゃんの両親と連絡をとっているらしいけど、アカリちゃんが退院したかどうか、どんな状況かは教えてもらえなかった。
メッセージアプリからアカリちゃんへ送ったメッセージは、今も既読になっていない。

ただ時間だけが過ぎていった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

今日は期末テストの最終日だった。
点数が悪いと、アカリちゃんに叱られるから勉強を頑張った。
なんとか解答欄を全て埋めて、結果も今までで一番よくできていた。
きっと、アカリちゃんも褒めてくれる。


クリスマスが迫った金曜日は終業式で、明日から冬休みだ。

アカリちゃんに会えなくなって1カ月以上経っていた。


クリスマス。
はじめて家族だけでパーティーをした。
忙しく働いている両親もこの日だけは早く帰ってきてくれた。
12月に入って突然トレーニングを始めたお父さんは、顔の輪郭が少しシャープになっていた。

マサキとトーマに付き合ってもらって買ったプレゼントはアカリちゃんに渡すことができなかった。


年越しも、お正月も、家族だけで迎えた。


年を越しても隣の家には灯りがつくとこはなかった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎


1月3日。
することもなくリビングのソファーでぼーっとテレビの映像を眺める。
お正月はいつもアカリちゃんと初詣に行ったり対戦ゲームをしたりして一緒に過ごしていたから、何をしていいか分からない。
マサキとトーマから初詣に誘われたけど断った。

「ヒーロ、お昼何食べたい?」
「なんでもいい…」

声を掛けてくるお母さんの言葉も右から左に通り過ぎていく。
朝ご飯の後からずっとこの状態だからお腹なんて空いてないけど、出されたらたぶん食べれると思う。

「んーもう……あらっ」

その声にノロリと振り返る。
窓の外、ウチと隣の家の敷地の真ん中にある門が開き見覚えのある車が侵入してきた。
ソファーから飛び降り、窓に駆け寄ってその車の動きを目で追った。
そして、車が隣の家の前で止まったことを確認すると玄関に走った。


「ヒロ、あけましておめでとう」

後部座席のドアに手をかけた蒼さんは、穏やかな表情で僕に声を掛けてくれた。
そして、蒼さんに支えられて後部座席から降りてきたのは、予想通りアカリちゃんだった。

「……アカリちゃん」

僕の声にビクリと肩を跳ね固まる。

「アカリ」

蒼さんが優しく声を掛け背中をポンポンの叩く。
深呼吸をしてゆっくり振り返ったアカリちゃんの姿に言葉を失った。
元々細っそりした身体は、痩せて更に細くなっていた。

『ヒロ』

口は動いたけど音にはならなかった。
蒼さんにピッタリと張り付いて動かないアカリちゃんにゆっくり近寄る。
話したいことが沢山あったハズなのに、何も出でこない。
でも、ずっと会いたかったアカリちゃんだ。

「アカリちゃーー」
「ーーやっっ」

パシッーー

僕の伸ばした手はアカリちゃんの手によって弾かれた。
弾かれた手はジンジンしてるみたいなのに、僕は何も感じなかった。

「あ…あ…」
「アカリ、風邪を引くから家に入ろう……ヒロ、ごめんね」

蒼さんに肩を抱かれたアカリちゃんは、玄関のドアを開けて待っていた百合ちゃんと共に中に入っていった。
僕はその姿を目で追うことしかできなかった。

どのぐらいの時間そうしていたのだろう。
僕は背後からストールを掛けられ肩を抱かれた。

「ヒロ、風邪をひくわ」

背中から伝わる暖かさに、自分の身体が冷え切っていたことを教えてくれた。
そのまま、お母さんに手を引かれて家に入った。

数時間後、トランクにスーツケースを積み込んだ車が3人を乗せ門から出て行った。
僕はリビングの窓からその光景をずっと見つめていた。

__________________

前半の話が上手くまとめられませんでした。
落ち着いたら直そうと思います。

ちなみに、ヒロとアカリのお家は別々ですが、家と家を隔てる塀はありません。
その代わり、2棟を囲むように塀が建てられて、その中央に門があります。

何となくお気づきの方もいると思いますが、今更の補足情報です。
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