至高のオメガとガラスの靴

むー

文字の大きさ
53 / 53
短編:高校3年生

望月さん? 後編

しおりを挟む
七月様は【レア・アルファ】ですね。

思わずアカリちゃんと百合ちゃんを見たけど、2人ともフルフルと頭を横に振った。
左眼のコンタクトはちゃんと着いているようだ。
弥生グループの社長も驚いていた。

では何故?

困惑する僕たちに望月さんはゆっくりと瞬きをして口を開いた。

「私の眼も【レア・アルファ】です」
「ぇ……」
「「「ええーーーっ!」」」

僕たちは絶叫した。
その声に社長さんは驚いて目をまん丸にした後笑った。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「何故、わかったんですか?」
「私の特技は観察と調べ物、その他いろいろです」
「それだけで分かったんですか?」
「確信したのは直接お会いした今です」

落としたいちごの代わりにといちごの盛り合わせをテーブルに載せてから望月さんは淡々と話し、その隣で社長さんがニコニコしている。
社長さんは望月さんがレア・アルファであることを知っているようだった。


望月さん自身は黒のレア・アルファだと言った。
頭脳と身体能力がずば抜けて高いそうだ。
確かにさっきのいちごの盛り合わせといい、アカリちゃんのケーキのおかわりを用意した時の動きが忍者のように感じた。

「副社長である御父様もですよね?」
「はい。僕と父は赤い瞳です」
「ヒロってすごいんだよ。生まれて3日目に初めてボクに会った時に眼が赤くなったの!」
「それは……アカリ様が運命の番だったからですか?」

望月さんの目が光った気がしてドキッとした。

「そう!凄いよね!」
「赤は縁を深めると聞き及んでおりますが……。奥様はアルファでしたね」
「貴美ちゃんは透くんの番よ」
「ふむ」

アカリちゃんと百合ちゃんは嬉しそうに色々話しるけど、いいのかな...?
と思ったら、アカリちゃんが僕の方を向いてウインクをした。

「望月にもね、君たちと同じ歳の息子がいるんだよ。今、全寮制の学園に通っているんだよね」
「はい。レア・アルファの瞳はまだ発現しておりませんが」
「え…」

僕たちは固まった。
望月さん、どう見てもまだ若いのに僕たちと同じ歳の子供がいるの?

「し、失礼ですが、望月さん、ご年齢は?」
「今年で35になります」
「「「ええーーーっ!」」」

二度目の絶叫が上がった。


❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「では、撮影当日はよろしくお願いします」
「「はーい。よろしく願いしまーす」」

社長さんと望月さんに見送られながら車に乗り込もうとした時。

「あ、棗さん。個人的なお願いですが、……うちの末の子の結婚が決まりましたら、衣装をオーダーさせて頂けないでしょうか?」
「先程おっしゃっていたオメガの息子さんですか?」
「はい。……今はまだ決まった相手はいませんが、はは……」
「社長…」
「あの子は亡くなった妻を今も慕っていて、私たちような家族を持つことに憧れているのです。今はちょっとその気にはならないようですが…。でも、いつかあの子が心から家族になりたいと望む相手を見つけた時は、最高の衣装で送り出したいのです」

少し悲し気に笑う社長さんに、表情が変わらない望月さんの眉間に小さな皺ができた。
隣を見ると、百合ちゃんは目を細めて微笑んでいた。

「分かりました。とびきり素敵な衣装をご用意しますから、その際は会わせて下さいね」
「……ありがとうございます」

社長さんと望月さんは深々とお辞儀をした。


「あの、百合ちゃん」
「ん、なあに?」
「さっきの…って」

僕は社長さんのあの笑顔が気になった。

「弥生社長?フェロモンの匂いだけでは抱えている事情までは判らないわ。……でもね、あの人は諦めてないのよ。……素敵な家族ね」
「うん。そう、だね」

それでも何となく考えてしまうと、アカリちゃんが僕の手に指を絡めた。
視線を移すと、アカリちゃんは満面の笑顔で僕を見上げていた。

「きっと大丈夫だよ。……そう信じよ、ヒロ」
「……うん」

今僕たちが考えても事情も何もわからないし、何かを変えることはできない。
でも、幸せを祈ることはできる。

「いつか……会えるかな?」
「会えるよ」

僕たちは手を握り合った。

「それはそうと、望月さん。不思議な人だったわねー」
「うん。今度、手合わせさせてもらえないかなぁ?」

えーと、2人は何の話をしているんだろう…?

____________________

望月さん(パパ)登場の回でした。
この後、アカリは何度か望月に手合わせをしてもらったのですが一度も勝てず、更に火がついてヒロがタジタジになりました。

短編は一旦終了です。
まだ少し伏せているところがあるので、落ち着いたら書いていく予定です。
(別に話を立てるかは現在未定です。)

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

しおりを挟む
感想 15

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(15件)

そら豆太
2021.12.17 そら豆太

めっちゃよかったです❤️
アカリちゃん一途で泣けました。可愛いのにかっこよくて応援しながら続きを一気に追いました。ヒロもよく頑張ったとほめてやりたい❗️2人の両親もすごく素敵で、馴れ初め話にそれぞれの運命を感じました。あと、ずっと見守ってきた親友2人もほっとしたことでしょうと思うと感慨深いです。
ハピエン万歳。ヒロとアカリおめでとう❗️

2021.12.17 むー

そら豆太さま

こちらも読んでくださってありがとうございます💕

アカリは一途だけど足癖が悪くて暴走する子なのに応援していただいてとても嬉しいです。
そんなアカリに振り回されるヒロの苦労は絶えませんが、未来はきっと楽しくて幸せだと思います😊

ハピエン万歳🙌

解除
黒ツナ
2021.03.25 黒ツナ

完結おめでとうございます✨

素敵な作品ありがとうございました(◍•ᴗ•◍)

少し詰め込み感があったようなきもしますが終わりよければ全て良し(๑•̀ㅂ•́)و✧で

番外編楽しみにしてます♪

2021.03.25 むー

黒ツナさん

ありがとうございます。
話の繋ぎに色々足してしまったのが詰め込みの原因かもしれません…(^^;;
消化不良な部分を番外編で解消できるよう頑張ります。

最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
コメント、とても励みになりました。

解除
ルーシエ
2021.03.23 ルーシエ
ネタバレ含む
2021.03.23 むー

ルーシエさん

コメントありがとうございます。

展開的にお待たせしました、というところですね😅

あと少しで終わりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

解除

あなたにおすすめの小説

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

オメガの復讐

riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。 しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。 とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

運命の息吹

梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。 美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。 兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。 ルシアの運命のアルファとは……。 西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。