46 / 53
番外編/後日談
番外編:20年くらい前のお見合いの話 side透
しおりを挟む
透と百合のお見合いの話。
透目線になります。
__________________
そこは"修羅場"というより、"阿修羅"が現れた現場だった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
俺はこの非常に居心地の悪い場所からすぐにでも脱出したかった。
だが、両親に傍を固められていて、目の前にいる3人は三者三様の表情をしている。
右の父親は口角引き攣らせながら笑っていて、左の母親は笑顔だが刺すような視線を夫に投げている。
そして、真ん中の女は……。
なんか、目がキラキラしてる…。
好意というより好奇。
くっ、蒼は何やってんだよ。
扉の向こうに居るのはわかっているんだから、さっさと乱入してこいよ。
と、一切顔に出さず考えている俺の状況は最悪だ。
先日、父から突然「週末、お見合いだから」と言われた。
オメガの名家と言われている如月家の関係者(たぶん、目の前のこの人だ)と知り合い、意気投合してその場で縁談話が決まったらしい。
しかも、避暑地とはいえ、態々こんな山の上のホテルでセッティングするのは、絶対、俺を逃さないためだろう。
扉の向こうに居る棗蒼は俺が大学2年の時に知り合った。
俺の秘密を知る唯一の親友だ。
蒼は、俺が一年大学を休学してアメリカに行っている間に大学に入学した。
といっても、年齢は蒼が2つ上だ。
蒼には両親がいない。
子供の頃に事故で他界したそうだ。
両親共に親戚がいなかった蒼は、高校を卒業まで施設で育った。
その後、施設を出て一人暮らしを始めた蒼は、バイトを掛け持ちして稼いだ給料の三分の一を施設に入れていたそうだ。
そんな生活を一年もした頃に、たまたま貰った一枚の宝くじが前後賞の大当たりをした。
その賞金を全額施設に寄付しようとしたところ、母親代わりだった園長が「自分のために使いなさい。大学に行きなさい」と勧められ、一年間、学業に専念して二十歳の時に大学に入った。
去年、蒼が2年生に上がり、アメリカから戻った俺も2年生のやり直しで受けた講義でたまたま席が隣同士になり、何となく話をしたら気が合い、今の関係となった。
蒼は頭も要領も良く、割とアウトドアな奴だ。
対して俺はインドアで籠って研究するのが好きだ。
しかも、研究できるのなら何でもいい雑食だ。
真逆とも思われる2人なのに、お互い退屈することもなく一緒にいる。
いつか、蒼には俺の代わりに七月の会社のトップに立ってもらい、俺はひたすら研究に没頭しようと目論んでいる。
そんな蒼に、この見合いに乱入してぶち壊して欲しいと頼んだ。
最初は渋っていたが、俺を連れて出て行くだけで良いといったら渋々了解してくれた。
なのに、一向に扉を開ける気配がない。
大学卒業したら、やっぱりアメリカに行こう。
向こうで世話になった研究所で20年くらいいよう。
あ、蒼も一緒に連れて行こうかな。
あいつの能力なら向こうでいい仕事に就けるだろうし、一緒ならきっと楽しい。
そうだ、研究所で一緒だったあいつを紹介しよう。
あいつの独特の雰囲気はアレだけど、話も合うだろうし、歳もそれほど離れていないから、きっと気が合う。
うん、そうだ、そうしよう。
少しズレた眼鏡を指で押し上げて直す。
半年前、突然変わった瞳の色を隠すため色付きの眼鏡を掛けている。
七月は特別なアルファの種で、二十歳を過ぎると瞳に現れると父に聞いた。
併せて特別な能力も教えられ、秘匿するように言われた。
目の色を隠すためカラコンを着けていた時期もあったが、眼球に触れる異物感に耐えれず、ずっとこの色付きの眼鏡だ。
そして、大学卒業後の研究はとりあえず装着感を感じないカラコン製作と決めた。
しかし、蒼はいつ現れるんだ?
ん?
外が騒がしい?
いや、ドカドカ聞こえるから足音か?
バターン!
豪快に扉が開かれ、逆光を背負った人が現れた。
蒼かと思ったが、シルエットは女だった。
「そのお見合い、ちょっと待ったー」
そう言い放ったのはやはり女だった。
大股で歩いて中に入ると、向かいにいる見合い相手の父親に近づいた。
「あ…や、やぁ、き、貴美ちゃん。ど、どうしたんだい」
「どうしたもこうしたもありません!家に行ったらお婆さまに百合ちゃんがお見合いするって聞いて飛んできたんです。おじさま、これはどういうことですか?」
阿修羅の様な表情の女に詰め寄られて、見合い相手の父親がアタフタしている。
視線をドアの方に移すと、女の迫力に呆然としている蒼がいた。
目が合うと顔を引き攣らせて笑った。
いや、なに笑って誤魔化そうとしてんだよ。
「あの、申し訳ありませんが、百合ちゃん連れて行きます」
阿修羅のような顔だった女は人当たりの良い顔で、見合い相手の手を取って立ち上がらせる。
「あー、うん。構わないよ。僕も方も迎えがきたから。な、蒼」
「ぁあ、うん…」
扉の向こうにいる声を掛けると、蒼がゆっくり中に入ってきた。
入れ違いに2人が出て行く。
俺も立ち上がり蒼に近づく。
「蒼……どうした?」
「ぇ……ああ、何でもない」
両親に断りを入れ、表情が冴えない蒼を外に連れ出した。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「蒼、来るの遅い」
「入るの勇気いったんだから仕方がないだろ」
外に出て少し歩くと、蒼は落ち着いたようでいつもの口調に戻った。
「まあ、相手の女のおかげでぶち壊しになったからいいけど…って、蒼どうした?」
周りをキョロキョロし、少し考え込んでから口を開いた。
「透の相手さ……たぶん、俺の運命の番だと思う」
え……?
「うーー」
「嘘でしょ!」
「誰だっ…ってお前ら…」
一際大きな沈丁花の後ろから、2人が出てきた。なんだこの庭は?
阿修羅の後ろから見合い相手が顔を覗かせている。
蒼と目が合ったのかフラフラと前に出てきた。
蒼も前に進み、2人は向かい合って勝手に始めた。
「あの、棗蒼といいます。貴女は…」
「如月百合です」
「百合さん、俺と結婚を前提にお付き合いして下さい」
「はい」
「「はいぃぃ?」」
急展開に混乱する俺と阿修羅を他所に2人は手を取り合った。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それから2ヶ月。
蒼と百合ちゃんの交際は順調だ。
なんだかんだで2人を交えて、阿修羅…もとい、貴美と会うようになった。
百合ちゃんが腐女子で、あのお見合いの俺と蒼に萌えていたと聞かされた時、俺たちは苦い顔になった。
「あーー、遂に百合ちゃんが蒼くんと番になっちゃったー」
携帯を握ったまま貴美が突っ伏す。
俺の携帯にも蒼から『番になった』と報告が来ていた。
そのため、俺は貴美に呼び出され、今日は2人で会っている。
「仕方がないだろ。運命の番だったんだし」
「分かってるわよ、そんなの……。でも寂しいのよ、百合ちゃんとはずっと一緒だったから…」
肘をついた手に顔を乗せ、口を尖らせて不貞腐れる貴美の横顔をぼんやり眺める。
「じゃあさ……貴美、俺と付き合わない?」
「えっ、透っ、何言って…」
「俺、貴美のこと好きだよ。それに……貴美は……俺の運命の番だと思ってる」
伸ばした手を貴美の首の後ろに回し項をなぞる。
「~~~~~!!!」
カーッと顔を真っ赤にしアタフタする貴美の姿にふっと笑った。
いつも自信に溢れている姿を見せる目の前の女は、最近では初心な少女のような表情を俺の前で見せてくれる。
今も、俺の言葉に赤い顔で小さく頷いた。
可愛いな…。
それから2年後、俺は貴美と結婚した。
式は貴美と百合ちゃんの希望で、蒼たちと合同で挙げた。
そんな、俺のお見合いの話。
__________________
蒼の設定、透の赤い目の発現について書けるところがなかったので、こういう形で書かせてもらいました。
貴美ちゃんの可愛い一面がちょっと書けて嬉しかったです。
ヒロがよく赤面するのは貴美ちゃんの遺伝ですね。
『番外編』はこれで終了です。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
透目線になります。
__________________
そこは"修羅場"というより、"阿修羅"が現れた現場だった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
俺はこの非常に居心地の悪い場所からすぐにでも脱出したかった。
だが、両親に傍を固められていて、目の前にいる3人は三者三様の表情をしている。
右の父親は口角引き攣らせながら笑っていて、左の母親は笑顔だが刺すような視線を夫に投げている。
そして、真ん中の女は……。
なんか、目がキラキラしてる…。
好意というより好奇。
くっ、蒼は何やってんだよ。
扉の向こうに居るのはわかっているんだから、さっさと乱入してこいよ。
と、一切顔に出さず考えている俺の状況は最悪だ。
先日、父から突然「週末、お見合いだから」と言われた。
オメガの名家と言われている如月家の関係者(たぶん、目の前のこの人だ)と知り合い、意気投合してその場で縁談話が決まったらしい。
しかも、避暑地とはいえ、態々こんな山の上のホテルでセッティングするのは、絶対、俺を逃さないためだろう。
扉の向こうに居る棗蒼は俺が大学2年の時に知り合った。
俺の秘密を知る唯一の親友だ。
蒼は、俺が一年大学を休学してアメリカに行っている間に大学に入学した。
といっても、年齢は蒼が2つ上だ。
蒼には両親がいない。
子供の頃に事故で他界したそうだ。
両親共に親戚がいなかった蒼は、高校を卒業まで施設で育った。
その後、施設を出て一人暮らしを始めた蒼は、バイトを掛け持ちして稼いだ給料の三分の一を施設に入れていたそうだ。
そんな生活を一年もした頃に、たまたま貰った一枚の宝くじが前後賞の大当たりをした。
その賞金を全額施設に寄付しようとしたところ、母親代わりだった園長が「自分のために使いなさい。大学に行きなさい」と勧められ、一年間、学業に専念して二十歳の時に大学に入った。
去年、蒼が2年生に上がり、アメリカから戻った俺も2年生のやり直しで受けた講義でたまたま席が隣同士になり、何となく話をしたら気が合い、今の関係となった。
蒼は頭も要領も良く、割とアウトドアな奴だ。
対して俺はインドアで籠って研究するのが好きだ。
しかも、研究できるのなら何でもいい雑食だ。
真逆とも思われる2人なのに、お互い退屈することもなく一緒にいる。
いつか、蒼には俺の代わりに七月の会社のトップに立ってもらい、俺はひたすら研究に没頭しようと目論んでいる。
そんな蒼に、この見合いに乱入してぶち壊して欲しいと頼んだ。
最初は渋っていたが、俺を連れて出て行くだけで良いといったら渋々了解してくれた。
なのに、一向に扉を開ける気配がない。
大学卒業したら、やっぱりアメリカに行こう。
向こうで世話になった研究所で20年くらいいよう。
あ、蒼も一緒に連れて行こうかな。
あいつの能力なら向こうでいい仕事に就けるだろうし、一緒ならきっと楽しい。
そうだ、研究所で一緒だったあいつを紹介しよう。
あいつの独特の雰囲気はアレだけど、話も合うだろうし、歳もそれほど離れていないから、きっと気が合う。
うん、そうだ、そうしよう。
少しズレた眼鏡を指で押し上げて直す。
半年前、突然変わった瞳の色を隠すため色付きの眼鏡を掛けている。
七月は特別なアルファの種で、二十歳を過ぎると瞳に現れると父に聞いた。
併せて特別な能力も教えられ、秘匿するように言われた。
目の色を隠すためカラコンを着けていた時期もあったが、眼球に触れる異物感に耐えれず、ずっとこの色付きの眼鏡だ。
そして、大学卒業後の研究はとりあえず装着感を感じないカラコン製作と決めた。
しかし、蒼はいつ現れるんだ?
ん?
外が騒がしい?
いや、ドカドカ聞こえるから足音か?
バターン!
豪快に扉が開かれ、逆光を背負った人が現れた。
蒼かと思ったが、シルエットは女だった。
「そのお見合い、ちょっと待ったー」
そう言い放ったのはやはり女だった。
大股で歩いて中に入ると、向かいにいる見合い相手の父親に近づいた。
「あ…や、やぁ、き、貴美ちゃん。ど、どうしたんだい」
「どうしたもこうしたもありません!家に行ったらお婆さまに百合ちゃんがお見合いするって聞いて飛んできたんです。おじさま、これはどういうことですか?」
阿修羅の様な表情の女に詰め寄られて、見合い相手の父親がアタフタしている。
視線をドアの方に移すと、女の迫力に呆然としている蒼がいた。
目が合うと顔を引き攣らせて笑った。
いや、なに笑って誤魔化そうとしてんだよ。
「あの、申し訳ありませんが、百合ちゃん連れて行きます」
阿修羅のような顔だった女は人当たりの良い顔で、見合い相手の手を取って立ち上がらせる。
「あー、うん。構わないよ。僕も方も迎えがきたから。な、蒼」
「ぁあ、うん…」
扉の向こうにいる声を掛けると、蒼がゆっくり中に入ってきた。
入れ違いに2人が出て行く。
俺も立ち上がり蒼に近づく。
「蒼……どうした?」
「ぇ……ああ、何でもない」
両親に断りを入れ、表情が冴えない蒼を外に連れ出した。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「蒼、来るの遅い」
「入るの勇気いったんだから仕方がないだろ」
外に出て少し歩くと、蒼は落ち着いたようでいつもの口調に戻った。
「まあ、相手の女のおかげでぶち壊しになったからいいけど…って、蒼どうした?」
周りをキョロキョロし、少し考え込んでから口を開いた。
「透の相手さ……たぶん、俺の運命の番だと思う」
え……?
「うーー」
「嘘でしょ!」
「誰だっ…ってお前ら…」
一際大きな沈丁花の後ろから、2人が出てきた。なんだこの庭は?
阿修羅の後ろから見合い相手が顔を覗かせている。
蒼と目が合ったのかフラフラと前に出てきた。
蒼も前に進み、2人は向かい合って勝手に始めた。
「あの、棗蒼といいます。貴女は…」
「如月百合です」
「百合さん、俺と結婚を前提にお付き合いして下さい」
「はい」
「「はいぃぃ?」」
急展開に混乱する俺と阿修羅を他所に2人は手を取り合った。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それから2ヶ月。
蒼と百合ちゃんの交際は順調だ。
なんだかんだで2人を交えて、阿修羅…もとい、貴美と会うようになった。
百合ちゃんが腐女子で、あのお見合いの俺と蒼に萌えていたと聞かされた時、俺たちは苦い顔になった。
「あーー、遂に百合ちゃんが蒼くんと番になっちゃったー」
携帯を握ったまま貴美が突っ伏す。
俺の携帯にも蒼から『番になった』と報告が来ていた。
そのため、俺は貴美に呼び出され、今日は2人で会っている。
「仕方がないだろ。運命の番だったんだし」
「分かってるわよ、そんなの……。でも寂しいのよ、百合ちゃんとはずっと一緒だったから…」
肘をついた手に顔を乗せ、口を尖らせて不貞腐れる貴美の横顔をぼんやり眺める。
「じゃあさ……貴美、俺と付き合わない?」
「えっ、透っ、何言って…」
「俺、貴美のこと好きだよ。それに……貴美は……俺の運命の番だと思ってる」
伸ばした手を貴美の首の後ろに回し項をなぞる。
「~~~~~!!!」
カーッと顔を真っ赤にしアタフタする貴美の姿にふっと笑った。
いつも自信に溢れている姿を見せる目の前の女は、最近では初心な少女のような表情を俺の前で見せてくれる。
今も、俺の言葉に赤い顔で小さく頷いた。
可愛いな…。
それから2年後、俺は貴美と結婚した。
式は貴美と百合ちゃんの希望で、蒼たちと合同で挙げた。
そんな、俺のお見合いの話。
__________________
蒼の設定、透の赤い目の発現について書けるところがなかったので、こういう形で書かせてもらいました。
貴美ちゃんの可愛い一面がちょっと書けて嬉しかったです。
ヒロがよく赤面するのは貴美ちゃんの遺伝ですね。
『番外編』はこれで終了です。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
17
あなたにおすすめの小説
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる