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第十四話 買い出し
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バラガが去った後、『スターダッシュ号』の船内で、作戦会議が始まった。
「これからどうする?」
ブレイブが、操縦席のレバーの感触を確かめながらカリーナに尋ねる。
「何処に行くにしても、まずは出発前の買い出しからね」
カリーナは、賭博で稼いだ金貨が詰まった袋を、ジャラリと取り出した。
「それなら、俺とブルーは、この船に積むものがあるから別行動になるな」
ブレイブとブルーは顔を見合わせ、ニヤリと笑うと、船の後部ハッチのボタンを押す。
プシューッ……
油圧音と共に、ゆっくりと後方が開く。
「じゃあ、食糧と日用品は私たちが買いに行くわ」
「頼んだ」
ブレイブとブルーは、足早に外へ駆け出して行った。
「それじゃあ、私たちも買い出しに行くわよ!」
カリーナは拳を天高く突き上げた。
◆◇◆◇
トゥオブ商会の巨大倉庫。
そこは商会が取り扱うありとあらゆる商品で埋め尽くされており、忙しなく商会の人たちが行き来していた。
「うおおお! これだけ色々あると選んでるだけでも日が暮れちまうぜ!」
ブレイブは興奮していた。ドワーフの兵器の一つ、あの建物を吹き飛ばした『炸裂球』の威力を知ったブレイブにとって、ここは宝物庫だった。
「これだけあれば、俺たちが何を持っていってもバレなそうだな」
ブルーは、木箱の中に入った黒い球体――炸裂球を一つ手に持ち、重さを確かめた。
「バラガには500個とは言ったが……あの床下倉庫に積めるだけ積む。どうせバレねぇ」
ブレイブは、ブルーから炸裂球を取り上げると、愛おしそうに撫でた。
「運ぶの大変だろ」
ブレイブは無言で、倉庫内で働いている商会の屈強な男達を指差した。
「あいつらがどうしたんだ?」
「あいつらに運ぶのを手伝ってもらう」
そう言うブレイブは、極悪人のような顔をしていた。
「それは名案だな」
ブルーもまた、ゆっくりと口角を上げた。
「おい、そこのあんた達!バラガから許可を貰ったから、この箱を全部、船に運んでくれ!」
「さぁ、どんどん運んでもらうぞ!」
◆◇◆◇
アルブヘイブンの港町。
多くの船が出入りするこの街では、船旅の食糧を補充する場所としても栄えており、様々な種類の食糧品が市場に並んでいた。
アイ、カリーナ、アリスの三人は、武器屋を見に行ったサラマンダーと一旦別れ、市場で食糧を調達していた。
「アリスは何食べたい? なんでも良いわよ、任せなさい」
カリーナは胸をドン!と張ると、店先に並ぶ色とりどりの食材に目を輝かせるアリスに聞いた。
「……このお魚が、食べたいです」
アリスが指差したのは、宝石のように鱗が輝く見たこともない青魚だった。
「それね、分かった! おじさん、これちょうだ……えーっと……」
カリーナは、値札を確認すると目をぱちぱちとさせた。
(一……十……百……。き、金貨百枚!?)
カリーナは冷や汗を流しながら、不思議そうに見つめるアリスの顔を見て苦笑いする。「高いから買わない」とは、今の彼女には言えなかった。
「……買うわ」
カリーナは震える手で店長を呼ぶと、金貨百枚を袋から取り出し、青魚を購入した。
袋が一気に萎んだ。
「見栄を張るのは良いですが、後のことも考えましょうね」
そのやり取りを見守っていたアイに、冷静に釘を刺され、袋を取り上げられた。
その後、長持ちする芋、干し肉や野菜を次々と買い込んだカリーナ達は、サラマンダーと待ち合わせをしている噴水の縁に座り、彼を待っていた。サラマンダーにも、荷物持ちを頼んでいたのである。
「予想よりも安く済んだのではないでしょうか。……例外を除いて」
アイは、両手に四つの袋を抱えるカリーナと、アリスが大事そうに抱える小さな魚の包みを見て微笑んだ。
「そ、そうね……」
アリスは二人の間でプラプラと足を揺らす。その顔はどこか深刻そうで、考え事をしているようだった。
「大丈夫? 疲れた?」
カリーナがそんなアリスを見て心配する。
アリスは、こくりと小さく頷いた。カリーナは手に持った袋を地面に置くと、アリスを抱き寄せた。
「すまない、遅くなった」
そこへ、サラマンダーが待ち合わせ場所に現れた。
「必要な物は買えましたか?」
アイがサラマンダーに聞く。
「ああ、いい物が買えた」
「何を買ったの?」
普段、買い物などに興味を示さないサラマンダーがわざわざ買いに行ったものを、カリーナは気になった。
「砥石だ」
サラマンダーは袋の中から、黒光りする石を取り出して自慢げに見せた。
「……へー、砥石ね」
思っていたよりも地味でつまらないものだったからか、カリーナはすぐに興味を失うと、それ以上は聞かなかった。
サラマンダーは、この砥石について語ろうと構えていたが、即座に話が流されたことで、言葉を飲み込み、残念そうに肩を落とした。
◆◇◆◇
「ブレイブさん、まだ運びますか?」
トゥオブ商会の男が、炸裂球がいっぱいに詰められた木箱を両手に抱え、額に汗を浮かべながら尋ねる。
ブレイブ達は、商会の人たちに、かれこれ数十回は倉庫と飛行船を往復させていた。
「そうだな……」
ブレイブは、飛行船の中で作業をするブルーに聞こえるぐらいの大声で叫んだ。
「おい、ブルー!まだ、積めそうかー?」
「あと一つはいけそうだ!!」
ブルーの大声が耳に届く!
「……だそうだ」
ブレイブは、男の肩をポンと叩いた。男は、げんなりした顔で木箱を抱え、飛行船へ歩いていった。
「これだけ積めば、一生火薬には困らないんじゃないか?」
ブレイブは満足げに呟くと、飛行船へ戻った。
◆◇◆◇
ブレイブ達が床下倉庫の整理をしていると、カリーナ達が帰ってきた。
「疲れたわー!」
カリーナは床にどさっと大量の袋を置く。
床下倉庫のハッチから、ブルーが顔を出す。
「その袋、積むからこっちに渡せ」
ブルーはカリーナ達から食糧の入った袋を受け取ると、倉庫に引き込んでいった。
「ちょっと休憩……」
カリーナは床にゴロンと大の字に横になった。
「これで積荷は終わりみたいだな」
ブルーとブレイブが床下倉庫から這い上がってくる。
さっきまで空だった床下倉庫は、表面上は食料で埋まっているが、その下には国を一つ焦土にできると言っても過言ではない量の爆発物が隠されていた。
「次はどうすんだ? カリーナ」
最前列の操縦席に座り、クルクルと席を回転させるブレイブは、床に寝転んだカリーナに聞いた。
「それを今から決めるわ」
カリーナは上体を起こすと、あぐらをかいて座りなおした。
「まず、私たちの目標を再確認するわよ」
「金を稼いで、カリーナの国を再建する、だろ?」
ブルーが、さっき買ってきた芋を勝手に生のまま齧りながら答える。
「あっ」
アイは無言で、その芋を取り上げた。
「この飛行船を使って、色んな場所に行けるようになったとは言え、肝心の“稼げる依頼”がねぇからな」
ブレイブは、操縦席前の計器類に足を投げ出した。
「あの……」
突然、アリスが、か細い声で会話に入ってきた。
「どうしたの? アリス」
カリーナは、立ち上がって、小さな拳を握りしめているアリスを見上げる。
アリスは深呼吸をして、震える声で、しかしはっきりと話し始めた。
「カリーナ様……皆様に、依頼をお願いしたいです」
「これからどうする?」
ブレイブが、操縦席のレバーの感触を確かめながらカリーナに尋ねる。
「何処に行くにしても、まずは出発前の買い出しからね」
カリーナは、賭博で稼いだ金貨が詰まった袋を、ジャラリと取り出した。
「それなら、俺とブルーは、この船に積むものがあるから別行動になるな」
ブレイブとブルーは顔を見合わせ、ニヤリと笑うと、船の後部ハッチのボタンを押す。
プシューッ……
油圧音と共に、ゆっくりと後方が開く。
「じゃあ、食糧と日用品は私たちが買いに行くわ」
「頼んだ」
ブレイブとブルーは、足早に外へ駆け出して行った。
「それじゃあ、私たちも買い出しに行くわよ!」
カリーナは拳を天高く突き上げた。
◆◇◆◇
トゥオブ商会の巨大倉庫。
そこは商会が取り扱うありとあらゆる商品で埋め尽くされており、忙しなく商会の人たちが行き来していた。
「うおおお! これだけ色々あると選んでるだけでも日が暮れちまうぜ!」
ブレイブは興奮していた。ドワーフの兵器の一つ、あの建物を吹き飛ばした『炸裂球』の威力を知ったブレイブにとって、ここは宝物庫だった。
「これだけあれば、俺たちが何を持っていってもバレなそうだな」
ブルーは、木箱の中に入った黒い球体――炸裂球を一つ手に持ち、重さを確かめた。
「バラガには500個とは言ったが……あの床下倉庫に積めるだけ積む。どうせバレねぇ」
ブレイブは、ブルーから炸裂球を取り上げると、愛おしそうに撫でた。
「運ぶの大変だろ」
ブレイブは無言で、倉庫内で働いている商会の屈強な男達を指差した。
「あいつらがどうしたんだ?」
「あいつらに運ぶのを手伝ってもらう」
そう言うブレイブは、極悪人のような顔をしていた。
「それは名案だな」
ブルーもまた、ゆっくりと口角を上げた。
「おい、そこのあんた達!バラガから許可を貰ったから、この箱を全部、船に運んでくれ!」
「さぁ、どんどん運んでもらうぞ!」
◆◇◆◇
アルブヘイブンの港町。
多くの船が出入りするこの街では、船旅の食糧を補充する場所としても栄えており、様々な種類の食糧品が市場に並んでいた。
アイ、カリーナ、アリスの三人は、武器屋を見に行ったサラマンダーと一旦別れ、市場で食糧を調達していた。
「アリスは何食べたい? なんでも良いわよ、任せなさい」
カリーナは胸をドン!と張ると、店先に並ぶ色とりどりの食材に目を輝かせるアリスに聞いた。
「……このお魚が、食べたいです」
アリスが指差したのは、宝石のように鱗が輝く見たこともない青魚だった。
「それね、分かった! おじさん、これちょうだ……えーっと……」
カリーナは、値札を確認すると目をぱちぱちとさせた。
(一……十……百……。き、金貨百枚!?)
カリーナは冷や汗を流しながら、不思議そうに見つめるアリスの顔を見て苦笑いする。「高いから買わない」とは、今の彼女には言えなかった。
「……買うわ」
カリーナは震える手で店長を呼ぶと、金貨百枚を袋から取り出し、青魚を購入した。
袋が一気に萎んだ。
「見栄を張るのは良いですが、後のことも考えましょうね」
そのやり取りを見守っていたアイに、冷静に釘を刺され、袋を取り上げられた。
その後、長持ちする芋、干し肉や野菜を次々と買い込んだカリーナ達は、サラマンダーと待ち合わせをしている噴水の縁に座り、彼を待っていた。サラマンダーにも、荷物持ちを頼んでいたのである。
「予想よりも安く済んだのではないでしょうか。……例外を除いて」
アイは、両手に四つの袋を抱えるカリーナと、アリスが大事そうに抱える小さな魚の包みを見て微笑んだ。
「そ、そうね……」
アリスは二人の間でプラプラと足を揺らす。その顔はどこか深刻そうで、考え事をしているようだった。
「大丈夫? 疲れた?」
カリーナがそんなアリスを見て心配する。
アリスは、こくりと小さく頷いた。カリーナは手に持った袋を地面に置くと、アリスを抱き寄せた。
「すまない、遅くなった」
そこへ、サラマンダーが待ち合わせ場所に現れた。
「必要な物は買えましたか?」
アイがサラマンダーに聞く。
「ああ、いい物が買えた」
「何を買ったの?」
普段、買い物などに興味を示さないサラマンダーがわざわざ買いに行ったものを、カリーナは気になった。
「砥石だ」
サラマンダーは袋の中から、黒光りする石を取り出して自慢げに見せた。
「……へー、砥石ね」
思っていたよりも地味でつまらないものだったからか、カリーナはすぐに興味を失うと、それ以上は聞かなかった。
サラマンダーは、この砥石について語ろうと構えていたが、即座に話が流されたことで、言葉を飲み込み、残念そうに肩を落とした。
◆◇◆◇
「ブレイブさん、まだ運びますか?」
トゥオブ商会の男が、炸裂球がいっぱいに詰められた木箱を両手に抱え、額に汗を浮かべながら尋ねる。
ブレイブ達は、商会の人たちに、かれこれ数十回は倉庫と飛行船を往復させていた。
「そうだな……」
ブレイブは、飛行船の中で作業をするブルーに聞こえるぐらいの大声で叫んだ。
「おい、ブルー!まだ、積めそうかー?」
「あと一つはいけそうだ!!」
ブルーの大声が耳に届く!
「……だそうだ」
ブレイブは、男の肩をポンと叩いた。男は、げんなりした顔で木箱を抱え、飛行船へ歩いていった。
「これだけ積めば、一生火薬には困らないんじゃないか?」
ブレイブは満足げに呟くと、飛行船へ戻った。
◆◇◆◇
ブレイブ達が床下倉庫の整理をしていると、カリーナ達が帰ってきた。
「疲れたわー!」
カリーナは床にどさっと大量の袋を置く。
床下倉庫のハッチから、ブルーが顔を出す。
「その袋、積むからこっちに渡せ」
ブルーはカリーナ達から食糧の入った袋を受け取ると、倉庫に引き込んでいった。
「ちょっと休憩……」
カリーナは床にゴロンと大の字に横になった。
「これで積荷は終わりみたいだな」
ブルーとブレイブが床下倉庫から這い上がってくる。
さっきまで空だった床下倉庫は、表面上は食料で埋まっているが、その下には国を一つ焦土にできると言っても過言ではない量の爆発物が隠されていた。
「次はどうすんだ? カリーナ」
最前列の操縦席に座り、クルクルと席を回転させるブレイブは、床に寝転んだカリーナに聞いた。
「それを今から決めるわ」
カリーナは上体を起こすと、あぐらをかいて座りなおした。
「まず、私たちの目標を再確認するわよ」
「金を稼いで、カリーナの国を再建する、だろ?」
ブルーが、さっき買ってきた芋を勝手に生のまま齧りながら答える。
「あっ」
アイは無言で、その芋を取り上げた。
「この飛行船を使って、色んな場所に行けるようになったとは言え、肝心の“稼げる依頼”がねぇからな」
ブレイブは、操縦席前の計器類に足を投げ出した。
「あの……」
突然、アリスが、か細い声で会話に入ってきた。
「どうしたの? アリス」
カリーナは、立ち上がって、小さな拳を握りしめているアリスを見上げる。
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